【にじゅうまる関東ミーティング&戦略会議 開催レポート】 ~基調講演編②~
今日はにじゅうまる関東ミーティングで話された、IUCNの第6回世界公園会議(WPC6)に関する報告です。
WPC6の概要・注目トピックや、成果文書の紹介を通して、今後活動が期待される内容について紹介いただきました。
(基調講演編①、生物多様性条約 第12回締約国会議(CBD-COP12)関する報告はhttp://bd20.jp/20150414/から)
第6回世界公園会議(WPC6)について
2014年11月に、オーストラリアのシドニーで、第6回世界公園会議が開催されました。世界公園会議とは、IUCN(国際自然保護連合)がおよそ10年に1度開催する、保護地域※について話し合う国際会議です。今回は、約170カ国から5363人の登録があり、6,000人以上が参加しました。
※生物多様性・生態系サービスの保全や持続可能な利用を目的として設定される場(国立公園、鳥獣保護区、サンクチュアリなど)の総称
この会議の概要・注目したいトピックや、会議全体の成果文書(シドニーの約束)の紹介を通して、今後活動が期待される内容について2名のスピーカーをお呼びしてお話頂きました。
まずは、古田尚也さん(IUCN日本プロジェクトオフィス)に「第6回世界国立公園会議の成果:シドニーの約束」と題して、これまでのWPCの内容、今回の会議の概要、シドニーの約束(成果文書)についてお話頂きました。
会議概要については、8つのストリームと4つのクロスカッティングテーマを軸として会議が進行されたことや(こちらにも詳細がございます)、会場内の様子が報告されました。シドニーの約束については、以下のような構成で成り立っていることが説明され、各内容について紹介がありました。
ビジョン: 今後10年の間に必要な変革に関して求められる「高い目標」
革新的アプローチ: 「高い目標」を達成するために必要な大胆なステップ。150の勧告がまとめられた。
ソリューション: 「高い目標」を達成するためには、こんなやり方もあるのだという事を示す実例
約束: 「高い目標」を達成するため、政府やNGOなどから示された約束
その他、生態系を基盤とした防災・減災に関して、日本政府がFAO(国際連合食糧農業機関)と共催で「ストリーム4 人々の暮らしの支援」の取りまとめを行ったことや、2015年3月に仙台で開催された世界防災会議の概要について報告されました。
吉田正人(IUCN-J会長)からは、「第6回世界国立公園会議の成果とそれをふまえた今後の活動」として、WPCの歴史、WPC6を契機に発表された注目すべき内容、今後日本として取り入れていきたい内容として、IUCNグリーンリストを紹介しました。IUCNグリーンリストとは、効果的で参加型の保護地域管理の取組を認定、推奨する国際的な仕組みのことです。保護地域関連の国際的な認定・認証というと「世界遺産」や「ユネスコエコパーク(生物圏保存地域)」などを想像される方も多いかと思いますが、グリーンリストは保護地域管理の取組を認定するものなので、少し趣旨が異なります。2003年のWPC5の際に、保護地域管理の効果を評価することの重要性が議題となり、グリーンリストのアイディアが誕生しました。その後準備が進められ、8カ国で試験的運用がなされ、WPC6の際に、グリーンリストに登録された地域が発表されました。
ある保護地域をグリーンリストに登録するためには、「健全な計画」「公平なガバナンス」「効果的なマネジメント」「達成のアウトカム」の4本の柱に対応する評価項目を満たす必要があります。日本としても、保護地域をグリーンリストの視点から評価する仕組みを作り(評価委員会の設置等)、今後登録を目指していきたいことや、アジアでのグリーンリストを通じた協力関係の構築等についても考えていきたいと発表がありました。
以上です。
明日は【にじゅうまる関東ミーティング&戦略会議 開催レポート】
~基調講演編③~
午前最後のパネルディスカッションの報告です。