「Good but not enough ?!」 生物多様性の現状を知ることができる報告書が日本語訳されました。

gbo4先日、生物多様性条約事務局よりGlobal Biodiversity Outlook 4(以下GBO4)の日本語訳が発表されました。
日本語タイトルは「地球規模生物多様性概況第4版」。
副タイトルに「生物多様性戦略計画2011-2020の実施に向けた進捗に関する中間評価」と難しい言葉が続いていますが、要は「愛知ターゲットの中間評価」です。

 

このGBO4はCOP(締約国会議)の要請を受け、生物多様性に関する最新のデータや保全動向、各国からのレポート※1などを元にまとめられ、2014年10月に発表されたとてもすごいレポートです。

で、GBO4に書かれている愛知ターゲット中間年の評価は以下のような一言
「Good but not enough」(良い。けれども、まだまだ不十分!)

これを見たとき、事務局のメンバーの一人が「わたしの彼氏みたい」といったとか、言わないとか。

 

総括としては、GBO4 P.10に以下のように示されています。
(オリジナル文章を事務局でまとめました。)

「COP10以降重大な進展があり、愛知ターゲットのいくつかの要素、特に愛知目標11の“全陸上面積の17%を保護地域にする”については、現状達成見込みとされる

 

しかし、あらゆる目標について進展はあるが、目標達成には不十分。追加的な行動が目標達成には欠かせない。

 

複数の指標を総合的に見ると、生物多様性に関する圧力は2020年まで上昇を続け、生物多様性の劣化は続くと見られる。これは生物多様性への取組みは劇的に増加しているが、それらの取り組みと取り組みの成果を認識できるまでのタイムラグが原因かもしれない。しかし、既存の取組みでもまだ生物多様性の損失を止めるためには不十分であることを示しているとも考えられる。

 

愛知ターゲットは、戦略目標A(生物多様性損失につながる背景要因への対処)や、生物多様性国家戦略の立案(目標17)、資源動員(目標20)など他の目標達成に強く影響を与える目標が存在する。

 

愛知ターゲットの達成は、ポスト2015開発アジェンダなど幅広い地球規模の優先課題、すなわち、飢餓や貧困層の減少、衛生改善、エネルギー・食料・水の持続可能な供給に貢献するものである

 

人間開発目標や“気温の上昇を摂氏2度に抑える”という気候変動の抑制、砂漠化や土地劣化への対処と共に、人と自然の共生する社会という2050年ビジョンを達成する道は存在するが、土地・水・資源利用の効率化や消費のあり方、食料システムの大幅な転換の検討など私たちの社会変革が必要となる。」

以上 総括文章

 

ここに書かれている通り、愛知ターゲットの達成は多様な社会課題解決にも貢献します。そしてこの目標を達成するために何が十分で、何が不十分なのかが分かったことがGBO4の成果でもあり、今後GBO4の結果を指標として多くのセクターの活動が進展しやすくなると思います。

 

ということで今日はここまで。
また時間があれば、内容を細分化して紹介できればと思います。

 

ちなみに報告書は、生物多様性条約ウェブサイト(http://www.cbd.int/gbo4/)からPDFでダウンロードできます。

そもそも自団体の活動は生物多様性と関係があるのか?どのように関係をもつのかを知りたいときは、
生物多様性条約事務局の公式ガイドに基づいて解説している国内唯一の資料、「愛知ターゲットガイド みんなで守ろう!地球といのちの20の約束」(\500-)
をお読みください。購入方法はhttp://bd20.jp/know-aichi-target/#guide から。

 

※1 第5次国別報告書(5th National Report)