「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト」
みんなの力で日本の田んぼに生きもののにぎわいを取り戻そう!
トンボが舞い、メダカが泳ぎ、夜はカエルの大合唱。かつては当たり前に見られた田んぼの生きものが、今急速に消えようとしています。ラムサール・ネットワーク日本は田んぼをすみかとする様々な生きものが、農業、環境、そして心を支える底力となっていることに注目し、田んぼの生きものの多様な世界を再び取り戻すために、様々な取り組みの受け皿となる「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト」を開始しました。
このプロジェクトは、ラムサール条約と生物多様性条約を水田の生物多様性でつなぎ、両条約で採択された田んぼの生物多様性向上決議にそった活動を実施するための仕組みです。これまで日本各地で個別に実施されてきた、田んぼの生きものと地域の人々の持続可能な暮らしを取り戻そうとする様々な活動を、このプロジェクトで束ねて、よい事例を共有・拡大し、より大きな力にしようとするものです。「田んぼの生きもの調査」、「ふゆみずたんぼ」などの支援を行ないながら、田んぼの生物多様性に関心を持つ全国の農業関係者や市民などに広く参加を呼びかけ、様々な方々と協働し、生物多様性を活かした地域づくりの輪を広げてゆきます。
「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト」は、目的を同じにする「にじゅうまるプロジェクト」に参加し、国連生物多様性の10年日本委員会の連携事業の一つに認定されています。
「田んぼの生物多様性向上10 年プロジェクト行動計画」
「田んぼの生物多様性向上プロジェクト行動計画2013」
愛知目標と水田決議を具体化するための事業、「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト」の活動の基礎となるものがこの行動計画です。
行動計画は、愛知目標に準じて水田目標を設定し、愛知目標と水田決議の実現を目指して、田んぼの現場を重視しながら、自治体や民間で実施する内容となっています。
このプロジェクトに参加しようとするみなさんには、これまで地域で実施してきた様々な活動を、「田んぼ10年行動計画=愛知ターゲット水田版」のもとでの活動として登録・実践していただくことになります。
水田目標と個別行動について
(株)アレフ
水田目標一覧と愛知ターゲット
愛知ターゲットのうち、対象を水田にしぼった達成目標が水田目標です。愛知ターゲットに準じて、現在のところ18の水田目標を定めています。また、湿地保全のためのラムサール条約締約国会議で採択された、田んぼの生物多様性向上を目指す決議Ⅹ.31の内容も水田目標には含まれています。
さらに行動計画書には、18 の水田目標を達成するための具体的な個別行動の詳細と行動内容が示されています。これらの個別行動一覧は、田んぼの生物多様性向上に取り組む多数の団体/個人が参加するワークショップや会議で出された意見をもとにまとめあげられました。新しく参加を希望する団体が登録する行動を決める際にもとても役立ちます。
詳しくは「田んぼの生物多様性向上プロジェクト行動計画2013」をご覧ください
(行動計画はラムサール・ネットワーク日本のHPからダウンロードできます。)
参加方法
このプロジェクトは、個人、団体、農業経験の有無を問わず、田んぼの生きものに関心がある方はどなたでも参加することができます。 参加希望の方は、以下のラムサール・ネットワーク日本にご連絡ください。
問い合わせ先:
NPO法人ラムサール・ネットワーク日本(ラムネットJ)
住所:〒110-0061 東京都台東区台東1-12-11 青木ビル3F
電話/ファクス:03-3834-6566
http://www.ramnet-j.org/tambo10/
E-mail tambo10@ramnet-j.org
愛知ターゲットの取り組み状況
田んぼの10年プロジェクトを通じた、愛知ターゲットの取り組み状況(数字は取り組み数)
普及啓発 |
250 件 |
保護地域 |
13 件 |
各種計画への組み込み |
15 件 |
種の保全 |
66 件 |
補助金・奨励措置 |
7 件 |
補助金・奨励措置 |
-- 件 |
生産と消費 |
58 件 |
生態系サービス |
22 件 |
生息地の破壊 |
16 件 |
復元と気候変動対策 |
39 件 |
過剰漁獲 |
-- 件 |
過剰漁獲 |
-- 件 |
農業・林業・養殖業 |
86 件 |
効果的・参加型戦略 |
15 件 |
化学汚染 |
94 件 |
化学汚染 |
-- 件 |
外来種 |
48 件 |
知識・技術の向上と普及 |
13 件 |
脆弱な生態系の保護 |
-- 件 |
人材・資金 |
9 件 |
水田目標と愛知ターゲット
水田目標1 |
水田の生物多様性向上に関する広報、教育、普及啓発を推進する
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水田目標2 |
国や地方自治体の各種計画に水田の生物多様性の価値を導入する
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水田目標3 |
水田の生物多様性保全を妨げる施策や補助金等を廃止し、または改革する
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水田目標4 |
水田の生物多様性を向上させる施策や補助金等を拡大する。
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水田目標5 |
あらゆるレベルの関係者が水田の生物多様性を向上させる行動を進める
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水田目標6 |
生物多様性の保全に寄与している水田の損失速度をゼロに近づけ、水田の生物多様性の劣化を防ぎ、水田間の分断を減少する
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水田目標7 |
水田の生物多様性が向上するよう農業が行われる地域を持続的に管理する
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水田目標8 |
不適切な農薬や化学肥料等の使用による汚染から水田の生物多様性の損失を防止する
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水田目標9 |
侵略的外来種による水田生態系への影響を防止する
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水田目標10 |
水田を利用する野生動植物の遺伝子の交雑を防止する
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水田目標11 |
生物多様性の保全に寄与している水田を保護地域システムに組み入れる
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水田目標12 |
水田に生息する絶滅の恐れのある生物種の絶滅及び減少が防止され、減少している種が回復する
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水田目標13 |
水田の良好な生態系が人の健康、生活、福利に貢献するよう、水田を活用する
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水田目標14 |
劣化した水田生態系の15%以上を回復する
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水田目標15 |
地方自治体が、生物多様性地域戦略を策定、または改定し、または環境基本計画などを改定して、水田の生物多様性向上を実現する施策を実施する
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水田目標16 |
愛知目標が取り入れられた生物多様性国家戦略、地域戦略及び各々の行動計画が確実に推進されるよう、進行管理を行う
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水田目標17 |
水田の生物多様性の現状や損失などの知識や確認方法を向上させ、各地で活用する。
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水田目標18 |
水田の生物多様性の向上策を実行する資金と人材等を確保する
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