目標6【過剰漁獲】暗い現状と、北大西洋海域の資源回復という希望

今日はGBO4が報告する、愛知ターゲットの目標6【過剰漁獲】に関する現状と、その対策の紹介です。まず目標6が目指す内容は、下記のA,B,C,Dの4点です。

 

2020年までに、Aすべての魚類と無脊椎動物の資源及び水生植物が持続的かつ法律に沿ってかつ生態系を基盤とするアプローチを適用して管理、収穫され、それによって過剰漁獲を避け、B枯渇したすべての種に対して回復計画や対策が実施され、C絶滅危惧種や脆弱な生態系に対する漁業の深刻な影響をなくし、資源、種、生態系へのD漁業の影響を生態学的に安全な範囲内に抑えられる

 

ターゲット6

図 ターゲット6評価(GBO4 p.56を改良し引用)

それぞれの目標に対し、現状でGBO4 (地球規模生物多様性概況第4版)はA,B,C,Dそれぞれに右の図の評価を下しています。(評価の読み方は過去記事参照http://bd20.jp/150422/)。

 

GBO4では、情報不足の観点から主に海洋漁業に関して評価しています。過剰漁獲が大きな問題として継続していることを指摘していますが、FAOの調査では2008年から2011年にかけて、漁獲対象種に占める“過剰に漁獲されている”種数が、32.5%から28.8%とわずかであるが改善していることも紹介しています。

 

一方で、評価すべき傾向として北大西洋海域での漁業資源の復活やMSC認証漁業数の増加(2008年から2013年にかけて、4倍に増えた)が指摘され、漁業資源の長期的な確保のための優良な手法として「個別漁獲割り当て(Individual Transferable Quotas)」なども紹介さていました。

 

この目標達成に必要な行動として、共同体協働管理制度などの活用、漁獲能力拡大につながる補助金の撤廃等の改革、海洋保護区ネットワークの拡大などが提言されました。また、この評価結果・提言を受けて、海洋・沿岸生態系に関する決定22(https://www.cbd.int/doc/decisions/cop-12/cop-12-dec-22-en.pdf)では、COP10以降進めてきた生態学的・生物学的に重要な海域(EBSAs:Ecologically or Biologically Significant Marine Areas http://www.cbd.int/ebsa/ )の科学的成果を歓迎すると共に、その成果を、国連総会や特別作業部会に提出することとし、海域空間計画の推進や能力養成、持続可能な海洋イニシアティブ(SOI:Sustainable Ocean Initiative)の推進などを各国にもとめています。

以上、目標6に関する報告でした!

 

それぞれの詳細、情報源が気になる方は地球規模生物多様性概況第4版(Global Biodiversity Outlook 4: リンク先のJapanese の部分からPDFのダウンロードが可能)をご確認ください!