COP12開幕 リーダー・地域・メジャーグループからの声
COP12開会初日、朝のIUCNが開く会合に出席し、挨拶や主要議題の共有などをおこなったのち、開会式に参加しました。
オープニングセレモニーとして太鼓のパフォーマンスの後、開会式には、COP11議長国(インド)・COP12議長国(韓国環境大臣)・アキムシュタイナー国連環境計画(UNEP)事務局長、江原道知事・国立生態系研究所所長そして、ブラウリオ生物多様性条約事務局長と、会議の事務局統括であるデイビット・クーパー氏が着席しました。すぐに、記念写真の撮影があったのですが、隣に座っていたWWFのスタッフが「なにあれ、全員男じゃない。持続可能じゃないわ」とバッサリ切り捨てており、ジェンダーバランスというのは国際的な感覚として必要だなと思ったところです。
下記に、挨拶文の趣旨や地域グループやNGOからの発言もまとめます。
*発言の趣旨は道家が聞き取ったものであり、声明文の翻訳ではない。
今回は
1. 生物多様性条約の3つ目の目的である遺伝資源から得られる利益の衡平公正な配分に関する名古屋議定書が発効することをうけてのメッセージ
2. 持続可能な開発目標という大きな国連目標の中で生物多様性に関わるコミュニティーの役割が大きく、期待されているというメッセージ
3.ブラウリオ事務局長から172カ国8000が事前登録があったという非常に多い人数が紹介されました。
等が印象に残りました。
<リーダーメッセージ>
ヘムパンデCOP11議長:
「こんちには韓国。COP11議長として挨拶できることを誇りに思っています。COP12の会議の開会を始めたいと思います。まずは、全参加者に代わり、韓国の人々、自治体、国、皆さんに歓迎してくれて感謝申し上げます。
4年前のCOP10から多くの進展が見られました。しかし、生物多様性の損失は止まっていません。多くは人々の生活が非持続的な消費であり、環境の持続可能性を考えない行動のためです。
2年前ハイデラバードに集い多くの決定をおこない、その決定を実施へとつなげていきました。資源動員に関する2015年までの目標そして最終目標を達成するための道のりを決めました。2015年までに、途上国への資金の流れを二倍にするという目標です。
これは生物多様性愛知ターゲットの達成に必要なもので、この会合で、ファイナルターゲット決めるのが大きな成果となります。それは持続可能な開発に続いていく大事な一歩です。貧困の撲滅は世界的課題であり、ポスト2015アジェンダが検討される中で、生物多様性は、保全だけでなく、貧困撲滅につながる取組みであり、インドでも生物多様性と貧困撲滅と、持続可能な開発を結びつける取組みをしています。CBDの専門家会合(デラデューンとチェンナイ)を開き、貧困撲滅のためのツールとしての生物多様性ガイドラインをまとめました。
名古屋議定書を批准した国に拍手を送ってください(多くの拍手がわき上がる(日本に向けてではないのが残念。。。。))議定書の発行はこの日曜日になります。これは持続可能な開発目標(案)にも貢献するものです。
能力開発、愛知ターゲットのモニタリングシステムの確立が必要。もっと科学的技術的な協力体制の確立が重要になってきます。それが条約の成功には欠かせません。
多くの国が、生物多様性と生態系サービスの価値を会計・報告制度に組み込むことに献身したり、国家戦略に組み込むことをしており、それによって生物多様性保全への資源の向上につなげていきたいと思います。
生物多様性のコミュニティーのやるべきことは非常に大きい。CBD事務局のリーダーシップに敬意を表します。
ぜひ、COP11のロゴを思い出して欲しい。Nature protects if she is protected というメッセージに込められている。
地球に生きる生命は、ここにいる私たちの決定に左右されています。今回の会議の成果に大きく期待します。私からの手短な(実際は長いんだけれど、この2年間いろいろな取組みが起きたので短い方なんだよという言い訳もなされてました)挨拶をおえ、会議の開催を宣言します。
そして、COP12議長の役割をCOP12ホスト国の韓国に手渡したいと思います。
ユ環境大臣COP12議長:
「2014年私たちは、愛知ターゲットの半分のところにあります。GBO4は多くの進展があることを強調しつつ、その実施は目標達成には届いていないということを明らかにしました。
