市民セクターの各国政府へのロビーイング

市民セクターの意見表明方法

国際会議は、市民セクターにとって、自国だけでなく多くの締約国政府団に自分達の考えを伝える良い機会です。会議内での発言はその最たるものですが、他にもロビーイングと呼ばれる以下のような取り組みが行われます。

●政府団との意見交換
CBD Alliance(以下CBDA)では、メンバーが時々政府団との意見交換を設定しています。今回は8月28日にGLULAC(中南米グループ)、8月29日にEU、8月30日に日中韓との意見交換を行いました。

●アクション
8月27日、8月29日には先住民地域共同体(以下IPLC)が主催し、CBDA、Global Youth Biodiversity Network(以下GYBN)が協力し、本会議会場近くの広場でバナーアクション、寸劇によるアクションを行いました。詳細についてはユースレポートをご覧ください。

●個別交渉
本会議等での発言を聞きながら、自分達の考えを支援してくれそうな締約国に個別交渉します。本会議での市民セクターの発言は、締約国の支援があって初めて採用されるため、文書に直接何か盛り込みたい時には非常に有効な方法です。

日中韓政府との意見交換

意見交換の具体例として、4日目の8月30日の日中韓政府との意見交換についてご紹介します。
意見交換開始予定時間の30分前に集合し、どのような議題にするか議論しました。今回は以下の議題で意見交換に臨みました。

1)政府団への質問
・APEX ゴールについてどう考えるか?
・アフリカが提案している技術メカニズムについてどう考えるか?
 また、新規技術は生物多様性保全に有益だと考えるか?
・大規模な生物多様性の損失につながるドライバーについてどう考えるか?
・コンプライアンスメカニズム・権利に基づくアプローチについてどう考えるか?
・今後の資金提供についてどうコミットメントするつもりか?
・IPLCがCOPで行ってきた自然文化イベントについて、COP15でも支援してもらえるか?

2)意見表明
・COP15に向けて中国においてNGOとの連携を進めて欲しい。
・草の根団体など小規模NGOがPost-2020の議論に参画できるよう、資金と情報を提供して欲しい。
・今後の会合に合わせて市民セクター主催のテーマ別ワークショップを運営したいと考えているので
 支援して欲しい。

打合せには、市民セクターからCBDA参加団体・IPLCの32名、政府関係者は日本1名、韓国2名、中国4名が参加しました。

日中韓政府団との打合せ

日中韓政府団との打合せ

 政府団からは上記質問・意見について個人的な見解も交えながらしっかりと答えていただくことができました。その中でも、中国においては既に国際NGOを中心とした市民セクターとの定期会合が行われおり、小規模NGOも希望すれば参加できるという情報が得られました。CBDAでは中国のNGOと協同してCOP15に臨むにあたり、どのような団体と連携していくかという課題を抱えていたため、この情報は非常に有益なものとなりました。
CBDAにとっても日中韓政府団にとっても初めての試みでしたが、お互いに好印象だったように感じました。

宮本育昌(国連生物多様性の10年市民ネットワーク)