IUCNの今後の4年間の方向性が決まる
Planet at crossroad 岐路に立つ地球
このタイトルを掲げ、5日間のフォーラムと4日間の会員総会のそのすべてが、IUCNという組織の今後の方向性、IUCNが進む道を決めるのですが、その中核と言える文書が「IUCN4カ年計画2017−2020」となります。IUCN会員、事務局、専門委員会、理事という複数の担い手によるビジネス環境も自然環境も異なる世界各地で行なわれる「One Program」です。IUCNの4年間の事業計画というものは想像できるでしょうか。
IUCNの場合は、重点項目とよべる3つのプログラムエリアに対して、世界レベルで実現させる状況(Global Result)と、それぞれに3つずつ計9つのサブグローバル(Sub Global Result)を設定し、2020年までのターゲットで構成します。
例えば
プログラムエリア 1「生物多様性を価値付け、守る」では、
グローバルでは、 1.種や生態系が直面する危機を減らす と設定し、
サブグローバルでは、 1−1生物多様性を価値付け、守るための信頼性のある知識が手に入り、それらは活用され、効果的にコミュニケーションされている(状態を目指す)
1−1に対する2020のターゲットとしては、
1.絶滅危惧種レッドリストの評価種数を160,000種にし、75%の国のレッドリストが、IUCNの基準を採用している。
2.生態系レッドリストが、世界生態系分類にのっとり、世界の25%の生態系の危機が評価されている
3.グリーンリストを含む、愛知ターゲット11の実施状況をまとめる、Protected Planetレポートが正確で、適宜更新されている。
4.2500カ所の生物多様性重要地域(Key Biodiversity Area)が特定されている。
5.自然の価値や保全に関するIUCNの知識が生まれ、主要な地球規模、地域規模、の決定や行動に伝えられている。
といった形です。
残り二つのプログラムエリアは
2.「自然資源の利用を公正衡平にする」では、国際政策の枠組み変更、IUCNのガバナンスに関するツールの開発、保護地域ガバナンスの評価、ジェンダーメインストリーミングなどをグローバルリザルトとして掲げています。
3.「地球規模課題に自然を活用した解決策(Nature Based Solution)を模索する」では、森林復元に関するボンチャレンジ、景観復元計画、パリ協定NDCへのNBSの組み込み、沿岸生態系の管理(Manglove for the future)、森林政策や法制度の改善などを掲げています。
この目標について、IUCN会員団体は積極的に参加できる・参加を求められています。
(公財)日本自然保護協会経営企画部副部長
国際自然保護連合日本委員会副会長・事務局長
道家哲平