アジアの保護地域関係者のネットワーク(APAP)サイドイベントへの出席

1日目夜のサイドイベントのセッションでは、APAPに関するサイドイベントに出席しました。よくわからず「アプアプ」と読んでいたのですが、「エイパップ」と発音するのが正しいそうです。

APAPとは、Asia Protected Area Partnershipの略称で、保護地域に関するアジア地域のIUCN加盟団体(政府含む)による非公式なパートナーシップのことを指します。

DSC04143

サイドイベントのカバー画像

保護地域は、生物多様性や生態系サービスの保全をはじめ、さまざまな利益をもたらします。しかし、アジア地域では、数年前から保護地域が危機にさらされており、各地域での協働が必要とされました。そこで生まれたのが、APAPです。

APAPは以下の4つの目的を持っています。
1.アジアにある保護地域に関する経験を共有するためのフォーラム機能を提供すること
2.アジアにある保護地域が直面する課題に対する優良事例や革新的な解決策を開発し、促進すること
3.国境を越え、広域 で協働すること
4.アジアにある保護地域の利益に関する普及啓発をすること

APAPの歴史はまだ浅い方で、2013年に開かれた第1回アジア公園会議(日本・仙台)の機会に、日本とIUCNが共同でこのアイディアを提唱ししました。その後、計画に関する委員会(Planning Committee)などを経て、2014年にオーストラリア・シドニーで開かれた第1回世界公園会議でその発足が報告されました。
なお、第2回目のアジア公園会議を、2021年5月24日〜28日にサバ・マレーシアで開催するそうです(コタキナバルという世界遺産が有名な場所です)。

優良事例発表では、韓国のNGOの方から、観光と観光客のマネジメントにおける技術ワークショップ(以下、WS)の発表がありました。

オープンディスカッションでは、どのようにパートナーシップを強化するか、という問いが提起されましたが(IPBESサイドイベントの時とトピックが似ていると思いました)、ユース向けにパキスタンで同様のWSを開催するにはどうしたら良いか、技術WS内で発表していたガイドライン(WCPA(世界保護地域委員会)というIUCN委員会の作成したガイドライン)の情報を共有してほしい、自国で多様性の高い生態系があるけど保護地域にはなっていないところをどうしたらよいか、保護地域設定の成功例があれば教えてほしい・・・などなど、APAPの強化について、というよりは、「保護地域」に関して自国で困っていることをこの機に聞きたい、という人が多いように感じました。絶えず質問が続き、特にパキスタン・中国からの質問が多かったです。

最後に堀江IUCN理事から閉会挨拶がありました。

DSC04207

閉会挨拶を行うIUCN理事・堀江氏

APAPは成功例であるから祝福する、という祝辞からはじまり、第1回アジア公園会議の際、日本の星野先生(鹿児島大学)がキーマンとなっていたこと、最初は小さいパートナーシップだったが、韓国のス・ヤンベ先生(IUCN理事、韓国国内委員長の委員長、ソウル大学教授)の努力により拡大したこと、APAPは広く深く発展し、アクティブであることなどを話されました。また、星野先生は次期IUCN理事候補として選挙に出馬されるため、星野さんが次期理事に当選されれば、さらなる発展が期待できると述べられていました。

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。

矢動丸琴子(IUCN-J事務局)