UNDBの日 日本のチームワークを発揮

UNDBを盛り上げようという参加者のサインで埋め尽くされたポスター

日本が提唱し実現した「国連生物多様性の10年2011−2020(UNDB)」。この10年が始まって1382日が経過し、残り2270日。世界各地で新たな取組みが始まるものの、目標達成には倍以上の努力が必要という中間評価の中で、流れを変える特別な1日を設けようと、日本のUNDB日本委員会(UNDB-J)関係者、生物多様性条約事務局主催、環境省、国際自然保護連合日本委員会共催、プログラムディレクター(公財)日本自然保護協会による1日がかりのイベントが無事に終わりました。

<開会宣言>

ブラウリオ生物多様性条約事務局長と、星野一昭環境省参与の挨拶から始まりました。ブラウリオ事務局長は、COP10から続く日本の取組みへの敬意と謝辞とともに、愛知ターゲット中間評価にあたる地球規模生物多様性概況第4版の紹介や、国連生物多様性の10年の目的を紹介。UNDBは、愛知ターゲットを一環境条約の目標から国連全体の目標にかえていくためのもので、取組みと、多様な立場の人の参加を促進するという目的が一つと、その取組みをモニタリングすることと紹介されました。

星野環境省参与からは、涌井国連生物多様性の10年日本委員会委員長代理を紹介しつつ、日本の取組みを紹介し、UNDBの日という、過去のCOPでも開かれなかった一日がけのイベントの成功を期待するという開会の挨拶がありました。

<午前の部 UNDBの推進と、愛知ターゲット1の2020年ロードマップ>

午前の部では、国連生物多様性の10年の世界キャンペーンの話やUNDBの国内委員会を設けている日本、ドイツ、中国の事例紹介と経験の交流を行いました。日本は、UNDB-J委員を代表して吉田正人(IUCN-J会長、日本自然保護協会専務理事)が取組みを紹介、企業や市民による活動宣言を集めるにじゅうまるプロジェクトや、生物多様性アクション大賞など多彩な取組みを紹介。ドイツからは、クリスチャン・シュバルツァー(ドイツUNDBユース親善大使)さんが活動を紹介、17名のUNDB親善大使による活動紹介やフォトコンテスト、生物多様性会議などの取組みが紹介されました。中国からは、リュウ・リー(中国環境保護省)さんから、25の政府部局を巻き込んだ2010年からの取組みが紹介されました。普及啓発だけでなく、生物多様性国家行動計画の立案を担うなど、環境省以外の省庁にもっと生物多様性という視点を組み込む取組みを紹介されました。

パネルディスカッションにて、UNDB-Jの取組みを詳しく紹介

パネルディスカッションは、ルイザ・ディグス(IUCN-教育コミュニケーション委員会運営委員)氏が進行し、課題や次の行動として計画していることなどを話し合い、中には、UNDB国内委員会同士の世界会議を開いてはどうかといったアイディアや、普及啓発から日々の行動を変えたり、行動を促すところまで働きかけることの重要性を話し合いました。

国内委員会という組織が、1.様々な立場の人(企業、自治体、政府といった立場、環境・農業・産業といったテーマ)に生物多様性に取り組んでもらう主流化に有効であること、2.コミュニケーションに効果的であること、3.アクションプレッジ(活動宣言)を通じて「知ってもらう」から「行動してもらう」人を増やすことに貢献できること、等を確認しました。

 

お昼・休憩には、生物多様性アクション大賞2013映像部門の「えこよみ(Think the Earth)」と「ふゆみずタンゴ(株式会社アレフ)」を上映。ふゆみずタンゴは踊り付きです。また、IUCN-Jが展開する「おりがみアクション・メッセージ」を紹介。

<午後のセッション セクターを巻き込む活動事例とセクターを超えた取り組み事例紹介>

午後のセッションは、多様な立場の人の参画というテーマで、ユース、市民、自治体、企業の立場からどうUNDBを活用し、参加を促すかという議論を行いました(次回があるならこれに、先住民・地域共同体のパートを入れたいと思います)。午後のセッションは、UNDB-J委員団体が活躍。涌井国連生物多様性の10年日本委員会委員長代理から開会の挨拶がありました。

生物多様性わかものネットワーク

生物多様性わかものネットワークと生物多様性世界ユースネットワーク(Global Youth Biodiversity Network)によるユースの参加の促進。生物多様性わかものネットワークは、前身であるCOP10での「がけっぷちの生物多様性キャンペーン実行委員会」の取り組みから、現在の活動を紹介。生物多様性わかもの会議や生物多様性わかもの白書という主に大学の環境サークルを対象としたアンケート結果の紹介をおこないました。世界ユースからは、「ユースボイス」という活動名で、地球規模生物多様性概況第4版の成果を分かりやすく伝える取組みを世界各地で展開するそうです。

「大人の皆さんから多くのことを教えてもらわないといけないことも沢山ある。でも、自分達にできることが沢山あることを、ちゃんと認めてもらいながら、責任をもってやっていきたい」という発言が印象的でした。