ピョンチャンロードマップという今回期待される成果物は、資源動員、科学技術協力、キャパシティービルディング、パートナーシップの強化につなげるものです。そして韓国の各省庁は来週のハイレベルイベントで、数多くのイニシアティブを提案するつもりです。
持続可能な開発目標の検討がなされる中で、COP12は人類の福祉における生物多様性の役割を認識し、この持続可能な開発目標に積極的に関わって欲しい。また、ハイレベルイベントではこのテーマを正面からあつかい、江原道宣言を採択していきたいと思う。
豊かで建設的な議論を期待していきたいと思います。私たちの世代ではなく、子どもや孫の代まで豊かな生物多様性を守っていきたいと思います。」
江原道知事:
「皆様ようこそ。ここは、2018年冬のオリンピック開催都市です。ピョンチャンです、ピョンチャンです、ピョンヤンではありません(笑)。ピョンは平和を意味し、チャンは財産を意味します。
江原道(カンウォンド)は、河の源という意味で、多くの河の源流域を持っており、ラムサール条約登録湿地も二つあります。DMZがあります。DMZは軍隊以外は入れず、そのため、自然豊かなところであり、平和と生物多様性と豊かさの象徴にしていきたいと思います。
この会合の成果と同じであります。美味しい水、空気、紅葉、新鮮な海の幸、山の幸そして暖かいおもてなしをしたいと思います。」
アキムシュタイナーUNEP事務局長:
ご参加の皆様にご挨拶できることを嬉しく思います。素晴らしい美しいロケーションで会議を開催できることを光栄に思います。
生物多様性が国連の議題でますます大きくなる中で、IPBESの準備会合を開いたりしてきた韓国のリーダーシップと、インドのリーダーシップに感謝申し上げます。
1993年に生物多様性条約が発効し、NGOや研究機関、取組み等が生まれ、長い長い道のりの中で、生物多様性保全とは何かについて応えてきましたが、今回、条約の3つの目的が改めて一つのつながった目的として注目される会議となるでしょう。
GBO4がこれから発表されますが、我々は、2014年の中間地点というところで、正しい方向にいるのか、あるいは異なるのかということを教えてくれます。地球の生物多様性と国内の取り組みについての収支決算(バランスシート)のようなものです
IUCNのレッドリストや世界保護地域データベースなどの成果も踏まえ、それらを、日々の暮らしや貧困層の生活にどう関係するのかを考えていく必要があります。
名古屋議定書の発効が近づく中で、名古屋議定書を国内施策に翻訳していくことが重要となってきます。UNEPは国際オリンピック協会と関係をもっており、オリンピックの前必ずイベントを開催し、オリンピックと環境、オリンピック後と環境の問題を強調していきます。
保護地域が、多くの国や人びとの生態系サービスを守り、生物を守ってきたという事実を無視してはいけません。また、海洋と生物多様性は、我々の行動に多くの疑問を投げつけています。私たちが豊かな自然を持つこの世界に対してどんな責任を果たすのか考えていかなければいけません。
海の生物多様性問題についてどう関わっていくかが問われています。この機会をとらえ、公海を含めたガバナンスのことを考えていく必要がある。生物多様性の議題について、科学的な事実を政策的な仕組みに、政策的な仕組みを実施に結びつけるという流れをもっともっと加速させる必要があります。
UNEPでは、次の10年は、普遍性と統合が重要なテーマになる。生物多様性のコミュニティーの大きな役割を演じ、持続可能は開発アジェンダで中心的役割を演じて欲しい。
生物多様性の技術的な課題をもっと現実の実施に翻訳することはこれからも大事な取組みとなっていくでしょう。しかし、伝統的知識や先住民の知恵など持続可能な生活パターンは、今の会計・報告制度では完全に無視されており、この自体は改善する必要があります。
韓国はこの重要な次の6年を議論する場としてふさわしいし、リーダーシップを発揮してきたインドから議長の木槌を受け取ったことを歓迎したい。ブラウリオ事務局長はその任期を延長することになりました。彼の引き続きのリーダーシップを歓迎したい。
今日お集りの皆さんの決定が、10年の後半を決めます。」
ブラウリオ事務局長:
