3日目のポイント紹介

ポスト2020作業部会3日目は、朝から夜までコンタクトグループでの会合を続けました。

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FAOからの景色

午前のCG2-生物多様性の危機に応える

昨夜の続きから再開となります。

行動目標3「外来種」

ゼロドラフトの原案に入っている要素としては「侵入経路(Pathway)の管理」「防除」「撲滅」「優先地域での対策」「新規導入の割合を減らす」などが入っています。

これらの基本要素の維持についてはおおむね合意されていましたが、それに加え、「意図的および非意図的導入経路」「侵入について高いリスクのある外来種」「早期発見」「モニタリングの強化」などの要素を入れたいという意見が出されました。

行動目標4「汚染対策」

「過剰栄養」、「プラスチック」、「その他の汚染源」による「汚染を減らす」というのが原案の要素です。

議論では、汚染源の追加に関する意見(「化学肥料」「化学物質」「農薬」「光害」「海中騒音」)と、個別の汚染源を増やさずに、ターゲットはシンプルにしつつモニタリング項目を充実させようという意見もありました。また、汚染源の主要な排出元(農業や、製造業、建設業、インフラ産業など)を組み込みたいという意見、対策の基本原則として「循環経済(Circular economy)」という用語を入れたいという意見も欧州中心に見られました。

One Planet Business for Biodiversity (OP2B。ネスレ・ユニリーバ・グーグルなどが加盟)という企業グループからの発言もあり、汚染源の排出対策だけでなく、自然界に流出した汚染物質の回収についてもターゲットセッティングをしてはどうかという積極的な意見もありました。

午後のCG3-人々のニーズにこたえる

午後のコンタクトグループは、持続可能な利用について意見出しが行われました。

行動目標7「持続可能な利用と暮らし」

原案には、「野生生物種」の「持続可能な利用の推進」が、「人々」「とりわけ脆弱な人々の」「栄養」「食料安全保障」「暮らし・生計」に利益をもたらし、「人と野生動物の衝突が減る」という要素を含みます。

意見は多岐にわたるのですが、先進国中心に持続可能な“利用の推進”ではなく、野生生物の“利用を持続可能な形にする”という表現へのこだわりが見られました。ここの議論は「共通だが差異ある責任」という生物多様性条約では明記されていない原則への言及をブラジルが始めたことで少し錯綜した印象です。

追加したいとされた要素としては、「持続可能に利用されている野生生物種の数」「栄養などに加え“健康”という用語を入れる」「漁業の要素を入れる」「先住民地域共同体の慣習的利用」「人と自然の衝突を相互関係(Interaction)」「野生生物という用語を、生物資源にして拡張する」「貿易」「生態系サービス」などの要素を入れたいという意見が出されました。

行動目標8「持続可能な利用と農業」

原案には、「農業」「その他の管理地域」において、「生物多様性の保全と持続可能な利用」の「強化」によって、そのようなシステムの「生産性」「持続可能性」「レジリエンス」の強化をおこない、「生産性ギャップを減らす」という要素が入っています。

議論では、農業に加え、「漁業」「林業」「養殖業」を対象としたい、「生態系ベースアプローチ」「先住民地域共同体」「あらゆるタイプの農業」(ブラジルが提案。これまで会合でも、有機農業だけを持続可能な農業ということに反対していました)「先住民地域共同体や小規模農家の貢献」「生産ギャップの減少の削除」などの意見が出されました。

行動目標9「清浄な水の提供」

原案には、「自然を基盤とした解決策(Nature Based Solution)」を通じて、「清浄な水」を「人々」に届けるという要素が入っています。

議論では、「水へのアクセス」「水の安全保障」「水以外の生態系サービスも言及」「生態系サービス」「生態系ベースアプローチ」「NBSが分からない、流域や統合的水管理、ランドスケープアプローチを通じて生態系サービスを届ける」などでよいのではないか←「NBSは大事な概念で残したい」「NBSを国家のプランニングで入れていく」などの意見が出されました。

CG1(ゴール)2回目

夜7時半から開始されたCG1(ゴール)2回目は、1回目(火曜日)に出された意見を元にまとめられた議長テキストを元に、さらに検討が進められました。

大きな論点は、ゴールにおける年限の設定について、ゴールDの下に設定されたサブゴールを維持するか削除するか、ABSに関係するゴールについての意見(火曜日はこの時間を作れなかった)の3点で意見共有が行われました。

ゴールの年限

ゴールについて、2050年と2030年ともにゴールを設定することについて、ほぼほぼの合意が得られました。また、コミュニケーションしやすいシンプルを保つべき。ゴールの測定可能性については、やや意見が分かれていたと思います。測定可能で、実現可能である必要性があり、両立するゴール設定が引き続き検討されます

ゴール(d)の扱い

(d)のサブを削除するという意見についての意見が多いが、気候変動などの要素を残したいという意見があり、持続可能な利用というキーワードをもとに、それぞれの視点からの複数の修正案が提案されました。

ゴール(e)への意見

途上国が主として、利益配分の推進について意見を述べ、先進国は主として、ABSを推進するための情報共有の推進、利益配分の前提としての適切な取得の推進と、配分された利益が生物多様性の保全と持続可能な利用に貢献することの重要性について意見を述べ、それぞれの提案が読み上げられました。
また、何をもって進展を図る指標とするのか、ベースラインをどこに設定するのかも共通意見の構築までは隔たりがあるように感じました。

生物多様性の3レベルを1つの文章にまとめるという意見

遺伝的多様性、種の多様性、生態系の多様性について、現在1つずつゴールの起草がされているのですが、一つの文章に集約できるのではないかという意見があり、より詳しい意見共有が行われました。

3つのゴールを一つの保全のゴールに集約することについて、別々のままマイルストーンがなくなってしまうのではないかという懸念を示す国と、いくつかの国が具体的な文案を提案しました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。