環境に無理をさせない、持続可能な消費と生産は浸透している?GBO4が伝える中間評価

GBO-4は日本名が『地球規模生物多様性概況第4 版』という長い名前の報告書です。各国の生物多様性の専門家が、世界中の調査、研究をもとに世界の生物多様性(以下BD)に関する現状を総括し、またベストプラクティスなども紹介している、これ一冊でBDの今が分かるたいへん優れた報告書です。

 

この報告書は、2020年を目標年としてBD保全を推進する国際合意「愛知ターゲット」の目標達成年5年前に作成されているため、目標達成に向けた活動をしている市民、企業、国にとって(もちろん活動していない人達も)、今までの活動の成果を知ることが出来るもので、さらなる活動・対策を考える最適なツールでもあります。

 

 資源の利用効率は上がっている。しかしそれを上回るスピードで消費量が上がっている

今回は、愛知ターゲットの目標4に関する中間評価についてお知らせします。愛知ターゲットの目標4は消費と生産に関係する目標で

 

2020年までに政府、企業、市民などいろいろな人が、①持続可能な生産や持続な可能な消費を意識するか、行動しよう。そして、②自然から得られる資源の利用を、自然へ負荷のかからない安全な範囲に抑えよう。

 

名称未設定 1という内容です。GBO4では①、②で分けて調査、評価がされています。それぞれの評価は右図をみてください(評価の読み方は過去記事参照http://bd20.jp/150422/)。

 

ターゲットに向けて5段階中3となっています。評価理由としては、資源の利用効率に大幅な改善傾向がみられていることや、国際社会の全体の取組みとして、国連環境計画(UNEP)が主導する「持続可能な消費と生産に関する10年枠組みプログラム(リンク先:2015年10月6日確認)」が採択されたこと、それ以外にもモンゴルで策定された環境影響評価に関する法律、各国(ベルギー・日本・南アフリ・ウガンダ)の様々な産業を対象とするガイドラインの作成などなど、多くの分野で対策が行われていることを受けています。

 

しかし、資源の利用効率の改善が続いているとはいえ、それを上回る形で資源の総消費量の増加が続き、GBO4では今後もその傾向が続くと評価をしています。要因として指摘しているのは、生態学的フットプリントの大きい都市の拡大とその人口増加で、2050年までに都市人口は2倍、約63億人にもなると予測されており、この点を大きな課題としています。

 

目標達成に必要な行動としては、企業や市民社会、政府機関のパートナーシップの強化、需要サイド(消費者)への普及啓発等の活動促進、持続可能な調達政策を定める必要性などが提言され、COP12では、この評価・提言を受け、自治体に関しては、グリーンインフラストラクチャーといった土地利用やインフラ計画への生物多様性配慮、持続可能な都市化を達成するための諸活動への支援を求め、企業に関しては、持続可能な調達政策の推進を企業に求めることとしています。

 

以上、ト目標4に関する報告でした!

それぞれの詳細、情報源が気になる方は地球規模生物多様性概況第4版(Global Biodiversity Outlook 4: リンク先のJapanese の部分からPDFのダウンロードが可能)をご確認ください!