にじゅうまるCOP2 全体会合報告
2016年2月20日(土)から二日間にわたり、名古屋大学東山キャンパス野依記念学術交流館で開催されている「にじゅうるCOP2」。一日目の午前中はにじゅうまるメンバーの全体会合が開催されました。
開会の挨拶では、IUCN日本委員会会長の吉田正人から「2016年は、愛知ターゲットの振り返り地点。2015年には、国連の新しい目標SDGs(持続可能な開発目標)や気候変動のパリ合意が採択された、これからに向けた重要な年」との挨拶が、そして共催団体の名古屋大学環境学研究科夏原先生からは、愛知の豊かな生態系や、持続可能性の精神が込められた「名古屋大学平和憲章」を紹介する挨拶がありました。
また、環境省自然環境局生物多様性地域戦略企画室/生物多様性施策推進室の堀上室長からは、日本の生物多様性国家戦略の進捗や、今年3月に公開予定の生物多様性総合評価(JCB)2の概要についての紹介がありました。これに基づき、重点領域が来年度前半に整理されていくそうです。今年12月にメキシコで開催される生物多様性条約第13回締約国会議(COP13)でも「生物多様性の主流化」がテーマとなりますが、社会経済や暮らしの視点から生物多様性の主流化をはかることも大切だという発表がありました。
また、にじゅうまるプロジェクト事務局の道家からは、「にじゅうまるプロジェクト」の概要紹介とともに、2011年のキックオフ時(28宣言/18団体)から336宣言(248団体)に増えたこと、2020年に2020の宣言を目指して、さらに多様なつながりを広げていきたいと発表をさせて頂きました。
後半は、各団体からの報告です。「愛知ターゲットに触れる」という観点から、CEPAジャパンの佐藤さんから生物多様性アクション大賞・My行動宣言についての報告の他、生産と消費のつながりを学ぶゲームを使ったコミュニケーションが、生物多様性について実感的に学ぶ上で効果的との報告がありました。
また、名古屋市東山総合公園の企画官・上野さんからは、動植物園で毎年開催しているおりがみアクションや、生物多様性保全に対する動植物園の貢献について紹介がありました。東山動植物園では約7000種の植物、約500種の動物を展示していますが、ゴリラの子供が二頭で育つ姿など、非常に貴重で価値の高い展示もあり、生物多様性の普及啓発の地としての認知をさらに高めたいとのコメントがありました。
「愛知ターゲットに学ぶ」という観点からは、「田んぼの10年事業」を運営するウラムサール・ネットワーク日本の呉地さんから、全国各地の現場と豊かなつながりを育み、国際会議などを通じて世界への発信・交流について報告がありました。
四国生物多様性ネットワークの谷川さんからは、四国内のさまざまな地域での生物多様性に関する活動の全体像や、それぞれがつながりながらも、それぞれ個性的な活動を展開しているっこと、情報のつながる場づくりが大切であることについて報告がありました。また、生物多様性かんさいの宮川さんからは、関西各地も、それぞれ個性や独自性を活かした活動を展開しているということ、そして「食」や「テクノロジー」に着目したオリジナリティ溢れる企画についての報告がありました。
生物多様性わかものネットワークの松井さんからは、各地の生物多様性に関わるわかものを集める合宿型イベント「生物多様性わかもの会議」や生物多様性を伝える出張授業や国際会議での政策提言、「生物多様性わかもの白書」などの活動報告とともに、わかものが生物多様性保全により積極的に参画するための社会への期待が報告されました。
「愛知ターゲットの取り組みを応援する」という観点からは、愛知県地域協議会の武田さんより、知多半島臨海部での企業や学生と連携した生物多様性プロジェクトや、ものづくりとエコロジーの好循環を目指した西三河地域での活動などが紹介され、国立環境研究所の角谷さんからは、「民間保護区」の取り組みを把握し、推進するための活動について、その成果をまとめたパンフレット「生物多様性の新たな潮流-民間保護地域の今とこれから」が発表されたこと、また、それらの成果を世界保護地域データベースへの登録を目指したいといったことが報告されました。
全体討論では、主流化にむけて必要なこととして、「(テーマ/世代/地域などをつなぐ)橋渡し役となる人とつながること」「人々のつながる拠点をつくること」「小さくてもよいので人の集まる場をつくり、集まる人たちがモチベーションを維持するしかけを考えること」といった意見が共有されました。
(報告:にじゅうまるメンバー 株式会社yukikazet 今井麻希子)
当催事は、平成27年度地球環境基金、経団連自然保護基金の助成を受けて開催しています。