WGRI 3日目の様子
3日目 朝の会合
利害関係者の参加(stakeholder engagement)というテーマについて議論しました。RIO+20の成果物であるThe Future We Wantから、メジャーグループの参加を奨励されており、このシステムをどのようにCBDで実現していくか。RIO+20でどうであったかといった経験や、他のシステム(IUCNが世界自然保護会議の総会の前にフォーラムを開催したり、生物多様性条約等でかつて生物多様性フォーラムを開催していた事例)の成果などを共有。何らかの意見を出そうということでまとまりました。
3日目午前の最初の議題は他の条約、機関、イニシアティブとの協働
他の条約との重複をさけ、協働を進めていくという基本的な方向性のなかで、生物多様性条約は多彩な条約との連携を深めつつあります。
ウルグアイ:現状の方向性を歓迎。ウルグアイの中でも同様の国内調整の仕組みを動かしている。農業関連団体との協働も実施。持続可能な農業の推進も関心をもって取り組む。2015年にラムサール条約会議を行うので、ぜひ他の国にも来てほしいって、しっかりPR。
ノルウェー:愛知ターゲット達成には幅広い連携構築が欠かせない。より戦略的なアプローチを進めたい。このような協働の成果について条約事務局としてまとめてほしい
スイス:他の条約でも、条約間連携の決議をしていることを歓迎。更なる協力の向上について提案をしたい。
メキシコ:基本的な方向性を歓迎。協力してくれている組織にも感謝。IPBESの重要性が高まっている。事業プログラムを作って、モデル等もつくっているのでIPBESとの相互協力関係の強化を深めることの重要。CITES植物委員会とも植物保全戦略での協力関係を高めている。
南アフリカ:事務局ベースの協働であるので、各国の条約担当者間の連携を高める取り組みを検討するべきである。また、条約と条約下の議定書との連携を深めることが重要である。
マリ:取り組みへの謝意。南アフリカの指摘に合意。国内での協働強化につなげることが重要。
日本:UNUの協働事業・協力について、書き込みたい。ノルウェーやスイスの提案をサポート。
EU:生物多様性コミュニティーを超えて協力することが愛知ターゲット達成に重要であり、同時に、SDGsの支援としても重要である。COP12に向けての提案がないが、COP12でいきなり議論するのは小さい国が大変なのでWGRIで議論をある程度まとめるべきである。
マラウィ(アフリカグループ):NBSAPの達成にもあらゆるセクターの参加が重要であり、協力が必要である。南アフリカを支持し、NBSAPの実施のためのワークショップ。資源動員への協働アクションも重要である。
カナダ:それぞれの条約や仕組みの独立性を尊重しつつ、協働の重要性を認識。他の条約のと一貫性や連携について歓迎。連携を歓迎し、事務局長に作業の継続を求めるCOP12の決議が必要だろう。この協力リストが、限定的なものではなく、追加もあり得るものであることを確認したい。
ボリビア:IITOとの協働が行われており、それを入れていくことが重要。
ITTO:ITTOとCBD協働事業について案内したい。熱帯雨林資源の保全と利用に関する取り組みがあり、CBDの森林プログラムのサポートお行っている。愛知ターゲットの達成に向けたITTOアクションプランも実施。IUCNとの森林保全のガイドラインを作った。
保全と復元に関するガイドラインや、保護地域外も含めたガイドラインを作り、CBDの政策実現に向けた活動を実施.コンゴ流域での事業などアフリカでの事業も展開。アジアでも沢山の事業。
UNEP:愛知ターゲットは多くの条約や仕組みでエンドースされており、さらなる協力と相乗効果を高める取り組みが進んでおり、統合的な仕方で締約国が条約間連携をとるためのツール、支援が準備されている。ソースブックというのがCOP12で発表予定。
UNU-IAS:SATOYAMAイニシアティブのホストなど生物多様性条約と愛知ターゲットに協力。IPSIは50メンバーから160メンバーに拡大。資源動員や情報共有などとも協力していることを強調。
ユースネットワーク:国レベルでのコミュニケーションストラクチャーを見直し、国内レベルでの協働や、ユースやNGO、女性、先住民なども巻き込み、世代間(インタージェネレーション)のグループが重要である。条約毎の情報がバラバラでは、協働のための統合的なデータベースが必要である。条約間で共有するコミュニケーションストラテジーが必要である。
NGO:engage(関与)ではなくparticipation(参加)が重要で、NGOの参加が欠かせない。単純なメジャーグループの導入は良くないので、独自の仕組みを作る必要がある。ユースの意見に賛成。CBDアライアンスのネットワークの調整機能への認識と今後の積極的な参加。
午前2つ目の議題 生物多様性への自治体の参加
基本的に自治体の巻き込みが重要という認識は一致。また国家戦略の活用なども共通見解の模様。自治体向けのキャパシティービルディングについては途上国の需要が高そうだが、先進国からは予算増につながるので慎重な見方。
タイ:ラムサール条約とも連携し、都市の湿地の保全と賢明な利用に関する取り組みの重要性を指摘し、各国で活用するための方法を模索。
日本:自治体の取り組みの重要性。31の県、44の市町村が地域戦略を作成、生物多様性自治体ネットワーク(136が参加)の設立。地域戦略ガイドも改定された。地域戦略の策定に優先度を高く設定すべきという提案。
メキシコ:自治体の生物多様性に関する取り組みの報告書を作成したり、行動計画をつくった。国際的な動きにそうような形で実施。自治体向けのキャパビルの実施について賛成
インド:ハイデラバードでは、都市と生物多様性シンガポールインデックスの改善などがあった。愛知ターゲット1の普及啓発なども行われた。
