WGRI1日目 午前 国家戦略改定状況等の評価など
生物多様性条約事務局の吉仲さんによる議題と関連資料の説明がなされ、各国からの意見表明が行われました。
以下、主要な発言をまとめたものです(スピーチを英語、時に、通訳を介した英語でおいながらまとめたものです)
カメルーン
COP10議題の推進には多様な主体の参加、協働、セクター毎の行動計画作りと、広く全国的な関心を引くことが重要。途上国のキャパシティビルディングにはまだ需要がある。各国の改定に関する経験の共有が重要。改定においては、キャパビルとメインストリーミング、現場・草の根の現実の中での実施の3点が重要で、資金の確保がその大きな障害であり、生物多様性への投資の確保をしていくことが重要。
日本
戦略計画及び愛知ターゲットの採択から4年。達成からはまだ遠い。国別目標の設定が必要。主流化と政策強化のために日本生物多様性基金を作った。NBSAP2012-2020は、愛知ターゲットの達成のロードマップを含む。NBSAPを改定した国の数が増えていることを歓迎したい。キャパビルについても、日本基金を通じ、またその効率や効果を高めながら支援を継続したい。基本的な決議案を支持。いくつかの決議の修正や明確化などについて提案。支援メカニズムについてもっと、各国の需要に沿ったものにしていきたい.加盟国との相互対話の中で改良を重ねたい。
カナダ
戦略計画の進展に向けて国家戦略の改定を実施、その内容等を第5次国別報告書として提出。3つの主要な事業:カナダ生態系の変化などをまとめた報告書を作成、生態系サービスの価値評価、24000人が参加し、生物多様性調査を実施。http://www.biodivcanada.ca/
ecological giftプログラムという名前で、生物多様性保全のための土地所有管理する人へのインセンティブ作り(?)などを実施。生物多様性野保全や回復(特に湿地)への支援なども実施。国家保全計画なども樹立し、愛知ターゲット達成のための取り組みを実施
メキシコ
生物多様性の科学技術移転などの強化(カリブ諸国間での)、生物多様性に関するハイレベル会合などを通じた協力関係構築。
ブラジル
目標11(陸域17%、海洋10%の効果的保全)、アマゾン(森林)で13%の保護をめざし、国家戦略の改定も実施。オンラインのタクソノミー情報の共有をめざし、ゼロ絶滅戦略をめざす。絶滅危惧種リストの確立とデータベースを作る。その際に科学者やNGOとも協働していく。ブラジル政府として、今年度中に生物多様性の方針と行動計画を確立する予定。8月までに第5次国別報告書も提出予定。
カタール
23%を保護地域にしていくことをめざしていることなどを紹介。
EU
NBSAPは愛知ターゲットのためのキーツール。9カ国が既に改定を実施。他の国も改定に向けた行動中で、愛知ターゲットの枠組みの中で、国別目標を設定中。それを支援するためEUは愛知ターゲットクロスリンクツールを作成中。地域ワークショップが日本基金の支援で実施できて嬉しい。指標に関する専門家グループを作ることを提案したい。世界目標の指標と、国内指標との整合を図ることが重要。ピョンチャンロードマップについて詳細と、どのようにテキストに影響を及ぼせるかもっと知りたい。キャパビルについてただし需要を把握して実施したい。
条約の元にたくさんのウェブサイト(クリアリングハウスメカニズム)ができているので重複を避けて、有効活用できるようにする。
* 用語解説 クリアリングハウスメカニズム
原義は手形交換所。すべての情報のやり取り(出し入れ)が記録され“その場所を起点として”交換される様子から、情報交換のメカニズム(=ウェブサイト)として使われる言葉。一般的なものから、ABS、重要海域、NBSAPなど近年いくつも作られている。
インド
国家戦略でより効果的に愛知ターゲットに貢献する方法について模索する必要があるのではないか。国家戦略改定に関して、時限を決めてアクションプランの設定を呼びかけてはどうか。
*用語解説 生物多様性日本基金
2010年から5年間毎年10億円を条約事務局に供出したもので(実際は、2012年まで(=円高のスゴいとき)に全部支払い済み)COP10の決議を実施していくために活用されているお金。条約事務局の1年間の予算とほぼ同額という大規模のもの。全世界でワークショップの実施等に活用。生物多様性日本基金は、COP10以降多方面で活用されてます。UNFCCCが多くCBD関連会合に初めて参加したある外務省職員が「日本がこんなに感謝される会合は初めて!」と国民的にはややビミョ〜な驚きかた(笑)をされるほど有名な日本のリーダーシップ。
何カ国かの発表が続きますが、生物多様性国家戦略(NBSAP)の改定やクリアリングハウスメカニズムの構築状況について、その中で必要な仕組みについての発表が続きます。指標、実施、多様な主体の参画、他の条約との連携、資金確保、能力開発(キャパビル)各国との経験共有などがキーワードのようです。
午前のセッション(もう1時半に近いですが)は、東ティモールで最後。残り4カ国プラス1機関は午後3時からのセッションで。これからサイドイベントとランチの時間です。
((公財) 日本自然保護協会 道家哲平)