大阪の見どころ紹介!生きもの溢れるなんばパークスや「生態的展示」をコンセプトにする天王寺動物園をご存知ですか?

5月22日は国際生物多様性の日を記念して、世界中でさまざまなイベントが行われました。もちろん日本でも開催され、その中のひとつ、生物多様性をもっと知ろう!国際生物多様性の日シンポジウム「街のなかから生き物たちにつながるために~動物園・植物園・自然史博物館でたのしく学ぶ生物多様性~」に行ってきました。

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国際生物多様性の日ロゴマーク

 

会場は、南海なんば駅直結の商業複合施設 なんばパークス。シンポジウムに先立って、日本最大級の屋上公園パークスガーデンでの観察会も開催されました。2階から8階まで続くガーデンを回り、約500種10万株の植物を見学。専属のガーデナーによって毎日交代で管理され、終わった花や虫が付いた場合も手で取っているとのことで、とても美しい空間にうっとり。

日本最大級の屋上公園パークスガーデン。専属ガーデナーさんと一緒に観察会が開催。

日本最大級の屋上公園パークスガーデン。専属ガーデナーさんと一緒に観察会が開催。

 

パークスガーデンで見られるヤマボウシ

満開のヤマボウシ

 

パークスガーデンでの観察会

多様な植物がみられます

 

パークスガーデンでアジサイも見られました。

ヤマボウシの日陰に佇むアジサイ

 

植物園に行くのはちょっとハードルが高いですが、買い物ついでや通勤通学の途中、なんばで生物多様性に見る・触れることができる貴重な空間です。観察会の終了後に、参加者と一緒にプチおりがみアクションも行われました。

折り紙アクションの様子は→おりがみアクションスタッフブログでご覧ください。http://www.cop10-origami.com/archives/9106/

なんばパークス ガーデナーの大嶋さんと一緒に

専属ガーデナーの大嶋さんと一緒に。

 

ちなみに今回紹介したパークスガーデンでは、なんと毎日(平日)、専属ガーデナーさんによるガーデンツアーが行われています!(予約制)。誰でも参加できて、ガーデニングのポイントなども教えてもらえるそうですよ!

詳細は、こちら→http://www.nambaparks.com/parks_garden/guide.html

 

14時からのシンポジウムはパークスホールがほぼ満席で大盛況!開会挨拶後、まず「どうぶつのために動物園が挑むこと」と題して、大阪市立天王寺動物園の高見一利さんからシンポジウムがスタートしました。

なんばパークスでの「街のなかから生き物たちにつながるために~動物園・植物園・自然史博物館でたのしく学ぶ生物多様性~」シンポジウム。会場は満席に。

なんばパークスでのシンポジウム。会場は満席に。

 

今年で開園から101年目を迎えた天王寺動物園は、「生態的展示」というコンセプトの下、爬虫類生態館アイファーをはじめ、カバ舎、サイ舎、アフリカサバンナゾーン、アジアの熱帯雨林ゾーン(アジアゾウ舎)が造られています。限られた敷地の中で、動物本来の生活環境に似せて造られた空間の再現や、来園者への紹介方法いったたくさんの工夫が紹介されました。

 

またそもそも動物園・水族館とは?という動物園の本来の役割についての解説も。一般的な捉えられ方としてはレジャー・デートスポットですが、それ以外にも「生きた標本を扱う博物館である」ことや、「絶滅危惧種の域外保全」の現場としてさまざまな計画に基づいて国内・海外との動物園と協力して、絶滅危惧種の保全をしていること等を、クイズを交えながら紹介してくれました。

天王寺動物園に関してのお話。

天王寺動物園に関してのお話。

 

天王寺動物園では、昨年から始まったナイトズー、飼育員さんのワンポイントガイドが人気だそうです。入場料は大阪市内在住在学の小中学生は無料!大阪府外の子どもでも200円、大人も500円でリーズナブルなところも◎ですね!ぜひ観光で大阪に来た際には立ち寄ってみてください!

