ポスト愛知を語るーNGOワークショップ
2010年生物多様性条約COP10から8年が経過し、残り2年の愛知ターゲット達成への取り組みを議論すると同時に、愛知目標の次を検討する動きが少しずつ出てきています。SBSTTA22の前の土日にポスト愛知枠組みについてNGOで検討する会合に出席しました。
この会合はWWFドイツが主催。主催者代表のギュンター・ミットラッハー氏(2007年からお付き合い)から、招待されたことがきっかけです。イベントは、2日かけて実施されました。内容は多岐にわたり、一つ一つの愛知目標の中身や時期目標で組み込むべき要素の検証から、目標の構成・作り方、次の目標で検討すべき仕組み(PDCAサイクルのようなもの)について、幅広く話合いました。
ワークショップに先駆けて、研究もおこなわれており、その成果も興味深いと感じました。
1.良い目標設定をすれば、成果が出るか?高い目標設定をすると達成できないものなのか?
研究の一つは、良いとされる目標設定をすれば、成果を出せるのかというものです。良い目標の条件として挙げられたのが、具体的か(Specific)、測定可能か(Measurerable)、達成可能か(Achievable/Realisticという表現を使うこともある)、意欲的か(Ambitious)、達成時期が明確か(Time-bound)という観点、この頭文字をとってSMARTかで評価されました。
バードライフインターナショナルのイギリスパートナーである王立鳥類保護協会では、200人近い研究者にアンケート調査を行い、愛知目標のそれぞれがSMARTであるかどうかを10点満点で評価すると同時に、愛知目標の達成度について書かれた論文や文書等の比較をすることで、愛知ターゲットの「目標としての評価」を行いました。
その結果、良い目標設定は具体的な成果を生み出すこと、目標の意欲度と達成状況に相関がないこと(高すぎる目標は実行されないとよく言われる主張は当たらない)、愛知目標は総じて包括的で、2010年目標(愛知目標の前身の目標)と比べてずっと発展しているという結果を導き出しました。
2.2030年までに生物多様性の分野で取り組むべきテーマは何か?
生物多様性に関して、今後10年の課題(キーワード)は何かさぐる調査では、250近いキーワードがだされ、キーワードの多さでは、下記のランキングになったそうです。
1. 政策の一貫性 ガバナンス、実施能力の強化
2. 主流化、持続可能な生産
3. キャパビル、
4. 倫理や権利、文化多様性
このような成果を踏まえつつ、ワークショップでは、全20の目標について議論するとともに、目標達成の仕組みそのもの(今回は、気候変動枠組み条約パリ協定の国別貢献(National Deterimide Contributionの仕組みの応用)についても話し合いを行いました。内容は多く書ききれないため、今後報告会等で詳しく紹介できればと思っています。
道家哲平(日本自然保護協会/IUCN-J事務局長)
*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。