IUCNグリーンリストツアーVol1
日曜日は、先日ブログに記載した「IUCNグリーンリスト」に現在メキシコが登録しようとしている保護地域のひとつである、シアンカーン生物圏保存地域(ユネスコエコパーク)へのツアーに参加してきました。
当保護地域は、 世界自然遺産・ユネスコエコパーク・ラムサール条約登録湿地・MSC認証のロブスター漁業など、様々な国際認証を持っている地域です。 面積は、5280㎢(陸上4080k㎡、海域1200k㎡)に及び、愛知県とほぼ同じ大きさとなっています。「シアンカーン」はマヤの言葉で「空の生まれた場所」を意味します。
マングローブの熱帯雨林やラグーンなどの湿地帯、サンゴ礁など多種多様で特殊な自然環境が残っており、400種以上の植物・350種類以上の鳥類など、様々な生物が生息しています。保護区内にはマヤ族が交易の場所に使ったと思われる建物も残っており、ラグーンとラグーンを繋ぐ水路などは、当時使用していたままの状態で現在も使用されています。
ここでは、マヤの人々が中心となって行うエコツーリズムが行われており、観光客はラグーンとラグーンを繋ぐ水路で泳いだり、林内を歩くことで特殊な自然環境を楽しむことが出来ます。
しかし、観光客が入れることとなっている地域は保護地域全体のわずか3%。守るべきエリアはしっかり手つかずのまま守れるよう努力が重ねられています。
いわゆる観光エリアでは、1日に入れる観光客数は90名と決められており、野生動物が活発に活動する日の出頃・日の入り後・夜の時間帯も入場が禁止されているとのことでした(つまり、観光客が入れるのは日の出後8時程~日の入前5時程度まで)。制限や規制は、CONANPというメキシコ国家自然保護地区委員会(環境資源省内に、自然保護地区における保全管理を担当する機関として設置されている)が担当しており、ツアーのオペレーションやレストラン等は基本的に地域の人達(マヤの人達)によって行われています。
ツアー後は、トゥルム遺跡にあるホールに移動し、グリーンリストについての基本的な紹介プレゼンテーションや、コロンビアとメキシコでの導入に関する事例紹介を聞きました。様々なエリアの保護地域管理官から直接事例を聞くことが出来、日本でもグリーンリストの導入によって、質の高い保護施作の実現と、観光客への継続的で良質な観光プログラムの提供が両立できるのではないかと確信しました。
実際に現地を訪れてみて、これから導入されるグリーンリストの仕組みが、このエリアにどのような影響をもたらすのか、今後も状況を知りたいと感じた一日でした。
公益財団法人日本自然保護協会
IUCN日本委員会
佐藤真耶