ニジェール:生物多様性に関係する課題の解決にむけたキャパビルが必要で、自治体の能力向上を図ることが重要である。
韓国:自治体の参加の重要性を認識。2014年に地域戦略のための指針を作成、8の自治体が生物多様性国家戦略の作成を支援。カンウォン道でも地域戦略を作り、DMZでの保全活動も設定し、9月にまとめ上げる予定。都市と自治体に関するサミットを開催予定。そこでカンウォン道の地域戦略もお披露目。
EU:自治体の役割を認識。自治体の能力向上は予算の範囲内で実施。グリーンインフラやローカルトランスポートの重要性などを強化。EU域外での地域(島嶼地域も含め)での生物多様性の取り組み強化。TEEBの自治体向けレポートとCity and BD Actionレポートに注目
エチオピア:アフリカグループを支持。都市化がもたらす生物多様性や生態系サービスへの影響評価を継続してほしい。それを途上国は活用できるので。
ブルンディ:地域レベルでのキャパビルのワークショップを開く可能性があるのではないか。自治体からの情報を任意に集めてまとめてはどうだろうか。
ボスニア:地中海の自治体協力のネットワークワークショップが昨年の5月に3日間、サラエボで開かれたことを紹介。
企業を含むステークホルダーの参加
タイ:各国に、NGOや先住民と意見交換をすること提案
韓国:生物多様性パートナーシップを作った。韓国生物多様性企業パートナーシップ(サムソンやポスコ)などを設立。COP12の企業フォーラムを強調、生態系サービスやバリュエーションの事例を集めて有効活用
日本:企業セクターは生物多様性に理解し、リスクと機会を見ている。生物多様性保全への取り組みを増加している。企業参画のガイドラインを作成し、優良事例を作った。民間参画パートナーシップには500近くが参加。グローバルフォーラムだけでなく、自然資本コアリションとの協働も調整が必要。UNDB日本委員会による取り組み、My行動宣言など。UNDB日本委員会の多様な構成と委員数の増加。ステークホルダー参加について全般的な支持
アフリカ:途上国にとって効果的な新しい国家戦略の確立と実施が重要。先住民や研究機関、NGOなどが国家戦略の作成と実施に重要であり、それなしでは愛知ターゲットはうまくいかない。企業の参画について、まだ不十分で革新的なな仕方が必要。
アフリカ:懸念事項として、提言がグローバルレベルでの参加ばかりが強調されているので、国レベルでの参加が重要。メジャーステークホルダーの世界レベルの参加と、それを国内実施に結びつける仕組みが重要であり、国家戦略の活用も含めた提案をしたい。企業の参加については、愛知ターゲットの実施に欠かせないが、メキシコでは課題もある。企業と生物多様性や愛知ターゲットの関係を知ってもらうことが重要で、彼らの資源をもっと愛知ターゲット達成に使ってもらうことが重要。
カナダ:カナダの企業も生物多様性の配慮を、戦略やオペレーションに入れている。企業の役割の増加とパートナーシップの重要性を強調したい。政府がもっとグローバルパートナーシップへ支援するべき。
インド:企業は重要だが、まだまだ関与が少ないと思う。インドでは企業や産業の参加が加速している、COP11のフォローアップワークショップがドイツ(GTZ)の支援で行われ、インド生物多様性企業ネットワーク(IBBI)ができ、グローバルプラットフォームのメンバーになった。前文で、企業参画に関するパイオニア的な国の取り組みを紹介するべき。中小企業の参加の重要性を指摘し、その内容を決議に反映させたい。
EU:企業の参画の重要性を認識。資源動員でも役割がある。重要なの2原則。ボトムアップアプローチが必要(規制などのトップダウンではないということか)。企業のグローバルパートナーシップは、重複する活動を避ける。幅広い関係者の参画を歓迎。参画をすすめるためのイノベーティブな手法を事務局長に要請。コストも気にしながら、積極的な参加の方法の模索を。
南アフリカ:多様な主体の参加者を選ぶためのガイドなどが必要でないか。伝統的なリーダーや、宗教リーダーなども巻き込むべきではないか。
東ティモール:わが国の建設業界は生物多様性のことを考えないから、企業にちゃんと建設業も入っていることが重要と思います。
IUCN:企業参画の推進を認識。その重要性にも同意。この目的から、グローバルパートナーシップの役割を拡張し、それぞれの愛知ターゲットに企業が関わるような動きを刺激することが重要。
先住民グループ:先住民は、伝統的知識や慣習で直接生物多様性の保全や持続可能な利用に貢献しており、完全な参加が重要。
ユース:世界人口の半数が30代以下でユースという位置づけ。生物多様性保全に関する理解の不十分なところもあり、一方ボランティアや様々な仕方で生物多様性の動きに参加するユースの数も増加しており、GYBNは世界的なユースの声を代表することをめざす.他の条約と比べるとユースの参加が不十分で、一番大きいのは資金へのアクセスが不十分である。CBDプロセスの複雑さもある。現在の参加は、条約に参加するには不十分な仕方であり、ダイレクトな対話や交流が必要で、もっと相互交流的な仕組みが必要。事務局に対してもっとステークホルダーの参加に力を入れるような役割を国が与えるべき。韓国では、COP12の前に生物多様性ユース会議を開いて、キャパシティービルディングなどもやることを歓迎。ユース参画やキャパビルなどの戦略を持つ、ユースの参加支援、そして実施段階でのユースの参加を各国に要請するなどの活動が必要。具体的なテキストを提案。
午前のセッション終了。「資源動員」と「会議の持ちかた含む運営改善について」コンタクトグループが、貧困撲滅と持続可能な開発に関してはフレンズオブチェアーが設立されました。
(公財)日本自然保護協会 道家哲平