世界各国のユースイニシアティブの発表:GYBNサイドイベント(ユースレポート)

COP14も残すところあと2日となりました。11月27日のお昼にGYBN主催のサイドイベントで世界各国のユースイニシアティブが発表されました。インド、ドイツ、インドネシア、フィリピン、エジプト、中国と事例発表を行った地域は多岐に渡りました。(日本の事例発表は過去に行ったこともあり今回は無しです)

Christian氏による簡単なGYBNの紹介ののち、各国のイニシアティブが発表されました。

まず、インドユースのBarath氏とAnshita氏によるインドで実施されているプログラム「Telangana Biodiversity fellowship program」の紹介がありました。これはインド政府からも支援を受けているプログラムで、生物多様性に貢献する仕事を若者が行うものだそうです。また、インドにはハーブを用いた信仰療法などの伝統的な知識が数多くあるものの有名ではないので、政府に働きかけを行っているようでした。

次にInga氏とJaninka氏からドイツのNAJUという国際ユースNGOのプログラムの紹介がありました。プログラムには6歳から27歳の計85000名が参加しているそうです。自然体験を行い、動物や植物の知識を得るなどの教育を行うこともあれば、他の州でのワークショップの相談に乗ることもあるそうです。また、ユースのキャンペーンもいくつか実施しており、「Bee’s inn(ハチのホテル)」というキャンペーンでは、蜂やその他の昆虫の保全方法を具体的に知ってもらうという目的の下行われているそうです。また、今回のCOPの前にはワークショップを行い、若者を巻き込んだ生物多様性への普及啓発を行ったそうです。また、若者の意見(statement of youth)を1つ1つ記載したポストカードを作るキャンペーンも行ったとのことでした。

 CIMG2466ユースの思いが詰まったポストカード

 続いてIFSA(International forestry student’s association )のAngga氏からとFrederik氏から発表が行われました。インドネシアのAngga氏の発表は、ボゴール農科大学における取り組みの紹介で、“Biodiversity campus is our identity(生物が多様なキャンパスは私たちのアイデンティティだ)”というメッセージが書かれた表紙からはじまりました。ボゴール農科大学では植物などを紹介する看板の設置やその補強、植樹やキャンパスのモニタリング、写真コンテストなどの6つの活動を行い、キャンパスの周囲の生物多様性に関する教育を人々に行うことやキャンパスの自然を楽しむことを目標にしているそうです。また、ドイツのFrederik氏からは、環境紛争(environmental confrict)を理解するための枠組についての発表がありました。

その後は、フィリピンのKier氏から“PA CAN WE DOING”(タガログ語で亀を意味する“Pawikan”が語源になっているそうです)というカメを保護するためのわかものを中心とした取り組みの紹介がされ、Sefa氏からフィリピンの原住民ユースに対するプロジェクト“PROJECT TAWID”が紹介されました。また、エジプトのwarda氏からは古代史における生化学に関する発表が行われました。

同じくフィリピンのMina氏からは、WWFフィリピンの全国ユース会議に関する発表が続きました。このユース会議の役割として①代表として環境に適切な見方を提供する②ユースの仲間が自然保護を行うことを励まし力づける③より持続可能なフィリピンを築くためのプログラムや活動に参加する、という3つがあるそうです。

最後に中国のXinyi氏からは中国ユースの現状と、所属するNGOでのユース政策提言(Policy Advocacy)ワークショップに関する内容が発表されました。まず現状として中国ユースの生物多様性条約に関する情報や知識が少ないことが指摘され、今後どのように中国ユースを巻き込んでいくかが課題であることを述べました。また、2日間に渡る政策提言WSは①意思決定に影響を与えるために提案を使用する方法についての成功事例の共有②方法論③練習の3つのステップから構成されており、WSの結果10テーマの国家向け提案と5つの地方向け提案を参加者が行い、大きな成功が得られたとのことでした。締めくくりにXinyi氏は、中国ユースは現在よりも多くの情報を共有し、能力養成の活動を行うことに加え、会議への参加機会を獲得する必要があると述べました。また、一方で中国のユースがSNSなどでの情報を発信することが難しい現状も指摘していました。

 

CIMG2548

 WSについて話すXinyi氏

 

各国のユースの取り組みを参考に日本での活動も促進していきたいと思います。

生物多様性わかものネットワーク/IUCN-J 矢動丸琴子

(千葉大学大学院/園芸学研究科/環境健康学領域/博士後期1年)