「VIPの皆さんとこの会議の準備に関わった人に感謝。韓国は私たちの先生になるものでしょう。途上国から先進国に変わりました。その成功から学ぶことが多いはず。この40年間の近代化の中で、生態系(森林)復元を実現した国としても経験があります。韓国市民は自然への深い愛と文化ソウルの文化美術館は世界クラスの場所で見ることをお勧めします。
インドは生物多様性に関する国内の生物多様性資源を特定し、国内での資源動員戦略を立ち上げた。
2015年という中間年の前年に、実施がどこまで進み、どうしていくかを議論する重要な会議となります。152の国別報告書(一部ドラフト含む)を受け取り、22が愛知ターゲットにそった国家戦略が生まれている。CBD事務局も多くのパートナーもNBSAPの改定に協力する準備があります。韓国の国家戦略では、18の目標を立て、愛知ターゲットの関係性マップをハッキリさせて、指標も設定しているという特徴があります。中央地方の役割も書かれており、江原道も地域戦略を作っていることを紹介したいと思います。GBO4は本日発表されます。これは、生物多様性の傾向について評価し、私たちの取組みをひょうかするもので、多くの専門家の手によるものです。GBO4は大きな進展が見られたことを紹介しています(保護地域の数字目標など)。しかし、生物多様性は依然として危機にあり、緊急的な注目が必要です。
他にも大事な報告書として、資源動員に関する文書がinfodoc4で見られます。Infodoc18も重要。ICCA(地域共同体による保護地域 nfodoc21)も重要でしょう。Living planet reportや、IUCNのProtected Planet reportにも注目して欲しい。
ピョンチャンロードマップが主要な成果の一つです。緊急に採るべき行動やそのガイダンスなどがまとまる予定です。きゃぱしてぃーびルディングや資源動員、化学技術支援なども重要な成果として組み込まれる。行動のスケールアップが必要です。韓国政府によるイニシアティブに大変期待しています。
EBSAについての調査が行われ、報告書の採択が求められています。海洋空間計画についても進めていく必要があります。生物多様性関連条約との協働や相乗効果を図る仕組みついてに議論する予定です。CBDとカルタヘナ議定書や名古屋議定書会合・そして、WGRIをSBIに変えるという提案もあります。
名古屋議定書の批准が51に到達し、12日に発効します。51以外の国も批准に向けた動きを展開していると思います。名古屋議定書第1回会合が開かれることを大変嬉しく思います。ピョンチャンで、共有のビジョンを見られることを期待しています。持続可能な開発目標のドラフトが作られ、愛知ターゲットとも踵を一にしています。ハイレベル会合も重要なフォーラムになるとおもいます。生物多様性を持続可能な開発目標の中心に据えるためのプロセスとなるでしょう。
RIOパビリオン、CEPAフェア、企業フォーラム、自治体フォーラム等も開かれます。
デンマークやヨーロッパ諸国など、参加費を支援してくれたことを感謝。172カ国8000が事前登録されたことを紹介します。
<地域からの発言>
アフリカ地域(モーリタニア代弁):ホスト国に歓迎。愛知ターゲットの中間として重要。生物多様性と持続可能な開発の関係は国連総会でも認識。政府として、3つの条約の目的を想起し、アフリカグループは、愛知ターゲットの達成と資源動員の達成につなげていきたい
この機会に条約の3つ目の目的を強調したい。ポスト2015開発目標と愛知ターゲットの関係。アフリカから20カ国ほどが名古屋議定書に批准しており、それがアフリカとしての貢献の証明です。
EU:ホストに感謝。ハイレベルセグメントでの韓国政府から発表予定のイニシアティブに期待。インドの議長国としての役割にも感謝。2010年に20の愛知ターゲットと、名古屋議定書と資源動員を合意。この成果の達成が極めて重要
EUは条約の3つの目的と、愛知ターゲットと、それらがSDGsの達成につながることを期待。江原道宣言も重要な文書となるだろう。戦略計画2011−2020そしてそれに答えるEUの戦略は、適正な政策の枠組みを提供してくれている
CBDは単体ではうまくいかない、経済や社会に関する政策に生物多様性を入れていく必要があり、生物多様性条約の触媒としての役割に大きく期待したい。企業や自治体や市民などの巻き込みが加速されることが重要。mainstreaming synergiesが重要
