企業とNGO等との交流会、に参加してきました。テーマは「自然再生の観点からみた東北復興支援」

3月19日に開催された交流会は、「自然再生の観点からみた東北復興支援」というテーマで、環境省や岩手県教育委員会といった行政、企業のCSR担当者、NGO、NPOの人が一同に会し、分野を横断した幅の広い話しあいとなりました。
主催は、にじゅうまるプロジェクトもお世話になっている、経団連自然保護協議会と経団連自然保護基金でした。
多様な分野から集まった話し合いでしたが、プログラムは大きく2つに分かれており、前半が東北復興に関して、後半が復興にかかわっているNGOの活動に関するものでした。

 【復興の今】

湧水が豊富な岩手県大槌町から来た教育委員会の方は、14.5mの堤防が沿岸部に作られ、堤防内も埋め立てが進行しているなか多くの湧水まで埋め立てられてしまう現状を報告していました。湧水には、絶滅の危機にあるイトヨという魚が多く住んでおり、埋め立てによって、イトヨが危機的状態にあることを危惧していました。また、「復興をしていく中に、「文化」の視点も重要です。」とも語り、地元のおいしい豆腐や文化に欠かせない湧水が埋め立てられてしまうことは、生きものだけでなく文化が廃れる可能性につながるのではないかと考え、今ある資源を活用し、企業と協働した復興を行っていきたいと話していました。

せんだい生態系再生コンソーシアム運営委員会は、海水にやられた水田の復田に関して、三井物産は自社がこれまでに行ってきたCSR活動を写真を踏まえて発表。初期は、緊急的な人員補助といった支援だったのが、今はコミュニティー支援や漁業支援が主になっており、常に支援の形態も変化しているということでした。

 

【現場NGOから。アースウォッチジャパンも発表】

現場で活動しているNGOの発表では、にじゅうまるプロジェクトメンバーでもある、アースウォッチ・ジャパンの活動もありました。アースウォッチ・ジャパンが行っているプロジェクトは、市民が協力できる干潟・田んぼ・島嶼の生物調査活動です。生きものを見ていくためには最低3世代にわたっての観察が必要らしく、最低10年はプロジェクトを続けていきたいと考えているそうです。

他には、元千葉県知事の堂本さんも登壇しており、災害リスクの削減(DRR)に対して生物多様性が持つリスク削減効果も考慮していかなければならないということでした。また、宮城県南三陸町の持続可能な養殖業の支援活動をしているWWFジャパンの前川さんは、地域の漁業関係者が活動や水産養殖管理協会(ASCC)の認証をとった経緯について発表し、地元の「私たちは商品を高く売りたいのではなく、この商品ができる過程をより周囲の人に知ってもらいたいから認証をとった」という声を紹介していました。

 

現場で生きものと関わりながら活動しているNGOの人たちと、それを支援している企業、また支援したいと考えている企業の方々が集まったこの交流会。現場での思いが見え、より支援者と支援される側の距離が近くなったのではないのでしょうか。今後もこのような機会は重要ですね。今度はまた別のテーマでの開催を、経団連自然保護協議会に期待したいです。

伊藤