天王寺動物園のイベントに関してはこちらから→ http://www.jazga.or.jp/tennoji/

なんばパークスでのシンポジウム。パネル展示も実施されました。

会場ではパネル展示も行われました。

 

途中から大阪市立大学附属植物園の飯野盛利先生も加わり、大阪市立自然史博物館学芸員 佐久間大輔さんの進行で「動物園・植物園・博物館の楽しみ方」と題して対談が行われました。

 

飯野先生からは、古来からヒトは資源として植物を集めていたこと、「植物園は、欧州の大学で教育研究施設を一般公開したことが植物園の始まり」と紹介がありました。そして動物園と同じく、絶滅危惧種を本来の生息環境とは異なる場所で保全をしているが、地域ごとの固有種を復帰するのは大変な作業であること、また資源としての保全のニーズが高まり、応用研究などは国益も絡むので、国際的な協力が難しいことも挙げられました。教育・普及も含めて複数の植物園が協力していることもあるそうですが、日本国内の大学の植物園は、全国で4つ(東大、北大、東北大、大阪市立大)しか一般公開されていないのが現状だそうです。

 

そして植物園の苦しい台所事情も紹介がありました。植物園は、調査費用が持てないそうで、今後の活動は活動地域の博物館と協力して、収集・調査事業を進め、絶滅危惧種の域外保全と地域復帰をより効果的に進めていけたらと考えているとのことでした。現在は飯野先生が発起人となり、2014年に西日本の植物園の連携促進や情報交換を目的としたネットワークを立ち上げたそうです。今年は植物園と博物館ネットワークとの連携をテーマに会合があるとの紹介もありました。

なんばパークスガーデンでのシンポジウム。いろいろなテーマが話されました。

いろいろなテーマが話された対談。

 

シンポジウムの最後に共通課題として、いきもの・自然に対する思い入れがないと社会全体が生物多様性を大切に・・・とならないため、動物園・植物園・博物館が来園者への働きかけをおこない、「興味を持っている人をどれだけ増やしていけるか」という話が出てきました。これは今後の活躍が期待されますね!

 

シンポジウムの会場となったなんばパークスは、商業施設としては異例の広大な屋上庭園(パークスガーデン)を持ち、四季を楽しめる仕組みを作っています。来園者も多様で、朝方は散歩を楽しむ高齢者、ランチタイムは主婦層、夕方は学生、夜は仕事帰りのサラリーマンなどが立ち寄ります。

 

人工空間であるパークスガーデンですが、自然への気づきが多くある場所であり、博物館・動物園・植物園とも違った、ここだからこそ出来る働きかけがあるいったお話もでました。そして飯野先生は「健全な都市緑化のキーワードは、「多様性」。都市公園も街路樹も多様化していくべき」ともお話されていました。

人工空間であるパークスガーデンですが、自然への気づきが多くある場所でもあります。

人工空間であるパークスガーデンですが、自然への気づきが多くある場所でもあります。

 

対談の終わり際に、大阪府立環境農業水産総合研究所 水生生物センターの山本さんからの話題提供がある、「天下の台所」とよばれた大阪らしく、なにわの伝統野菜が紹介されました。伝統野菜の発達は、豊かな食文化の象徴でありその食文化を支えていました。

 

昔の雑魚取の絵図も紹介しながら、「佃煮にして生物多様性の恵みを味わうことは昔から行われてきているし、当日も配布されていたMy行動宣言の5つの中では、「たべよう」が一番身近で実践しやすいことである」と来場者へ勧めていました。そして、2014年に選定された大阪生物多様性ホットスポット、今年からのおおさか生物多様性普及啓発キャンペーンの今後の展開について話されました。

 

最後に佐久間さんが「食文化をテーマにひとつイベントをやってみたいし、文化系施設も巻き込んで、多様性保全を考えていきたいし、考えると面白くなるだろう」とまとめシンポジウムは終了しました。

 

実際に庭園を廻り生きものを見ることから始まり、生きものの面白さをどのように紹介していくのかという知識を共有したシンポジウムは大盛況のなか終了しました。さて、みなさんの近所にも、パークスガーデンのように生物多様性をたのしく学べるところがありますか?ぜひこの機会に探して見てください。

 

なお生物多様性.comに6月までのイベントがまとめられていますので、ご覧ください。

http://tayousei.com/2016/05/10/1310/

 

 

その他おすすめスポット!

大阪にお越しの際は、以下の大阪のおすすめスポットへもぜひどうぞー!!

 

◎大阪◎おすすめスポット

・なんばパークスガーデン http://www.nambaparks.com/parks_garden.html

・天王寺動物園 http://www.jazga.or.jp/tennoji/

・大阪市立大附属植物園 http://www.sci.osaka-cu.ac.jp/biol/botan/

・大阪市立自然史博物館 http://www.mus-nh.city.osaka.jp/

◎参考リンク

・なにわの伝統野菜 http://www.pref.osaka.lg.jp/nosei/naniwanonousanbutu/dentou.html

・大阪レッドリスト、生物多様性ホットスポット

http://www.pref.osaka.lg.jp/midori/tayouseipartner/redlist.html

 

報告:にじゅうまるプロジェクト事務局(大阪) 石黒