愛知ターゲット中間評価−Good but NOT enoughな4年間

愛知ターゲットダッシュボード 目標に到達しないという評価が目立つ

COP12初日本会議(Plenary)にて、第4版地球規模生物多様性概況の概要を、ポール・リドリー博士(パリ大学)でGBO4のまとめ役として発表されました。

発表概要を紹介します。

GBO4表紙

「GBO4では4つの疑問をたてました。愛知ターゲット達成の方向に向けて正しい道程を歩いているかどうか、どんな行動が達成に必要か、愛知ターゲット達成は2050年ビジョンにどうかかかわるか?、どのように愛知ターゲットはもっと大きな世界的開発目標に関係するか?

お配りしている文書の他に、およそ500ページに及ぶテクニカルレポートがまとめられています。IPCCに近いレポートになっており、その成果物が現在配布されているものです。読めないほどたくさんの沢山の科学者や機関の貢献でなし得た成果です。

総評について。

愛知ターゲットダッシュボードというのがあり、悪化、変化なし、進んでいるけれど目標達成に届かない、目標達成に向かっている。目標を超えようとしているというのが一目で分かるようになっています。一言で言うと、多くの進展があるが、目標達成には不十分。good but enough。という成果。ターゲット10についていうと、目標達成に失敗どころか、後ろ状況悪化という誤った方向に進んでいると結論づけられます。

GBO4の特徴の一つは、数多くの事例を紹介していることです。ブラジルの森林違法伐採の減少の様子などを紹介。また、再生可能エネルギーの導入で温室効果ガスを抑えた事例や、漁業規制を導入して持続可能な漁業に転換したイギリスの事例が紹介されています。

生物多様性への対策(レスポンス)は増えているけれど、生物多様性の損失はつづている。つまり、私たちは取組みを継続しつつ、この取組みやそれが生み出す効果を2倍くらいにしていかなければいけない。

国別レポートの分析も行い、国によってちゃんと対応されている目標と対応されていない目標などもハッキリしました。例えば、愛知目標10についての言及がほとんど見られていないということも判明しました。例えば、今の食料を巡るシステムでは、およそ30%近くの無駄を作り出している。漁業についても非持続可能なものが非常に大きな割合を占めているといったことも言えます。

結論はこうです。

進捗はあるけれど、不十分、そして、この努力を2倍にしていかなければならない。多くの取組みがしかし、現状の流れを変えるものになっていないことを認識しなければならない。しかし、2050年ビジョンは「まだ達成可能」であるという結論です。GBO4はこのメッセージを多くの人に伝えていきたい。」

GBO4へのリンク(英語)

(公財)日本自然保護協会 道家哲平