保護と管理が認定の決め手になる国際認証、グリーンリストをベトナムで調査してきます!

こんにちは。IUCN-J事務局の佐藤です。7日月曜、強い雨の降る東京を後にして、ベトナムのハノイに来ました。今のハノイは、15時の段階で20度。割と快適に過ごせます。 今回私がベトナムに来た目的は、「IUCNグリーンリスト」という仕組みに関するワークショップに参加するためです。

 

ベトナムでの移動中の的からの風景

ベトナムでの移動中の的からの風景

 

保護と管理が認定の決め手になる国際認証、グリーンリスト。

唐突ですが、「自然の守り方」にはどの様な方法があるとおもいますか?自然観察会などに親しみがある人であれば、「自然の大切さを伝えこと」が真っ先に挙がるかもしれません。それ以外にも、「守るべき土地を決める(=保護地域を作る)」という方法があります。地面と自然が切り離せない以上、「守るべき土地を決める」という方法はとても効果的です。

 

今回のテーマとなっている「IUCNグリーンリスト」は、「守るべき土地=保護地域」を認定する仕組みの名前です。保護地域の認定と聞いて、有名どころでは「世界自然遺産」や「ユネスコエコパーク」を思いつく方が多いかと思います。世界自然遺産は、世界で唯一無二の価値があるとみなされる場所を認定し、ユネスコエコパークは、自然の保護だけではなく、人間と自然社会の共生に重点が置かれた場所を認定しています。

 

保護と管理、両方が重要です。

保護と管理、両方が重要です。

 

では、「IUCNグリーンリスト」はどのような場所を認定しているかというと、「効果的な保護地域管理がされている場所」を認定します。極端な例を挙げれば、どんなに自然の価値が高くても、そこを守る人がいて、仕組みがしっかりあり、運用されていなければ、IUCNグリーンリストには認定がされません。

 

イメージとしては危険のレッド、安心のグリーン。

このIUCNグリーンリストは、クロマグロ、ウナギが絶滅危惧種として掲載されたIUCNレッドリスト(絶滅の恐れのある生物種)と対峙するようなコンセプトで出来ていると思うとわかりやすいかもしれません。レッドリストは、絶滅の恐れのある種を示すことで人々に警鐘を鳴らしますが、グリーンリストは、効果的で参加型の保護地域管理の取り組み(人と仕組み)を認定し、推奨する(褒める)国際的な仕組みです。

 

安心なグリーンに、危険のレッド

安心なグリーンに、危険のレッド

 

この仕組みは、2003年の世界公園会議の際に、はじめて「保護地域管理の効果を評価すること」の重要性が議題となった際にアイディアが生まれ、2012年の第5回IUCN世界自然保護会議の際に本格的な検討が始まりました。現在、8か国から24か所の保護地域が選定されています。

 

今回のベトナムでのワークショップでは、アジア地域で既に導入をしている国々(ベトナム・中国・韓国など)から先進的な事例を学び、日本でもグリーンリストの仕組み構築を目指し情報収集・アクションプラン作りをしていく予定です。

 

そして「守るべき土地を決め管理していく」というのはIUCN-Jで進めている市民が守る保護地域「民間保護地域」とも関係するので、ここに活かせる情報もあるはずです。これから1週間、少しずつグリーンンリストやワークショップに関する報告を現地からしていきます!

(民間保護地域の紹介はこちら http://bd20.jp/know-privately-protected-areas/