IUCN−自然を守るためのユニオンの皆で描く未来

9月2日から5日まで4日間かけて行なわれる世界自然保護フォーラムは、世界自然保護会議の前半パートにあたり、シンポジウム・ネットワーキング・ハイレベル会合・ネットワーキングや展示・ポスター・ソーシャルイベントなどが毎日目まぐるしく行なわれる予定です。ここには政治家も行政も、国連機関や国際機関、企業、NGO、研究者、ユース、先住民などが、何らかの形で、IUCNの一員としてやってきています。

 

このフォーラムは何のため?と聞かれたならば
「世界各地から人々が、成果と知恵と経験と提案と悩みと何らかの思いをもって集まります。一つ一つの点が集い、引いて見たときには絵がうきあがる点描画のように、自然に関する未来像を描く4日間がこのフォーラムの役割です」というのが今思いつく答えです。

 

9月2日には世界自然保護フォーラムの開会式が開かれました。これから製作の始まる点描画のモチーフを共有する場と言えるでしょう。さて、フォーラム開会式は、なんと、イギリスのチャールズ皇太子からのビデオメッセージから始まり、その後、アリソン・スードルIUCN親善大使の司会兼挨拶が行なわれました。とても素敵なメッセージだったので表現を活かしながら要約すると、以下のようなかんじになります。

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「自然の危機とそれがもたらす人々の平和に危機が迫っていること、誰かがやる、誰かが動くでは世界は決して良くならない。

誰かとはあなた。

ここには、190カ国から9000人の人々が、政治家が、自然保護の実践者が企業が、研究者が、技術者が、先住民が、信仰に携わる人々が、そしてその選択によって大きな影響を受ける次世代が集っている。

私たちは個人でなく、自然を守るためのユニオン、それがIUCNの一員。私たちも自然の一部であり、分け隔てるものはない。ユニオンとしてやるべきことを、この4日間で作っていきましょう」

 

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フォーラム開会式の最初のセッションは、インガー・アンダーセン事務局長とニューヨークタイムスのトーマス・フリードマン氏との対談で、Planet at crossroad という会議テーマを選んだ理由について、情報やITや様々な技術革命にどう自然保護のコミュニティは合わせていくかといったことが話し合われました。

 

インガー事務局長からフリードマン氏に「どのようなリーダーシップをIUCNに期待するか」と質問したところ、「科学コミュニティーとして正しい情報を与えること」「世界のリーダーに影響を与えること」という答えでした。今、リーダーと呼ばれている人たちは遅すぎる(Leader is too late)というフリードマン氏の発言に会場からも同意の拍手が沸きました。IMG_0033

 

さて、ナショナルジオクラフィックと、前ホスト国の韓国からの挨拶に続いてパネルディスカッションです。サリーアメリカ内務省事務次官やピーターバッカーWBCSD会長、イリーナ・ボコバUNESCO事務局長、エリックホルハイムUNEP事務局長、石井奈穂子GEF事務局長を招いたパネルディスカッションがありました。

 

「ビジネスはシンプル。事実があって、行動する。そんな私たちに自然資本プロトコルができ、ナチュラルインフラストラクチャーとして、経営のインフラとして考える枠組みも出来た。あとは、企業がここに参加するだけではなく、企業の全体の慣習(norm)を作り、ルールを作る必要がある」
「近代の経済自体は賞賛している。だが、そのコストである、自然破壊は、次世代や孫の世代か、地域の小規模コミュニティーにかかってくる。」(エリック)
「地球環境ファシリティー(GEF)では、先進国からの43億ドルの追加徴収の交渉に成功した。それでも、スピートとスケールで望まれているレベルのものを達成させていない。仕組みを変えるための仲間作りの必要がある。GEFとしてもそのシステムチェンジのためのコアリションをIUCNと作っていきたい。」(石井)

等の発言がありました。

 

パネルディスカッションの最後の質問は、「2020を想像して、自分は何を変えることが出来るか、どうなっているとよいか」という質問です。

「SDGsとパリ協定を一緒にして、達成を目指す」
「グローバルコモンズがすべての人々のビジネスに入り、一般的な言葉となっている。私たちは正しい道の上を歩いていると、いえること」
「大企業とか関係なく、普通に運営される企業の動きの中に環境が入る。世界レベルでの生態系支払いが実現すること 。人々の言葉が変わること」という発言が続く中で、これはと思ったのはピータWBSCD会長です。

 

「2020年には自然資本プロトコルが多くの企業に適用される」といったあと、「8年後も言える!自然資本が普通の企業会計ルールに入っていることさ。経済が、お金を考えるのと同じように自然に環境のことを考える社会を作る」と発言してまたまた大きな拍手です。

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ピーター・バッカーWBCSDプレジデント

 

その後は、生物多様性の父、E.O. ウィルソンのスピーチがありました。ウィルソン博士は最近「Half-Earth: Our Planet’s Fight for Life」という本を出版し、地球の陸も海も半分は自然のための場所にするべきだと提唱されています。

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アレハンドロ・モザ(メキシコ政府)から、COP13をホストすることを紹介するとともに、今年の終わりまでにメキシコの島嶼をすべて保護地域にする。24000平方キロを保護区にし、チョウチョの保全のためにアメリカ・メキシコ・トーゴの国境横断型保全の協定を結ぶことを宣言されました。

 

(公財)日本自然保護協会経営企画部副部長
国際自然保護連合日本委員会副会長・事務局長
道家哲平