にじゅうまるパートナーが集結 「にじゅうまるCOP3」開催!

「愛知ターゲット」の目標達成に取り組んでいる企業・行政・市民団体などが、2年に1度集結する「にじゅうまるパートナーズ会合」。その3回目となる「にじゅうまるCOP3」が、2018年2月17日(土)・18日(日)の2日間にわたり、國學院大學学術メディアセンター常磐松ホールと同3号館で開催されました。

全体会合第1部:にじゅうまるプロジェクトの進捗報告

「にじゅうまるCOP3」の1日目は、全体会合からはじまりました。開会の挨拶では、IUCN日本委員会の渡邉綱男会長から、2年に1度開催されるこの会合で2年の歩みを共有し、パートナー間の連携をさらに深めあい、2020年の愛知ターゲットの最終年に向けた方向性を見つけて欲しいとの話がありました。続いて、共催団体の國學院大學研究開発センター・共存学研究プロジェクトの古沢広祐教授からは、生物多様性だけでなく社会・文化の多様性が重要であり、そしてこの会合が、国連持続可能な開発目標(SDGs)などの課題も踏まえた新たな方向性を探るよい機会になることを期待しているとの挨拶がありました。

IUCN-J会長 渡邉綱男

開会の言葉

共催挨拶

つぎに、IUCN日本委員会副会長・事務局長の道家哲平さんが、にじゅうまるプロジェクトの活動報告を行いました。2011年10月8日に18団体28宣言でスタートしたにじゅうまるプロジェクトは、現在では495団体697宣言となりました。その宣言の内訳は、NGOよりも企業の方が多くなり、全国各地の活動が登録されています。また、動物園・水族館や企業団体など、さまざまな団体との連携が展開していることも報告。愛知ターゲットはSDGsの指し示す持続可能な未来の下支えとなる目標ともなり、2020年までに2020宣言をめざして、さらなる連携を呼びかけていきたいという今後の方向性を紹介しました。

IUCN-J事務局長・副会長 道家哲平

にじゅうまるプロジェクトの活動報告

全体会合第2部:にじゅうまるを推進する活動の報告と討議

全体会合第2部は、にじゅうまる宣言や生物多様性に関する活動を行っている9つの団体からの報告からはじまりました。

口火を切ったのは、電機・電子4団体生物多様性ワーキンググループの阿部達也さん(株式会社明電舎)。生物多様性ワーキンググループでは、事業活動と生物多様性の関係性の整理を行い、愛知ターゲットに対する具体的な行動指針を提示しているとのこと。また生物多様性教育ツール「Let’s Study 生物多様性!(LSB)」を開発したり、生物多様性保全活動事例データベースを構築しているとのこと。会員企業へのアンケートでは、業界の愛知ターゲットへの貢献度増してきていることが確認できた一方、活動にレベル差があるため、今後はフロントランナーの支援と共に、ボトムアップのために活動事例をまとめたツールを開発中とのことでした。

電機・電子4団体 生物多様性ワーキンググループ 阿部達也氏(株式会社明電舎)

次は自治体の取り組みとして、岡山市環境保全課の山田瑞希さんからの報告でした。岡山市では生物多様性地域戦略を推進するツールとして、にじゅうまるプロジェクトを利用していますが、生物多様性のためにすべきことが20に分類され、かつ、それをアイコン化したにじゅうまるプロジェクトの趣旨は分かりやすく、具体的な宣言につながりやすいとのことです。温暖化対策などを行っている企業などに参加を呼びかけ、現在は12団体12宣言が申請されたとのことでした。

3番目は愛知県自然環境課の来住南輝さんから、愛知県の生物多様性保全の取り組みについての報告でした。同県では、開発によって分断され孤立した自然を、緑地や水辺でつないで生きものの道(生態系ネットワーク)を形成する取り組みを行っています。県内各地に設立された協議会は、7年間かけて全県をカバーする体制が確立され、9地区で約250団体が参加しています。この協議会を通じて企業と学生とNPOが協働するほか、県政お出かけ講座でMY行動宣言を普及させるなどの活動を行っているとのことでした。

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4番目に登場した、大阪市建設局天王寺動物公園事務所の山元美紗さんと片岡千馨さんから、天王寺動物園での取り組みが紹介されました。同園で年間を通じてさまざまなイベントが開催されていますが、その際におりがみアクションやMY行動宣言を活用して、参加者に生物多様性への理解を深める取り組みをしているそうです。

パナソニック株式会社の佐藤恭子さんからは、パナソニック環境エンジニアリング株式会社が取り組む、バラスト水処理システムについての発表がありました。2017年に船舶バラスト水規制管理条約が発効したことにともない、外来種対策の一環として、バラスト水処理設備の設置が義務化されました。これを機に、水処理技術のノウハウを持つ同社が船舶事業に新規参入し、薬剤やフィルターを必要としない技術を開発したとのことでした。

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沖電気工業株式会社の山本直樹さんは、同社の生態系サービスへの依存度・影響度を評価する取り組みについて報告しました。同社はかねてより環境管理活動のなかでの取り組みを行っていましたが、より客観的な観点から評価を行うために、「企業のための生態系サービス評価(ESR)」を用いた再評価を行ったそうです。そして、今後はすべての新規開発製品で、ESR評価を含む環境影響評価を展開することを検討しているとのことでした。

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ラムサール・ネットワーク日本の呉地正行さんからは、「田んぼの生物多様性向上10年プロジェクト(RiceBED)」についての報告がありました。このプロジェクトは、ラムサール条約や生物多様性条約の水田決議を現場で展開するために立ち上げられました。愛知ターゲットと対応する「水田目標」を設定して、行動宣言を呼びかけるとともに、国内外でさまざまなネットワークを構築しているとのことです。

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谷川徹さんからは、四国生物多様性ネットワークの活動についての報告がありました。このネットワークは生物多様性条約COP10を機に発足したゆるやかなつながりで、四国各地で生物多様性会議を開催するとともに、網目状のつながりの構築を目指しているとのことでした。

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最後の報告は、生物多様性わかものネットワークの引地慶多さん。このネットワークは生物多様性やその問題に関しての活動・研究を行う学生と若手社会人が対象で、現在90名が会員とのこと。合宿形式の会議を行ったり、国際会議への参加・提言、出前講座や全国の活動を集約した「生物多様性わかもの白書」の発行を行っているとのことでした。

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さて、これら9つの報告のあと、フロアの参加者を交えた討議が行われました。にじゅうまる宣言も増えて活動も多様化してきた反面、一般市民の認識からは愛知ターゲットが忘れられつつあるのではないかとの懸念も示されました。それを解消するためにも、生物多様性を分かりやすい言葉と方法で伝えていく必要性が説かれました。最後にWWFジャパンの草刈秀紀さんが、社会を変化させるためにも、市民立法でもある生物多様性基本法を理解し、行動する政治家が求められていると強く訴えて全体会合は終了しました。

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(報告:原野好正@バイオダイバーシティ・インフォメーション・ボックス(にじゅうまるプロジェクトメンバー))