ポスト2020作業部会初日(12月3日)の進行
第5回ポスト2020枠組み作業部会が始まりました。共同議長による挨拶も早々に切り上げられ、6月に開かれたナイロビ会合から今日までに開かれた準備会合の報告等が行われました。
ポスト2020生物多様性枠組みに関する小規模グループ(文章の重複など25%減らせて、ブラケットの数も削減)、報告枠組み(ナイロビ会合の直前に実施)、資源動員、DSIに関する専門家会合などです。
それぞれの会合の作業を概ね歓迎する声が多いものの、ポスト2020枠組みの報告については、こだわりのキーワードが整理の過程で無くなったことを懸念する、会合に参加出来なかった国の発言などもあり、油断すると、議長の進行に関する問いかけ以上の回答がまざってしまい、思った以上に時間がかかりました。
かつて(第2回ポスト2020枠組み作業部会@ローマ2020年2月)は、「GBFとDSIはパッケージだ(両方合わせて合意する項目)」との途上国のこだわりが強いように見えた遺伝子塩基配列のデジタル情報(DSI)も専門家会合にて、取り得る政策選択肢と、選択する際の判断基準などをもとに検証した結果、COP15では、どんな要素を議論し、どんな手続きで検討していくかを決めることが焦点となりそうで、建設的な意見交換ができている雰囲気でした。
参考 DSIの政策オプション。当初、電子化された遺伝情報も遺伝資源扱いとの主張があったが、選択肢は、その規定に限らない幅が示され、この中から、妥当と思われるものは何かという意見の濃淡も明らかにされている(CBD/WG2020/5/3 より仮訳)
オプション 0 現状維持
オプション 1 DSI は遺伝資源と同様に扱われ、国の PIC と MAT が適用される。
オプション2.1 DSIは国別MATを要求するが、PICは要求しない。
オプション2.2 DSIは世界標準のMATを要求し、PICを要求しない。
オプション 3.1 DSI へのアクセスは支払いを要する
オプション 3.2.a 研究へのインプットとしてのサービスおよび製品に対する支払い/課徴金
オプション 3.2.b 任意拠出金と連動する債券およびラベル
オプション3.2.c DSIの利用による製品への賦課金
オプション 4 技術的・科学的協力の強化及び能力開発
オプション5 DSIの利用から得られる利益は共有しない
オプション6 生物多様性を利用した製品の小売販売に1%課税(アフリカ案)
午後は、DSIを扱うCG5を1時間程度実施した後、実施・ツール関連の目標を議論するCG4と、ポスト2020枠組みのセクションA背景、セクションB目的を検討するCG6が開かれました。
CG4では、目標20,21、22の文案は合意されたとの報告があったそうなので、文書が公表された後にご報告します。
CG6では小規模グループの文章をもとにブラケットを外すための表現を探るはずが、新たな表現、冗長な表現が復活し、また文章量が膨れ上がるなどのやりとりが見られました。
セクションBの目的の章では、条約の目的の実施、多様なステークホルダーの行動の触発、全体の方向性を示し、進捗評価を測ること、議定書や他の条約との連動を取るためため等の目的を表現したいのですが、GBFの実施の支援者として期待される担い手を、細かく分類して記述するか、記述をall societyと包括的な表現を取るかなどが意見が分かれました。
先進国と途上国との間で明確な対立軸は浮き上がってこず、まだ、色々な意見が出てくる状況で、午後と夜のセッションの間に意見のある国の間で議論を続けるよう、共同進行からの指示がなされました。
夜の7時半から10時半からのセッションでは、Non-paperをもとにDSI(コンタクトグループ5)と、GBFの基本原則(セクションBbis。コンタクトグループ4)が開かれました。CG4は、午後の会合の継続審議(折り合いが見られない項目について、夕食の間に取りまとめるよう議長が指示)の文言の検討を行った後、基本原則を扱いました。議論の時間が取れてなかった内容ということもあり、13の基本原則(案)のうち、先住民地域共同体に関する原則の表現の強弱で意見が割れ、進みが悪かったと思います。
国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平((公財)日本自然保護協会)