COP12決議紹介ー多様な主体の参画

企業参画

締約国、企業、事務局長に対しそれぞれの提案・メッセージをまとめました。(後ろに(新)と書いてあるのは準備会合以降、特にCOP12において加わった内容をさします)

締約国に奨励することとして

−   企業と生物多様性のグローバルプラットフォームと協力し、それを支援するための革新的メカニズム(具体的に議論されていません)を作り、クリアリングハウスメカニズムを通じて情報を提供すること

−   企業の生物多様性戦略(資源動員やキャパシティビルディングも含む)の策定、実施を進めるためのパートナーシップの策定を模索すること

− 生物多様性や生態系機能、生態系サービスの配慮を、条約以外の他の関連するフォーラムでのビジネスの議論に組み込むことを推進すること

企業に奨励することとして

−   企業活動が生物多様性や生態系サービスに及ぼす影響を分析すること

−   企業による報告の枠組みに生物多様性を組み込むこと、企業活動において、生物多様性条約や愛知ターゲットのゴールに貢献する行動をとるよう確保すること

−   生物多様性や生態系機能・サービスへの影響や利益について、シニアスタッフや、ラインスタッフやサプライチェーンに関わるスタッフの能力向上につなげること

−   調達政策の中に、生物多様性の配慮を組み込むこと

− 資源動員戦略への積極的に貢献すること

− BioTradeイニシアティブへの参加や協力を拡大すること

事務局に要請することとして

—  締約国、特に途上国において、生物多様性の配慮を企業セクター組み込む取り組みを支援する

ー グローバルパートナーシップとの共同に基づき、報告枠組みに関する技術ワークショップの開催なども通じて、企業による生物多様性の主流化の進展に関する報告(企業がとりうる活動の分類の確立も含む)の開発への支援すること。結果は実施に関する補助機関で検討する。(新)

− 企業の意思決定に生物多様性の主流化を進める観点から、企業に関する能力開発の支援を行なうため、グローバルパートナーシップや関連事業と協働すること(新)

—   愛知ターゲットの実施支援に企業への指針を開発し、2020年までのキーマイルストーンを特定し、企業と生物多様性グローバルパートナーシップが愛知ターゲット達成に資するようその役割を拡大すること

− 生物多様性と企業の参画に関連する課題について、とりわけ、コモディティインディケーターや持続可能な生産と消費について、他のフォーラムとの協働や相乗効果を高めること(新)

− 企業による条約および愛知ターゲットへの貢献の評価を推進するため、生物多様性と生態系機能・サービスについて情報をまとめ、優良事例や基準や研究を分析し、この情報を関連するフォーラムに普及することを支援すること(新)

道家コメント:グローバルパートナーシップと戦略計画の関係強化がポイントです。GPの日本からのメンバーである民間参画パートナーシップや今回くわわったJBIBも、それぞれの強みを活かして、企業の様々な活動と愛知ターゲットを結びつける取組みをしているので、これからも日本の発信が重要となります。企業に対して、資源動員戦略への貢献についても求めることになりました。

自治体参画について

—   特に生物多様性地域戦略を通じて、愛知ターゲット達成に向けて自治体と協同することを通じ、戦略的、持続可能な都市発展の条件整備や支援やガイドするための取組みの拡大を締約国に奨励する

—   都市計画に生物多様性を組み込めるよう自治体の能力向上を支援し、グリーンインフラストラクチャーなど、都市計画、基盤整備に生物多様性の配慮を組み込むことを国に呼びかける

ー Global Partnership on Local and Subnational Action for Biodiversityの助言委員会, the Urban Biosphere Initiative (URBIS), the Maritime Innovative Territories International Network (MiTin) and the MediverCities networkなど、都市化の持続可能なパターンの達成に向けて貢献する関連事業の支援を締約国に奨励する。

—   生物多様性を様々な計画に組み込むことで、戦略計画および愛知ターゲットの達成を自治体に奨励する。計画には、持続可能な都市化、地域交通、空間計画、水や廃棄物管理、自然を活用した解決策の推進、生物多様性の状況のモニタリングや評価、その保全の推進、気候変動対策に重要な貢献をするものとしての生物多様性保全の組み込み、健康、再生エネルギーと暮らしなどのトピックにおける生物多様性・生態系機能・サービスの積極的な効果を示すことによる生物多様性課題の優先付け、など

—   条約事務局に対して、戦略計画・愛知ターゲットの実施に自治体の貢献をもっと組み入れていくために、締約国や自治体、パートナーを支援することを要請する。

− 国連機関や、国際機関、生物多様性関連条約や事業(都市や都市周辺の水鳥生息地に関するラムサール条約の活動)と協同すること

などの決議をまとめました。

コメント:都市化(Urbanization)、持続可能な都市などの言葉が並んでいるのが過去に無かった傾向だと思います。自治体については、「どちらかというと」都市について注目が集まっているように思います。

ステークホルダーの参画について

−   条約・議定書会合・補助機関会合などの会議やプロセスへの多様な主体の参加やそのための仕組み、効果的で時機を捉えた参加の強化を歓迎するため、会議前に開かれるステークホルダーフォーラムといった、適切な手法、手段、メカニズムの開発を歓迎する。

−   政府に対して、生物多様性条約に関する協議や意思決定にユースを含む利害関係者の参加の強化をはかるための実践やメカニズムの推進を奨励する

− 国家戦略行動計画の立案や実施に置けるユースを含む利害関係者の効果的な関与とそのような参加を促進しようとする活動への支援を締約国に求める

− 事務局に対して、最近のコミュニケーションツールも含めた実践やメカニズムを、締約国会議や関連会議のプロセスや将来の会議の中で利害関係者の効果的で時宜にかなった参加の強化に組み込む

など、あらゆるプロセスでの参加の強化を図っていくための取り組みなどについて決議をまとめました。

ジェンダーメインストリーミング

ジェンダーメインストリーミングに関する戦略2015-2020を歓迎するほか、多国間条約で共通の指標でジェンダーのバランスの是正や参画の推進を図るために開発された IUCN Environment and Gender Indexの活用なども入っています。この戦略は 政策、事務、他の条約の連携など多様な点でジェンダーに関する課題にとりくむもので、なかには、条約事務局にジェンダーに関する専門のスタッフを置くことも含まれています。

(公財)日本自然保護協会 道家哲平