資金や能力形成などの資源動員について

そもそも「資源動員」とは?
英語では”Resource mobilization”と言います。主にこの議題について話される時は「どんな資源を、どこからどれだけ動員する(持ってくる)か」についてが議論されます。2014年に開催されたCOP12,今回のCOP13ともに大きな論点になっているのは当然「お金」についてですが、お金だけではなく、「キャパシティ・ビルディング」などの知識の強化などもこの議題で扱われます。

 

今回は、「資金レポーティング」、「キャパシティ・ビルディング(能力形成)」の部分で議論が行われました。

 

資金レポーティング

◆どのような議題か?
COP12で生物多様性のための資金の動員に関する目標が採択されました。COP12では、その目標がどれだけ達成できているかをCOP13でレビューすることも決定されており、この議題はそのレビューに関して話し合われました。

 

◆議論のポイント
<途上国への支援を特筆するか?>
「途上国が条約の義務等を実施するためには、先進国の支援が必要不可欠である」という旨のパラグラフを追加するかどうかで議論が起こりました。また、先述のCOP12で採択された目標の進捗を留意する旨のパラグラフでは、”先進国から”途上国への資金の流れを特筆する部分を作るかどうかでも議論が起こりました。

 

ボリビア、フィリピンは、このパラグラフが必要であると主張しました。しかし、途上国に対する支援が大事であることはもちろんだが、条約としては先進国からの支援だけを特筆する必要がないという理由で、EU、カナダ、スイスが反対しました。最終的には、それを特筆する記述は削除されました。この議論の最中には、「以前の決議は”very political language”であり、先進国に限った話ではない」というスイスの交渉官の説明があり、法律の世界での一つ一つの言葉が持つ意味の大きさを感じました。

 

キャパシティ・ビルディングと技術支援

◆どのような議題か?
途上国のキャパシティ・ビルディング(能力形成)と技術支援自体の推奨、それに対して資金を投入することを求めるものです。

 

◆議論のポイント
<フードセキュリティーについて>
途上国に関して、よく使われるフレーズとして、「途上国、特に後発開発途上国、発展途上の小さな島国、新興国」というものがあります。この議題では、フレーズに「フードセキュリティーへの貢献に注目し、食料や農業のための、遺伝資源の産地である国」というものを追加するかどうかで議論が行われました。この文言の追加はメキシコとペルーによるものでしたが、特にペルーがこだわっていた印象でした。

 

しかし、ウガンダ、スイス、EUなどが、特段これを言わなくても当然そういった国は中に含まれているため必要がないという主張で、追加しないままのほうが誰も追い出されることなくカバーできるので適切ではないかという流れになり、メキシコもそれに同意。ペルーは難色を示していましたが、最終的には合意に至り、該当する記述は削除されました。

 

 生物多様性わかものネットワーク

安藤みゆき