【サイド】IUCNってなーに&生物多様性オフセット

さて、IUCNの第6回アジア地域自然保護フォーラム(ARCF)がいよいよ本格的に始まりました。

今回の会議には、事務局から2名が参加しているため、【メイン】として会議本体の話と、【サイド】として基礎や余談編をお送りします。
昨日は、主にIUCNの現在のプログラム(2012~2015年)の評価と、今後4年間のプログラム(2016年~2020年)のドラフト版についての説明などがありました。

本編の会議については【メイン】をご覧いただくとして…
今回は、基礎の基礎編として、IUCNってなーに?と、分科会のひとつのテーマとなっていた「生物多様性オフセット」についてご紹介します。

開始前の会場の様子

開始前の会場の様子

 

 

 

 

 

 

 

 

◆IUCNってなーに?
日頃から、皆様より応援頂いている「にじゅうまるプロジェクト」ですが、実施主体となっている機関…みなさまご存知でしょうか。
国際自然保護連合日本委員会(IUCN-J)という組織です。
IUCN-Jは、IUCNという、とてもユニークな世界規模のネットワークに加盟している日本の団体を繋げている機関です。IUCN-Jの説明については別途ご説明するとして、まずはIUCNの説明をしたいと思います。
IUCNとは、世界中で生物多様性保全に取り組む専門家・団体を繋げている組織で、世界で最も大きな自然保護団体です。現在、1,200を超える政府/非政府会員と、約11,000人のボランタリーな専門家で構成されています。

政府会員/非政府会員の時点で混乱するかと思いますが、IUCNは、政府会員(今日は、Firts houseと呼んでいました)と、非政府会員(NGOや財団など。Second house)双方が加盟して一つのネットワークを作り上げている、独特な組織です。たとえば日本では、外務省/環境省と環境系のNGO14団体がIUCNに加盟しています(計16団体)。(この16団体間の情報交換を目的としてIUCN-Jが作られており、その事務局を古くからIUCNに加盟している日本自然保護協会が努めています)

IUCNは、「One program approach」という手法を取っていて、加盟団体全体でひとつのプログラムを決めて、取り組みます。そのプログラムは、4年に1回開催される世界自然保護会議(会員総会+世界の自然保護アイディア見本市のようなもの)という場で決定がされますが、その前年に各地域でも地域フォーラムが開催され、意見が募られたり、改善のアイディアを出すことが出来ます。
今回のARCFは、まさにその地域フォーラムであり、来年2016年にハワイで開催される第6回世界自然保護会議に向けた準備も進められていますし、各地域での事例紹介などもされています。現在アジアでの加盟団体は、24か国から259メンバーが加盟しており、世界でヨーロッパに次ぐ加盟数とのことでした。
よくにじゅうまるプロジェクトブログでお送りしている、生物多様性条約の締約国会議は、国(政府)が主体となり、慎重に一言一句鎬を削りながら交渉を繰り返し、合意できるポイントで合意し、拘束力を持って取り組みを進める仕組み(目標も含む)作りを行う会議です。
一方IUCNの会議は、決めた目標に向かって地面の上で活動している人達が、もっと効率よく・効果的に活動に取り組めるようにするための保全に向けた推進力/仕掛け作りを行う会議だと感じます。(もちろん、IUCNは生物多様性条約やラムサール条約、世界遺産条約などの起草を行ったり、世界遺産条約に関しては、公式諮問機関という立場としても関わりを持っています。)

そんなIUCNは、政府/非政府/国境を越え、科学的かつ公平な立場で話し合うことをとても重視しながらプログラムを実施したり、場づくりに関わっています。

◆生物多様性オフセット
今日行われた分科会の中で、生物多様性オフセットに関するセッションがあったので、詳細をお届けします。このセッションそれ自体も、IUCNらしいと言えばそれらしい仕事かなと思います。「生物多様性オフセット」それ自体は、賛否両論が飛び交う議論であることは間違いありません。2012年に開催された会員総会で、「ワーキンググループを立ち上げ、生物多様性オフセットに関するIUCNのジェネラルポリシーをまとめる」という議決がなされました。これに基づき、IUCNはワーキンググループを立ち上げ、ポリシーを取りまとめ、現在ドラフトへの意見受け入れを行っている所です。
詳細はこちらをご覧ください:www.iucn.ofg/offsets

今回、この進捗について報告/ドラフトへの意見募集促進の意味も込めてこの分科会が開かれたのかなと思いますが、今回は議題が議題だけあって、かなり意見が割れました。
「保全を進めたくない人への、開発のための免罪符となるだけじゃないか。」
「本当にこれは現実世界で成り立つのか」など沢山の意見がありました。
しかし、IUCNの方から一言。「私達自身も、この意見を出してくれた人たちと心がともにある(=保全したい)ことは重々理解している。ただ、こういった議論が割れやすい/上手く使わないと効果がない内容&上手い使い方を知る必要がある内容だからこそ、IUCNがポリシーを設立して、正しい方向と使い方を導こうとしているのでしょう」
このようにIUCNでは、「科学的な根拠に基づくポリシーの提唱」や仕組みの提案も積極的に行っています。(事務局:佐藤)

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