COP14の参加成果(ユースレポート)

帰国から2週間以上が経過してしまいましたが、今回COP14に参加した成果をまとめたいと思います。

ここでは大きく「フォローした議題」「サイドイベント」「NGOによるアクション」「GYBNの体制」の4つに分けて以下に記述したいと思います。

また、個人的なことですが、わたしにとってはじめての国際会議への参加は今年7月に開催されたSBSTTA22/SBI2であったため、「COP」への参加は今回がはじめてでした。刺激になることや勉強になることはもちろん、他国のユースの活動事例やNGOによるアクションなど本会議以外の面でも今後の日本国内でのユースの活動の参考になることが多く得られたと思っています。

Photo_18-12-20-11-35-37.751

GYBNの集合写真

フォローした議題

私は「生物多様性の主流化」をメインに「ポスト愛知=ポスト2020枠組」と「生物多様性と気候変動」をフォローしていたので、その3つの議題の進行状況などについてまとめたいと思います。

主流化については、ドラフト文書の検討日とUNDB-DAYが重なってしまったために直接傍聴することはできませんでしたが、多くの国が「主流化は重要である」というまとまった意見を持っており、スムーズに進んでいたと後ほどGYBNのメンバーから聞きました。CRP文書の検討の際にももめることは少なかった印象ですが、パラ13の(e)にあたるFPIC(Free , Prior and informed consent:圧力等を受けない自由な状態での、充分な情報提供に基づく同意)にかかわる部分についてはEU、ベネズエラ、コロンビア、ニュージーランド、ブラジル、ノルウェーなどの関連する国同士での話し合いが行われるという対応がとられていました。しかし、SBI2での決定と大きく変更がない点や、多くの議題でコンタクトグループが何度も開かれていたことを考えると、比較的円滑に進んでいたように思えました。(決定紹介はこちら)

ポスト愛知目標のプロセス案については、連日夜遅くまでコンタクトグループ(特定の議題について集中的に議論するもの)が開かれ、プロセス案の検討が重ねられました。コンタクトグループに出席するのははじめてであったため、本会議場とは異なる雰囲気や各国の交渉官の方々の切迫した雰囲気を感じました。(決定紹介はこちら)

気候変動についても主流化と同様に、ドラフト文書の検討日とUNDB-DAYが重なってしまったために直接傍聴することはできませんでした。CRP文書の検討から傍聴していましたが、3つめのパラグラフの冒頭にあった生態系の劣化や断片化に伴う温室効果ガス排出の加速に対して深く懸念するという趣旨の段落の「Deeply concerning」の“深く”「Deeply」という単語を入れるのか入れないのかについて30分以上議論をし、これにはEUも苦言を呈していました。また、その他のパラグラフについても進捗が悪く、その結果、本会議場にて7パラ以降の検討時間がなくなってしまい、コンタクトグループが開かれることとなってしまっていました。(決定紹介はこちら)

サイドイベント

本会議以外にも数多くのサイドイベントに出席しました。中でも各国のユースによる「ユースイニシアティブ」の発表では、各国ユースの取り組みやアイディアを学ぶことができ、今後日本国内で活動して行くにあたって大きな参考にできそうだと思いました。特にドイツユースによるポストカードのキャンペーンについては、早速日本国内でも行っていく計画を立てています。
このユースイニシアティブの記事を含め5つのサイドイベントについての報告記事を当ブログにて執筆しておりますので、ご興味のある方はそちらもご覧ください。

NGOによるアクション

CBD Alliance(CBDに関するNGOの連携組織)によるNGOらしいアクションも数多く行われていました。個人的に見ていて1番印象に残ったものは、「製造」「化学物質」「汚染」などの環境に悪影響を与える用語を服に貼り付けた人々が輪になって並び、その内側で地球型の大きなボールを思いっきり交互に蹴り合うというものでした。そのそばには「STOP CORPORATIONS KICKING OUR PLANET(会社は私たちの地球を蹴るのをやめなさい)」と書かれた大きな布を持った人が立っており、メッセージをアクションとともに訴えていました。

Photo_18-12-20-11-37-51.753

アクションの様子

また、11月28日にはわたしもアクションに参加しました。内容は、訴えたい多くのメッセージをアクション参加者それぞれが手に持ち、将来世代や様々な種、地球のために勇気を持って立ち上がろうという趣旨の歌を歌うというものでした。また、アクションを見た方々に「将来世代に向けたメッセージ」をポストイットに書いてもらい、貼ってもらうこともあわせて行っていました。ドイツユースのひとりが「歌は歌っていて楽しいし、メッセージが力強く伝わりやすい」ということも言っていました。

 

Photo_18-12-20-11-37-53.689

アクションの写真

 これまでアクションといってもどのようなものを行えば良いのかまったくイメージが着いていなかったのですが、力強くインパクトがありわかりやすいものを間近で多く見れたことは大きな収穫になったと思っています。

GYBNの体制

GYBNのメンバーが「政策提言チーム」と「メディア配信チーム」に完全に分かれ活動していたことや、ブースで行っていた愛知目標それぞれの番号に対応した缶バッヂとポストカードのキャンペーンの主担当者を決めるなど、体制面でも勉強になることが多くかったと思っています。また、会期中に3つのサイドイベントも企画し、無事に成功させていたことを考えると、ユースが関われる場はとても多く、1つ1つの活動を大事にしていく必要があると感じました。
2020年のCOP15で日本ユースが「何か」をするためには、このような体制を見習うべきだと感じました。また、今後もGYBNメンバーをはじめとする他国のユースとの関係を大事にし、積極的に協働していきたいと思いました。

 

Photo_18-12-20-11-38-16.561

中国ユースと

生物多様性わかものネットワーク/IUCN-J 矢動丸琴子
(千葉大学大学院/園芸学研究科/環境健康学領域/博士後期1年)