第2回ポスト2020作業部会―初日の進行詳細

第2回ポスト2020作業部会が始まりました。

当初予定されていた、中国雲南省昆明から会場をイタリアローマに移して、第2回ポスト2020作業部会が開会されました。2月29日土曜日まで、会合は続きます。

初日は、本会議(Plenary)の進行で、開会挨拶や、会議の進行について説明が行われた後、ポスト2020枠組みのゼロドラフトについて、第1回会合(2019年8月)以降に開かれたテーマ別コンサルテーションの結果を振り返ったのち、意見出しが行われました。各国の発言も多く、意見出しは2日目午前まで伸びることとなりました。(全体の流れは、「【ユースレポート】ポスト2020特別作業部会1日目終了!」を参照してください)

開会挨拶は、FAO事務局長・COP14議長国・中国大使・生物多様性条約事務局長から行われました(このページの後半に、要旨をまとめています)

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 会議を進行する共同議長や生物多様性事務局担当者など

会議の進行について

共同議長から提案され(採択された)進め方は下記のとおりです。
・今回は、まだ、意見出しというステージ。一行一行合意を確認するような交渉は行わない。また、この会合のあとで開かれるテーマ別コンサルテーションや、実施メカニズムを議論するSBI等で扱わない課題中心に意見出しを行う。
・本会議を月曜日と、進行確認の木曜日、最終日の土曜日に開催する以外は、コンタクトグループという形で、進める。
・コンタクトグループ(CG:Contact Group)は、CG1-ミッションとゴール、CG2-生物多様性の危機(行動目標1-5)、CG3-持続可能な利用/人々の需要にこたえる(行動目標6-11)、CG4-ソリューション(目標12-20)に分ける。CG4は、木曜のプレナリーの後に協議。
・各CGリーダー(ビューロメンバーから選出)は、総意に近い文書や、オプション、出された意見などを取りまとめる。ブラケット([]で囲み、合意がされていないことを示す記号)は最小限だが、使用可能。

テーマ別コンサルテーションの成果共有

第1回ポスト2020作業部会後に開かれた会合の共有が行われました。そのテーマは非常に多岐にわたります。「生態系復元」「海洋沿岸」「ランドスケープアプロ―チ」「資源動員」「透明性ある実施」「主流化に関する助言機関会合」「地域を基盤とした保全手法」「人権と条件整備」などから報告がありました。

今後、「準政府、地方自治体の役割」「持続可能な利用」「能力養成に関する長期計画」「生物多様性関連条約間連携」などのテーマ別協議が行われることも報告されました。

ポスト2020枠組みについての意見

締約国から様々な意見が出されました。
・ターゲットとゴールの関係性の明確化がもっと必要
・全体の意欲度を向上させる
・アクションターゲットの意欲度と、支援の仕組みはバランスをとるべき
・重複している部分があり、改善が必要。
・生態系復元、沿岸生態系の再生、ブルーエコノミー、外来種、ABS、気候変動、主流化、生物安全保障、野生動物の捕獲、自然資本会計や戦略的影響評価などが重要。能力養成や技術移転や資源提供などの手法の多様化と強化が必要。効果的な実施手法の重要性と、条約の3つの目的の実施が重要。
・今回の会議の成果を反映させた文書を、次回の科学技術補助機関会合と条約の実施に関する作業部会の前に更新してほしい。
*このパートは、期間中に精査し、更新する予定です。

開会挨拶要旨

*このメモは報告者によって要点をまとめたものです。

屈冬玉(Qu Dongyu)FAO事務局長の開会挨拶

・力強いポスト2020枠組みの合意に向けた大事な会議である。
・生物多様性の保全は、農業や林業や水産業にとっても重要な仕事。FAOでは、生物多様性保全や持続可能な利用のための歴史的な重要な仕組みを作り続けてきたところである。ITPGRや漁業規則、食糧農業白書なども発行し、生物多様性の危機を訴えてきた。
・植物保全のための重要年と国連でもしている。持続可能な消費と生産の重要性を指摘したい。
・引き続き、SDGsへの対応、国際協定や機関間の連携の強化、農林水産業への政策的なインプット、FAO加盟国への能力養成の機会の提供などで貢献をしていきたい。

ハムダラ・ゼダン(Hamdallah Zedan)COP議長国(エジプト)代理挨拶

・中国への危機への連帯と、OEWG開催への支援への謝意。
・準備プロセスに関して関わったあらゆる人に感謝。
・ナイロビで開かれた第1回ポスト2020作業部会で、重要な議論を始めた。ポスト2020枠組みはCOP14会合からつづく重要なプロセスとステップを踏み続けてきた。
・この検討そのものが国家のアクションプランを刺激するだろう。条約の3つの目的を多様なスペクトラム(視点)で具体化してくことが重要だろう。
・同時に、この目標を「実現していくこと」が重要である。ゴールやターゲットの高い意欲度が重要であるが、それは、同時に、実施手法についての高い意欲度が重要。
・シャルムエルシェイク‐昆明アクションアジェンダへのインプットをしてほしい。

Xia Yingxian中国大使

・コロナウィルス拡大の封じ込めに全力を挙げて取り組むことを約束する。多くの国の支援に感謝。
・生態文明を関する会議のテーマを発表をした。人と自然の共生に向けて、ふさわしいテーマと考えている。ロゴも発表し、生物多様性と文化多様性をモチーフとしている。ポスト2020に向けてやるべきことはたくさんあるが、引き続き取り組んでいきたい。
・ターゲットとゴールのリンクが重要。ターゲット群と支援メカニズムのバランスをとることも重要だ

エリザベス・ンレマ(Elizabeth Mrema)事務局長

・世界経済フォーラムで、生物多様性が話題となり、ボン条約締約国会議などでも、ポスト2020枠組みや、スパーイヤーの機運を高めてくれた。
・オーストリア、オーストラリア、フィンランド、カナダ、ドイツ、ノルウェー、スイス、UK、EUなどの交通費支援への感謝。
・FAOのQu事務局長にも、非常に短い期間で会議の準備を進めてくれたことに感謝したい。中国にも、新型コロナウィルスの封じ込めへの対応に感謝したい。
・今回142カ国から1000人近い人々が参加し、NGO、企業、IPLC、ユースも含まれている。私たちは、条約にとって、生物多様性にとって非常に重要な機会に直面していることを強調したい。
・IPBESのレポートが多くの危機と、我々の役割の重要性を教えてくれた。現在、我々は、公開の透明性のあるプロセスで、新しい目標づくりをしている。ポスト2020枠組みは、目標だけでなく、指標やモニタリング、レポート、実施メカニズムなど、数多くの要素を含むものだ。これまで指摘された多様な意見をとりまとめ、スタートポイントを作ってくれた共同議長に感謝。
・共同議長は、この会合に至るまでに、地域ごとにウェビナーを実施して、内容の説明と理解と、改善のための下地作りを行ってくれた。
・世界中が我々と、その成果を見つめている。行動可能で、国ごとにダウンスケールが可能で、SDGsに貢献する枠組みを作らなければならない。このワーキンググループで、SMARTなポスト2020枠組み作ってくれることを期待している。具体的な行動や投資が、人々を自然の共生に導入れくれることを期待する。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。