目標5は酷評5。森林面積は回復傾向だが、その他の環境の劣化が止まらない。(GBO4レポート)
今日はGBO4が報告する、愛知ターゲットの目標5に関する現状とその対策に関するお話です。
まず目標5で目指しているものは、下に記した内容で、A、B、Cの3つのポイントに分かれます。
2020年までに、森林(A)を含む自然生息地(B)の損失の速度が少なくとも半減、また可能な場合にはゼロ(ABの目標)に近づき、また、それらの生息地の劣化と分断が顕著に減少(C)する。
それぞれの目標に対し、現状でGBO4 (地球規模生物多様性概況第4版)はA、B、Cそれぞれに右の図の評価を下しています。(評価の読み方は過去記事参照http://bd20.jp/150422/)。
GBO4によると、世界規模でみると森林伐採の面積は減少しつつあるが、いまだ危機的な状態が高いとしています。地域ごとで見ると、ブラジルの熱帯雨林の減少は収まっており、中国やベトナムでは総森林面積の増加にまでいたっているという報告があります。しかし、依然として世界全体でみた場合、東南アジアが、パーム油のためのプランテーションによって、特に危機的状況が続いているとされていました。
目標5のBの部分に関しては、草原生態系やサバンナ生態系などが農地転換されている課題や、世界規模の測定は存在しないものの淡水湿地面積の減少傾向が示唆されています。目標5・Cの生息地の劣化・断片化については、森林や草原、湿地、河川システムを含め、全種類の生態系で進んでいると指摘。各国から生息地面積の減少を抑えるための取組みが報告されているものの、断片化や劣化に対する活動報告がほとんど手に入らないことも問題視されていました。
この目標達成に必要な行動として、生息地減少に関する直接・間接の要因把握、土地利用や空間計画に関する法的枠組みの整備や執行能力の強化、生息地・土地利用状況のリアルタイムのモニタリング、効果的な保護地域の拡充やネットワーク化などが提言されています。この評価・提言を受けCOP12では、生態系の保全と再生に関する決定19(Decision XII/19)内で、民間保護地域の重要性を認識し、民間セクターに対して生物多様性の保全と持続可能な利用に関する取り組みの継続を求めています。
以上、目標5に関する報告でした!
それぞれの詳細、情報源が気になる方は地球規模生物多様性概況第4版(Global Biodiversity Outlook 4: リンク先のJapanese の部分からPDFのダウンロードが可能)をご確認ください!