資源動員戦略 最終決議

何度か経過報告した資源動員戦略は、下記の通りにまとまりました。本まとめは、L文書をベースに意訳してまとめました。

<報告枠組みと基準値>

①「第4回条約の実施とレビューに関する作業部会(WGRI4th)」で示された報告枠組みを(暫定)報告枠組みと採用すること、WGRI5thまでに使用にあたっての課題を報告すること

②2006-2010年の平均値を、資源増加の(暫定)基準値とする(資金を2倍といった場合の基準値)こと

<目標値>

③2015年までに、生物多様性に関係する途上国への資金の流れ(International Flow)を2倍にする(先進国のみならず、途上国から途上国の流れも含む)。2020年までは、その金額を維持する。

④2015年までに、75%(100%になるよう努める)の国が、生物多様性を国家の優先項目または発展計画に組込み、国内における生物多様性への適切な支出を図る

⑤2015年までに資金提供を受けた国の75%(100%になるよう努める)が、国内における生物多様性への支出に関する報告を行い、ちゃんとした基準値の把握や目標値の改善に資するようにする

⑥2015年までに資金提供を受けた国の75%(100%になるよう努める)が、生物多様性に関する国家財政計画を提出し、30%のそれらの国が、生物多様性の内在的、生態学的、遺伝的、社会経済的、科学的、教育的、文化的、レクリエーション的、審美的価値を査定または評価する。

⑦生物多様性に関する誘導措置(補助金)について、その具体化に向けた手順やマイルストーンを、採択も視野に、COP12で検討する。

<資源動員戦略の検討と、ロードマップ>

⑧資源動員戦略を実施状況をWGRI5thで検討し、最終(2020年までの)目標値の採択をするために、愛知目標20をCOP12で再検討すること。

結局、目標値は暫定という位置づけになり、COP12に持ち越されました。「善きことは カタツムリの速度で動く。」とは、インドの思想家マハトマ・ガンジーの言葉ですが、原案よりもややトーンダウンした内容ではあるものの、無事に合意されたというのが印象です。

(財)日本自然保護協会 道家哲平