【ユースレポート】第1回ポスト2020作業部会での世界ユースの提言

CBDの国際会議では、GYBN(Global Youth Biodiversity Network)は活発に活動しました(第1回ポスト2020特別作業部会(1st OEWG)での世界ユースの活動を参照)。GYBNでは、作成したポジションペーパーをもとに、本会議中で何度も提言を行っています。
ポスト2020年枠組みの要素について提言された内容を、以下にまとめます。
*下記クラスターは、NGO間で重視したグループ群で、本会議で用いられた分類とは異なります。

プレナリーでユースが発言しているところフィリピンユースによる発言

CLUSTER1 The outcome-oriented elements

クラスター1は、結果型指向というタイトルで、ここには、ビジョン、ミッション、ゴール、ターゲット(サブターゲット)、指標などが含まれます。

●ユースの主張のポイント
―世代間の公平性、持続可能な生活、そして私たちの生活支援システムの完全性がポスト2020年の枠組みに組み込まれていることが最重要
―2050年のビジョンに到達するため、進捗を確認し、定期的に取り組みを調整する5年間の段階的なマイルストーンまたは優先行動計画に分割された15年間の戦略計画があれば、効果的な実施のためにより適切な時間枠になる。(締約国間では、ポスト2020枠組みの最終年限は2030年という意見が多い中で、2035年という枠組みを提案)

CLUSTER2 Enabling conditions and means of implementation

クラスター2は、条件整備やポスト2020枠組みの実施手法というタイトルで、ここには、資源動員、資金メカニズム、キャパビル、技術移転、知識管理、コミュニケーションなどが含まれます。

●ユースの主張のポイント
ー2020年枠組み前後のNBSAP間の互換性の確保
ーガバナンスを強化する目標と手段、環境の限界への配慮を保証する規制機関の導入
ー地域ごとに協議された以下の条件整備を新しい枠組みに含めること
①効果的なガバナンス、法律、制度
②先住民族や地域社会、女性やユースを含む利害関係者の、実施の全段階における完全かつ効果的な参加
③多様な知識システムからの知識と技術の創出、公正かつ公平なアクセスと管理
④生物多様性のリテラシーと教育

CLUSTER3 Planning and accountability, modalities, mechanisms and tools

クラスター3は、計画立案、説明責任、運営の仕組み、メカニズム、ツールというタイトルで、ここには、NBSAP、国別報告書、レビュープロセス、ボランタリーコミットメントなどが含まれます。

●ユースの主張のポイント
ー生物多様性の保全と、持続的な使用のために“必要な”コミットメントと責任は、自発的であってはならない。
ーNBSAPを損なうのではなく、NBSAPで既に行われたコミットメントに“加えるのであれば”、ボランタリーコミットメントが必要
ーさまざまな利害関係者の、共通であるが差異ある役割と責任に関する明確なガイダンスを定義し、明確で効果的な説明責任の測定を通じて追跡する必要がある
ー関係者の実施努力に対する説明責任の測定の実施

CLUSTER4 Cross-cutting approaches and issues

クラスター4は、横断的アプローチと課題というタイトルで、ここには、主流化、パートナーシップ、シナジー(相乗効果)、多様な主体の参加(先住民地域共同体、ジェンダー(女性)、ユースなどが含まれます。

●ユースの主張のポイント
―横断的な課題の全ての視点を、適切な目標や指標の形で(測定されたり、フォローアップされるように)、明確に反映させる
—ユース、IPLC、女性、その他のグループの完全で効果的な参加を確保するために、能力構築に投資する
―INTEQの原則を追加の横断的課題として含める

 

GYBNは、INTEQをポスト2020年の枠組みに含めることを推進しており、INTEQに関するイベントをポスト2020作業部会前日である8月26日に開き、締約国へのロビー活動も行っています。
このような活動の成果として、ボリビアやチャドなどの国々がユースの主張であるINTEQをサポートしました。

また、提言の中でユースについて触れている国は数多くあり、例えば、EUをはじめとする締約国が将来世代であるユースへの期待を示すなど、CBDにおけるユースの存在の大きさや、ユースが活動することの意味を感じました。

島田ゆり子(生物多様性わかものネットワーク/明治大学3年)