WGRI開会式 COP13開催国決定!?
第5回条約の実施とレビューに関する作業部会(fifth meeting of the Ad Hoc Open-ended Working Group on Review of Implementation)が始まりました。会議の最初ということもあり、あちこちで旧知の人たち、新顔の人たちが挨拶を交わす様子が見られます。1週間(人によっては2週間)一緒に話し合う人々の交流です。
作業部会の議長は、COP議長国(最近のCOPを開催した国で、今はインド)の方が務めます。愛知ターゲット達成まで、残り2390日。WGRI(ウィグリと発音されます)の基本的な背景等について説明を行いました。
前回の様子ももちろん過去に紹介しています。
http://bd20.jp/category/conference/wgri-4/
冒頭、インドの森林環境大臣によるビデオメッセージが流されました。愛知ターゲットの中間年としての重要性や、SDG(ポスト2015アジェンダ)へのインプットなどとしても重要性、名古屋議定書の批准がすすみ、発効までもう少しという報告がされています。時々、鳥の声がなんかステキです。
インド環境大臣は、資源動員について目標も含めた実行の方策について結論を出すことが重要であると指摘しました。決議を実現することの重要性なども指摘しています。
次は、事務局長の挨拶でした。COP10は歴史的会合と話しており、COP10の記憶は今でも色あせないようです。いかに、COP10の成果を実現に結びつけていくか。そしてそのためのピョンチャンロードマップを構築していくための議論が非常に重要だろうと話されていました。
愛知ターゲットについては、50カ国(既に作ったところは25)がCOP12までに国家戦略の見直しをおこない、愛知ターゲットに沿った活動が展開される予定。ただし課題は「実施のスピード」であると強調。
COP11の重要な決議は、生物多様性のための途上国に提供される資源を倍増させるというもので、そのための、インセンティブや多様な手法の検討が議題の一つとしました。30カ国が資源に関するポートを提出しているが、まだ不十分であり、なかなかレポートが出されないことにどう取り組むかというのが一つの課題です。
その他の議題等についても事務局長が説明しました。その中には、会議の進め方というのもあります。名古屋議定書がもし発効した場合、COP期間中に議定書会合も開かねばならず、いくつもの会合をどうマネージするかということも大きな課題です。
そして、SDGs(ポスト2015アジェンダ)へのインプットも大事とのことです。生物多様性と持続可能な開発目標について、非公式対話と名付けたセッションを持つ予定であることが発表されています。
「ブラジルがワールドカップに勝っても、この会議の進行に支障が生じないことを祈ります。」というW杯ネタで笑いを取って挨拶を締めました。ブラウリオ・フィエラ・デ・スーザ・ディアス事務局長は、ブラジル出身です(ラテン系という感じはしないのですが)。
次に、韓国政府からのオープニングステートメントがありました。「今年10月のピョンチャンでCOP11の成功を引き継ぎたい。そのためにもCOP12の準備会合であるこの会議の成功が重要。COP12は愛知目標の中間評価をし、行動の加速をしていかなければならない。GBO4に基づいた、各目標ごとの行動の加速や資源動員の加速のため、韓国政府は国連生物多様性の10年の残された年に達成させるためのピョンチャンロードマップを作ることを提案している。また、科学技術協力についてホスト国として努力していきたい。森林保全や海洋沿岸の保全の重要性などを指摘しています(韓国NGOに、政府による潮間帯発電開発の問題があることを聞いていたのですが、、、)。またSDGsの重要性から、COP12のハイレベルセグメントでピョンチャン宣言というものを提案したい」ということでした。
次になぜかメキシコに発言の機会が。生物多様性条約への貢献(国家戦略の改定や、生態系支払い制度の紹介、保護地域拡大とネットワークの構築、名古屋議定書の批准、70%が自治体の生物多様性地域戦略)を説明。自然資本の把握についての取り組みとネットワークを構築。という、色々な生物多様性への貢献をふまえ、COP13のホスト国となる意向を表明!!
COP13の開催予定年は2016年。議長がわざわざこれを話してもらうために指名したのでCOP13メキシコ開催は、ほぼ決定と思われます。
今回は、進行に余裕があるためか、地域代表からの発言を求めています。下記に主張な発言をまとめます。
ボスニア(CEE中央・東ヨーロッパ代表):セルビアの自然災害への世界の協力と、この会議への参加支援に感謝。
タイ(アジア代表):ホスト国への感謝。戦略計画・愛知ターゲットの重要性。アジア各国での国家戦略の改定を報告。国独自の目標や指標などが作られている。能力開発(キャパシティービルディング、またはキャパビルと略す)に関して日本と韓国、GEFへの謝意(道)科学的、技術的協力の継続の重要性と支援を要請。
グラナダ(ラテンアメリカ・カリブ地域代表):韓国でのCOP12の成功につなげていきたい。資源動員について高い関心。この地域からの参加が重要で、何カ国が参加できていないことに懸念。会議の成功のに協力していきたい。
ウガンダ(アフリカ代表):名古屋議定書の批准に、アフリカ諸国は努力を続けている。アフリカ諸国も国家戦略の改定に務めている。実施には予測可能で十分な資源が必要で、戦略の実施のための資源の増加が重要であると考える。先進国の支援について謝意を表明したい。
EU:NBSAPが愛知ターゲットの達成に重要なツール。NBSAPを通じて多様な主体を巻き込むことが重要。また、情報共有がASBも含めて非常に重要。資源動員についてのバランスのとれた目標設定と実施が重要。国内資源の拡大やODA改善など多角的な視点から取組みの重要性。条約の実施効果・効率の改善などにも建設的な態度で望み、成功に結びつけたい。
ILC(IIFB):NBSAPワークショプへのILCの参加を実現させてくれた日本政府の資金提供に感謝。ILCの重要性。ターゲット18で求める伝統的知識や先住民の参加を国家戦略策定プロセスにもっと関与させることの重要性を強調。GEFの会合にILCの参加拡大が重要。IIFBの代表として話しているのは、ヒゲの立派なタフィー・ファーバーさん。保全や開発の取り組みに対して先住民の「自由で、事前の情報提供に基づく同意Free and prior informed consent:FPIC」を求めていきたい。
南アフリカ(メガ生物多様性国代表):ABSも含めた愛知ターゲットの達成の重要性。資源動員戦略が、成功の鍵。
IUCN:愛知ターゲットの中間レビューであり、国家戦略についてのポイント。各国の努力は認めるべきであるが、実施能力のギャップがあり、まだ改定数は少ない。国家戦略において、愛知目標より高い目標を掲げることが重要。また、政策ツールとして活用される必要がある。SDGs(ポスト2015アジェンダ)に生物多様性の価値が組み込まれる必要がある。世界公園会議は、生物多様性を保護地域と保護地域を越えて保全していくことが重要であり、Nature Based Solutionを示していくことをめざしていく。IUCNは愛知ターゲット達成に貢献。
各地域のステートメントが終わり、会議進行関連の議題に。トカドゥアさん(フィジー)が報告者に指名。議題の承認などが行われました。
(公財 日本自然保護協会 道家哲平 にじゅうまるプロジェクト事務局)