ラテンアメリカ(グラナダ代弁):この会議までに関わってきた事務局の取り組みとホスト国に感謝。実施の強化に関する大きな課題があるが、資源動員、キャパビル、技術移転などについて関心が高い。GBO4の成果を歓迎。条約の3つの目的達成が重要。会議の成果に期待
中央ヨーロッパ(ジョージア=グルジア代弁):ホスト国とインド(COP11議長国)に感謝。国家戦略の改定に取組中。実施の強化には、資源(人と資金)の課題がやはり大きい。名古屋議定書の批准に向けた取組みも実施中。ピョンチャンロードマップの重要性を共有。
タイ・アジア地域:ホスト国に感謝。3つの会合の運営に感謝。ポスト2015アジェンダを作り上げる公約、名古屋議定書のより良い運営に関わることへの公約。名古屋議定書には、伝統的知識への配慮が重要。愛知ターゲット10の達成がこの地域では重要。生態系と生物多様性の管理。地域グループとしてだけでなく、世界コミュニティーとして振る舞いたい。
オーストラリア:インドと韓国に感謝。資源動員目標に関心。生物多様性への資源は多様なソースからなされる必要があり、民間参画の推進が必要。オーストラリア企業と生物多様性イニシアティブが立ち上がる。世界公園会議を準備しています。世界公園会議の成果である「シドニーの約束」で、多くのソリューションを考える機会を提供していきたい。
メガ生物多様性諸国(南アフリカ):ホスト国に感謝。愛知ターゲットの達成は不十分ということが分かり、我々は更なる行動が必要。生物多様性保全は、70%以上の生物多様性をかかえるこのグループにとって重要。具体的な資源動員の目標が必要。科学技術協力・移転も必要事項の一つ。また、名古屋議定書の発効を歓迎したい。グループの多くの国が名古屋議定書の批准に向けた準備中であり、更なる貢献をしていきたい。
アラブ諸国(エジプト):資源動員に関する取組みを共有。各国に求めたいこととして、EUなどが多くの支援をしているが、持続可能な開発の動きに関われきれていない。
IPLC:IPLCの主張は各議題で提案したいと思うが、全体に共有したいことを列挙する。
1、indigenous people and local community という用語については、UNDRIPなどの成果も含めて、多くの仕組みで作られており、CBDでも採用するべき
2、セーフガード。
3、合成生物学と4バイオパイラシーへの懸念。バイオパイラシーのなかで、伝統的知識や慣習に関する配慮が不十分。合成生物学は生物多様性だけでなく、社会経済的懸念から、合成生物学の利用の禁止を求めたい
4、参加について。ユースや女性の役割に鑑みて、その参加を加速することが重要。
5、資源動員。IPLCやユース女性の参加が、全ステージで重要でありそのための資源が重要。
6、2015開発アジェンダでも、先住民の伝統的な暮らしへの再認識がポスト2015開発アジェンダとしても重要。
CBDアライアンス:IPLCの主張をサポート。農業やバイオ燃料も重要な課題であるが、ほとんど指摘されていない。合成生物学は世界的な課題のソリューションにならないので、予防的アプローチの適応が重要。沿岸と海洋生物多様性、海洋酸性化やサンゴ礁の破壊、海中騒音などの問題に取り組むべき。ピョンチャンロードマップは平等に愛知ターゲットの達成に貢献するべき(目標の実施に差をつけてはいけない)生物多様性の損失につながる大きなインセンティブの撤廃について指摘。
WWF:愛知ターゲットの達成は貧困撲滅と持続可能な開発に貢献。GBO4の成果を歓迎、行動のスケールアップが必要。WWFの最新のレポートの成果を引用し、取組みの推進の加速を。
Global Youth Biodiversity Network:WGRIでの助言を元に、ユースの役割を示し、どのようにか関わっていくかという事業を立ち上げ、金曜日に紹介する予定。愛知ターゲットの実施に関して強くユースが関わるため、COPも含めた、ユースの参加を確保するべき。COPホスト国に、ユースの参加を確実にするための努力を求めたい。生物多様性は持続可能な開発につながるものであり、次の世代であり、これからどうするべきかを決める場であるため、ユースはこの会場にいるべきと思う。