スマホで外来種を特定:侵略的外来種に関するサイドイベント(ユースレポート)

SBSSTA2日目にあたる7/3のお昼のサイドイベントで「侵略的外来種」に関する各国の取り組みについての紹介を行うものがありました。

外来種とは、もともとその地域にいなかったものの人間の活動などにより他の地域から入ってきた生物のことを指します。その外来種のうち、急激な増殖や分布の拡大により移入先の生態系や人間の生活に深刻な影響や被害を与えるものを侵略的外来種と呼びます。侵略的外来種は在来種の絶滅につながる恐れがあり、日本での例では、マングースなどが該当します。また、外来種に関する愛知ターゲット9では、侵略的外来種の特定、優先度の設定、侵入防止と(早期段階の)防除を目指しています。

私の参加したサイドイベントでは、IUCNによる侵略的外来種の現状の説明の後、EU、ノルウェー、イギリス、南アフリカ、東南アジア、ニュージーランド、中国による各国の取り組みが紹介されました。

まず、侵略的外来種の現状として、多くの種が外来種によって絶滅しており、絶滅危惧種の16.2%が侵略的外来種の影響だけで絶滅の危機にあること、40.5%が侵略的外来種とその他の要因により絶滅の危機に追いやられているそうです。つまり半数以上の生物の絶滅に侵略的外来種が関わっていることになります。対策を行い生物多様性を保全することが重要なのですが、1年間で125億ユーロ(約160億円)もの対策費用がかかり、巨額の経済損失につながるという問題もあるようです。また、愛知ターゲット目標9の進歩も48%が不十分であるとされていました。

そのような現状に対しての各国の取り組みとして、私はEUの取り組みに興味を持ちました。最も面白いと思った取り組みは、侵略的外来種に関するスマートフォンアプリの紹介です。これは、EU市民が侵略的外来種に気づいたり発見したりしたときに使用することが可能で、写真を撮ることによってアプリで侵略的外来種の特定が可能だというシステムだそうです。このアプリを通して市民に侵略的外来種と向き合ってもらうという狙いがあるようでした。

また、EUでは2014年に外来種に関する規則(regulation 1143/2014)ができ、規制の核となる部分として、侵略的外来種のブラックリストを作成したそうです。初めてのリストにはホテイアオイやアカオダテガモなどの49種(植物23種、動物36種)が掲載されているそうです。また、European Alien Species Information Networkという規制をするための科学コミュニティを設立し、侵略的外来種の検索やマッピングができるそうです。

侵略的外来種のスマホアプリ

侵略的外来種のスマホアプリ

上記のような取り組みは日本でも応用が可能なものだと考えられ、非常に参考になる部分が多いと感じました。情報社会である現代の流れに乗り、スマホアプリなどの開発により市民にとって侵略的外来種問題を身近なものにするという発想は見習うべきであると思いました。

またサイドイベントに出席し、各国の取り組みを聞く中で、ある地域では「侵略的外来種」であるものの、もともといた地域ではそのようなことはない生物であるため、根絶の方法によっては生物多様性の損失につながるのではないかと思いました。「侵略的外来種」はSBSSTAの主要な議題の1つであり、意図しない外来種の侵入防止のための補足ガイドラインの採用についてなどの内容について議論される予定です。侵略的外来種問題に対して適切な対処方法を採択し、生物多様性の保全につなげられる政策を考えるべきだと思いました。
私は侵略的外来種の議題を追うので、今回出席したサイドイベントの内容も頭に入れながら議論の流れに注目したいと思っています。

生物多様性わかものネットワーク 矢動丸琴子
(千葉大学大学院/園芸学研究科/環境健康学領域/博士後期1年)