世代をこえたつながりを作る

世界自然保護会議にユースとして参加させてもらったスタッフの後藤です。

道家さんからも報告があったように、WCCは世界中のIUCN事務局、自然保護NGOや政府などが集い、今後のIUCNとしての取組みを決める会員総会、そして、その話し合いにむけて、知恵や知識を出し合い共有するフォーラムの部分に分かれています。

フォーラムは、保全事例の紹介やそれぞれの活動の進捗報告のようなものあり、まるで学会発表にも似ているような雰囲気です。ですが、学会発表とは異なっていた点のひとつとして、IUCN全体として今後の活動を見据える会員総会を強く意識しているところです。多くのワークショップで「私たちの問題意識にもっと注目してほしい」「この点をしっかりと盛り込んでほしい」「そのためにみんなで考えましょう」といった意思がしっかりあったように思います。

9月7日に行われたイベント「相続人」というタイトルで、世代間連携を議論

中でも、動きが活発で、私の関心でもあったひとつが、「連合を通したユースの雇用拡大と世代間パートナーシップIncreasing youth engagement and intergenerational partnership across and through the Union」という総会決議に向けた話し合い。

中心メンバーは、フォーラムの始まったばかりの頃から会議ではない時間などにも集まりミーティングを行ったり、9月7日や9日、11日にも人を集めイベントを行ったりと積極的な動きをみせていました。

フォーラムの最終日でもあった11日のワークショップには、IUCNの委員や事務局、ユースからシニアまで多くの人が集まって、今後IUCN全体でどのようにユースや世代を超えたパートナーシップを形成できるか具体的に落とし込む話し合いをしました。

私のいたグループでのテーマは「ユースの能力強化(capacity building)」についてでした。すでに話し合われたなかであったIUCNへのインターンシップや好事例を特集した本の作成(Best Practice)などの選択肢から話を深めたり、全然新しい意見を出したり。印象に残っているのは、フィジーの方から言われた「IUCNという世界的なネットワーク組織と、私たちの国の島の貧しい若者の間には大きなギャップがある。それをどう埋めていくかを考えてほしい」という意見です。「彼らは、保全のための知識も好機も欲している」。こういった意見は、私が、自分を軸にして会うことのできる人との間では話し合われることのないような深刻さと真剣さが含まれた言葉だったように思いました。

私自身も、「生物多様性わかものネットワーク」という日本国内での活動を紹介したら、多くの方に興味を持ってもらい、いっしょに同席していたタイのNGO職員の方からは「タイでも若者のネットワークを作っているの。ぜひ、今後とも情報交換をしていきましょう」と話しかけていただくことなど、貴重な機会となりました。

「世代を超えた交流」というものは、核家族化の進む日本で、本当に稀になってきた機会のように思います。けれど、社会を良く知るシニアの方々の知恵や知識と、勢いにあふれる若者の行動力や想いが、お互いに刺激しあう場というのは本当に素敵でした。

こういった機会を、日本にも持ち帰って、いつか世代を超え「“暮らしの豊かさ”について」や「それを実現するための話し合い」を実現してみたい、というのが私の今後の夢に加わりました。

IUCN-Jにじゅまるプロジェクトスタッフ 後藤なな