ディスカッションの様子

市民セッションでは、宮本育昌さん(CEPAジャパン)によるMy行動宣言と生物多様性アクション大賞の紹介、今年の各部門の受賞団体の取り組み紹介がありました。また、呉地正行さん(ラムサール・ネットワーク日本)による、にじゅうまるプロジェクトと田んぼの生物多様性向上10年事業を紹介しました。質疑応答のモデレーターであるデイビット・アインズワースさん(生物多様性条約事務局)からは「My行動宣言の5つはどこから来たアイディアでしょうか」とか、「生物多様性アクション大賞はどういうプロセスで選定しているか」といった具体的な質問があったり、どのように人々を刺激し、行動を促しているのかといったことについて議論を行いました。

左 真野豊岡市副市長 右 ジャクラインハワイ州持続可能な地域づくりコーディネーター

自治体セッションでは、真野豊岡市副市長(生物多様性自治体ネットワーク代表)から、コウノトリの野生復帰事業とともに展開された地域づくり、経済づくり、人づくりの事例発表がありました。「コウノトリが戻ってきたということ以上に私たちが嬉しかったのが、子どもが田んぼにもどってきた」というお話とともに映る子ども達の笑顔の写真、じーっと宝物を見るような目でコウノトリを見つめる子ども達の顔をとても印象的です。海外の事例発表では、ジャクライン・コザック・ティールさん(アメリカ合衆国ハワイ州・持続可能な地域づくりコーディネーター)から、アロハ+チャレンジという取組みが紹介されました。島嶼国として力を入れている「外来種対策」や水確保のための水源確保の取組み(生態系支払い制度の導入)、shared kureana(直訳すると責任感の共有)という原則を大事にしながら、地域住民との生物多様性と持続可能な地域づくり、水の管理、漁業資源の管理の取組みを紹介されました。

左から 大成建設日野さん、サンデン村内さん、住友林業中井さん、IUCNジャパンオフィス古田さん

午後のセッション最後は、企業の事例発表です。古田尚也さん(IUCN日本プロジェクトオフィス)が進行役となり、経団連自然保護協議会(UNDB-J委員)のメンバーである、大成建設、サンデン、住友林業という多彩な業種からの発表です。自社の技術を活かした環境配慮技術(ロードキル回避のためのアニマルパスウェイ)の開発、社有地での環境教育プログラム、木材という自然の恵に直結した企業としての取組みなど企業が愛知ターゲット達成に果たす大きな可能性を紹介するものでした。パネルディスカッションでは、この活動が国内だけにとどまらず、グローバル企業でもある日本の企業が世界の自然保護にこれからどう貢献するかを話し合いました。

午前、午後のセッションを通じて「国連生物多様性の10年」を支援する意思を表明するため、UNDBポスターへの署名をお願いしたところ、皆快く応じてくれました。A1サイズのポスターを埋め尽くす「UNDBへのサポート」は、夕方に会場を移して開かれたフィナーレの取組み「UNDBハイレベルイベント」へとつながっていきました。

<UNDBハイレベルイベント>

集合写真

UNDBハイレベルイベントでは、各国の代表者や国際機関が、UNDBの推進に向けた決意表明を行いました。これらは、生物多様性チャンピオンという宣言(にじゅうまるプロジェクトにヒントを得て、条約事務局とインド政府が立ち上げた取組み)につながります。この様子はプレスカンファレンスとして記録されています。http://www.liveto.com/Cop12/vod_2/vod/14_PC_PM_e.html

モルディブ環境エネルギー省副大臣のアブドゥル氏からは、モルジブ国をまるまる生物圏保存地域(日本では、ユネスコエコパークという名称)にする取組み宣言があり、ヘムパンデ(インド森林環境省副次官)からは2016年までに生物多様性条約締約国のすべてを名古屋議定書締約国にしようという宣言が、カン・ソクウ韓国環境省からは、Bio-Bridgeという技術支援を必要とする国と技術提供できる機関を橋渡しする新しい取組みの紹介がありました。環境省星野参与は、COP10から国連生物多様性の10年日本委員会の展開、にじゅうまるプロジェクトの宣言数を引用しながら、引き続きこの分野での日本の積極的な貢献を続けることを宣言されました。

ブラウリオ生物多様性条約事務局長。支持表明で埋め尽くされたUNDBポスターとともに。

そのほかにも、ニックセルバ(国連開発計画・持続可能な開発部門部長)、マルコス・シルバ(ワシントン条約)氏などから相次いでUNDBと愛知ターゲット達成のための取組みを宣言。IUCNからはシリー・センダションガ地球規模政策課題担当部長から、各国の生物多様性国家戦略策定・実施支援の取組みや、第6回世界公園会議、世界自然保護会議を通じた様々な取組みの成果をためていき、愛知ターゲット達成年である2020年に開催予定の世界自然保護会議でその成果を生物多様性条約に還元していくことが宣言されました。

色々な成果を得たイベントでした。国連生物多様性の10年日本委員会全体としてのセッションがあり、委員会メンバーそれぞれの活躍があり、それらが最後に、ハイレベルでのUNDB支持の決意表明にまで至るという一連のイベントを行うことで、今回日本のチームワークの強さを発揮したイベントとであったということが私にとっての成果です。

このように協力関係を作り、動いている様子を実例として見せることで、国内委員会(ナショナル・コミッティー)の有効性・必要性を各国に示すことができたと思います。COP期間中のどのイベント見ても、この「UNDBの日」以外政府・自治体・企業・市民・ユースが一丸となって作ったイベントないと思います。この成果を次に活かしていかなければなりませんが、まずは、このようなイベントの実現を支えてくれた多くの関係者の皆さんに御礼申し上げます。

(公財)日本自然保護協会 道家哲平