アジア地域フォーラム初日の様子

アジア地域フォーラムは、IUCNが作成した動画「We are the generations」で幕を開けました。

初日のプログラム概要は以下の通りです。
・2024年に向けたIUCN(プレジデントの基調講演を含む)
・正式な開会式(パキスタン大統領の挨拶を含む)
・IUCNの次期4カ年(2021-2024)プログラムのドラフト発表
・IUCNアジア地域の運営体制紹介
・代表者の挨拶やコミュニケーション委員会(IUCNには6つの特定課題に対する委員会があります)の表彰等
・本会議の合間での8つのサイドイベントと、会議終了後のレセプション

2024年に向けたIUCNのセッション内でのプレジデントの基調講演では、人口増加・経済成長・気候変動などの世界のトレンドと、アジア地域の状況を照らし合わせた上で、アジア地域フォーラムの重要性、とりわけ新たなイニシアティブについて強調していました。

世界自然保護会議(2020年,フランス)に向けては、①どのように現実的なマイルストーンを作るかと②ポスト2020とCOP15にどのような影響を与える会議にするのか、という問題提起がされました。それらに対し、①ユニオン全体のさらなる動員、②保全の主流化、③条件整備(Enabling condition)という3つの戦略が提示されました。
基調講演の他には、事務局長代理、パキスタン気候変動省からの説明がありました。

本来開会式が開かれたのち、基調講演のセッションが開かれるべきですが、順番が逆転したのは、パキスタン首相の参加が可能となったことによります。パキスタンは人口2億人という日本の2倍の人口を誇る国ですが、その国民の代表が、IUCNの会合に出席してくださることになったのです。
パキスタン首相からの挨拶では、パキスタンはどこも生物多様性が豊かであり、12の生態系ゾーン(熱帯、砂漠、海洋林、野生動物等)があることにふれました。その一方で、人口が増加し、都市に住む人が増え、生物多様性が豊かであることを国民があまり理解していないとのことでした。成功のためには、地域コミュニティや若い世代、女性を巻き込むことが必要であり、特に若い世代をインスパイアしなければならないことを強調しました。というのも、パキスタンは人口の60%が30歳以下の世代だそうです。パキスタンは国全体として、自然保護等でのユース参画に力を入れていることが窺えました。また、温暖化も気候変動対策も全員で取り組まなければならないことを強調し、パキスタン首相の自然保護への思いの強さを感じることができました。

上述したとおり、IUCNの次期4カ年(2021-2024)プログラムのドラフトも発表されました。プログラムの範囲としては、①健全な土地と水辺②健全な海洋③気候変動適応と緩和④自然資源の公正なガバナンスの4点としており、これらの内容の詳細について、2日目のセッションで情報共有やパネルディスカッションを行います。
特に4点目には、ジェンダー公平や、ユースの参画と世代間のパートナーシップについて明記されており、IUCNが次期4カ年においてユースを重要なステークホルダーとして認識していることが理解できます。
IUCNのプログラムとポスト2020という重要なセッションの議長を務めた堀江IUCN理事も、ユース参画の重要性を繰り返しました。

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レセプションでは、コミュニケーション委員会(CEC:Commission on Education and Communication)によるCECアワード表彰式が開かれ、30年以上にわたり環境教育やカリキュラム作り、環境教育センターを構築した中国森林協会のチェン氏の受賞が発表されました。また、表彰制度の審査委員を務めた道家事務局長もステージに上がり、チェン氏やその他の審査委員とともに表彰を受けました。

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サイドイベントについては、別の記事にてレポートしたいと思います!

最後に、フォーラム開始時に流れていた動画はYoutubeから閲覧することができます。IUCNの作成する動画はわかりやすくメッセージ性があり、個人的にとても気に入っています。良ければこちらよりご覧ください

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。

矢動丸琴子(IUCN-J事務局)