にじゅうまるプロジェクトとは

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の大事な成果である愛知ターゲット。この目標達成のために、国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)および日本の生物多様性保全をリードする団体が集結して、「にじゅうまるプロジェクト」は、2011年10月にキックオフしました。

プロジェクトの背景

愛知ターゲットを良く見ると、政府だけでできないことが沢山あります。NGOだからできること、自治体だからできること、企業だからできること。しかし、国際会議できまった目標は、私たちにとってはとても難しく書かれていて、これでは、専門的な一部の人たちしか関われないようなそういう目標に見えます。
そこで、愛知ターゲットを分かりやすく伝えていくことが重要だと考えました。また、自分たちの行動が世界目標達成につながっていることを目に見えるようにしていくことで、ターゲットを行動に変えていくと共に、どうすれば分からない人でも「あぁ、こうすればいいんだ。それなら僕たちもできるかも」と思ってくれるのではないかと考えました。
そこで、「愛知ターゲットを知り、活動宣言をし、行動する」というアクションを核とした活動を作り上げました。

名前の由来

にじゅうまる。
この言葉に、いろんな思いを凝縮しています。2020年(20が二つ)に○という評価を、20の目標全てに○という評価を、世界を見据え、現場で活動する人々に○ではなくて、◎をプレゼントしようというメッセージです。
生物多様性・グリーンという言葉を使うと、「生きものオタク」とか、どこか遠いところの自然を大切にする人たちと思われしまうことも多いので、なんだろう?何か面白そうという語感も大切にしました。
○は、縁・Good・調和を連想させることから、人と自然の共生する社会という愛知ターゲットが描く2050年の目標像にもあわせています

にじゅうまるプロジェクトの中身

「愛知ターゲットを知り、活動宣言をし、行動する」というアクションを核とした活動ですが、多岐にわたる取組みを展開しています。

【コミュニケーションツールづくり】
多くの人に愛知ターゲットを知ってもらえるよう、にじゅうまるプロジェクトのコミュニケーションツールを作っています。2011-2013年の間に、ロゴ、キャッチコピー、リーフレット、20のアイコン、個別目標の省略版、ウェブサイト等の基本ツールの作成や、パートナー団体の呼びかけを作成しました。ロゴ・キャッチコピー・20のアイコンの制作に当たっては、博報堂のCSR活動であるクリエイティブボランティアの支援を受けました。

また、生物多様性条約事務局公式の愛知ターゲット解説(Aichi Target Quick Guide)に基づいて、愛知ターゲットの読み解きができる「愛知ターゲットガイド」を作成しました。

【にじゅうまる宣言の拡大】
市民団体だけではなく、企業や自治体も参加するよう働きかけ、日本全体で進める国民運動となるよう事業展開を図っています。キックオフ時点で、18団体28事業だった宣言数は、200団体を越すチームとなりました。また、田んぼの生物多様性向上10年プロジェクトにより、第1次産業従事者も加わるなどの広がりを確実に生み出しています。

【パートナーとの取組みの展開】
おりがみアクション、田んぼの生物多様性向上10年プロジェクトによって「愛知ターゲットをフィールドでの活動事例に置き換え、活動を推進し、同時に、にじゅうまる宣言が集まる仕組み」がうまれることとなりました。
生物多様性四国ネットワークの協力により、生物多様性四国会議を毎年度開催し、地域連携と拡大のモデルができました。
丸の内さえずり館(東京大手町)での展示やエコプロダクツ2013・2014での「生物多様性ノレッジスクエア」などの企画展示を実施することで、愛知ターゲットに取り組む人々とのコラボレーションでの活動紹介なども精力的に取り組んでいます。

【国内施策への位置づけ】
生物多様性国家戦略検討過程での提案、国連生物多様性の10年日本委員会(UNDB-J)の参画などにより、にじゅうまるの登録数(宣言数)が、第4次環境基本計画、生物多様性国家戦略2011-2020の達成指標として位置づけられました。

にじゅうまる宣言事業等のうち多様な主体の連携からなる取組みをUNDB-Jが推奨する事業として認定(UNDB-J認定連携事業)される仕組みが生まれるなど、宣言事業の広報支援の強化が行われました。

【国際連携】
愛知ターゲットは世界目標であることから、世界動向を把握し、日本に紹介したり、世界の動きに合わせたにじゅうまるプロジェクト自身の改良を行っています。
世界動向を紹介する「愛知ターゲットの最新動向 - 国際会議レポート」は、国内で最も詳しく、かつ、分かりやすい生物多様性条約の最新動向を紹介しています。

にじゅうまるプロジェクトそのものを海外に発信する活動もおこなっています。その結果、生物多様性条約事務局は、にじゅうまるプロジェクトをモデルとしたBiodiversity Championという仕組みやアイコンが生まれました。国際的には、愛知ターゲット達成を支える国内モデル事業という評価を得ています。

最後に、このプロジェクトにこめた想いです。

守られてるから、守りたい。この星すべての生命

守られてるから、守りたい。
この星すべての生命。

38億年かけて 、あふれる創造性を発揮し進化してきた地球の生き物たち。
そのすべてが、環境に適応するための美しい答えだった。
つながりあい、環を描く、生態系、種、遺伝子。
それらの生命から人は、生活・産業・医療・文化、あらゆる分野で恵みを受け続けている。
人は、生き物たちに、いつも守られていた。

しかし人は、たった数百年ほどで、その豊かな多様性を大きく損なおうとしている。
傷ついた環境のなかで、生まれ育つことのできない、多くの生き物たちがいる。
人を含めたすべての生き物を支える生物多様性のために、いま、行動をしなくてはならない。

私たちが大切にしたいのは、感謝の気持ち。
決して、生物や自然を「支配しよう」という人問中心のおごりではない。
生物と自然がもたらす喜び、怒り、哀しみ、楽しみ、すべてを畏敬と共に受け入れる心。
例えば洪水は、災害であると同時に、肥沃な土を運び大地が生まれ変わる自然の仕組みでもあるように。
自然は、そして生き物たちは、人よりも大きい存在であり続ける。
その中にある恩恵を思うとき、私たちは何度でも利害を超えてひとつになれる。

にじゅうまるプロジェクト。
それが、生物多様性のためにひとつのチームとなり、はじめる活動。

2010 年、私たちは世界中の人とともに、2020 年までに達成すべき、
生物多様性のための20 の約束を結んだ。それは同時に、人類の未来のための約束。
にじゅうまるプロジェクトは、この20 の約束を日本で守るために生まれた。
この名前には、メンバー同士が「にじゅうまる」を贈り合おうという意志も込められている。
それぞれが約束に貢献するたび、◎ をあげて称え合っていく。
一人ひとりに、◎ 。参加するあなたにも、◎ 。
2020 年に、20 の約束が、にじゅうまるで満たされている。そんな夢を描きながら。
すべきことはたくさんある。立場も、できることも異なる。だけど、
同じ気持ちで、どこまでもつながっていける。異なるからこそ、強いつながりになる。
すでに行動してきた人も、これから動き始める人も、一緒になろう。
10 年後、私たちは、子供たちへこう言いたい。

「君が生まれたこの世界は、約束を守る」。

さあ、ちからをつなげて、生物多様性のための約束を守ろう。