4日目のポイント紹介

第2回ポスト2020作業部会4日目(木曜日)の紹介を行います。

4日目の午前は、初日から3日目まで行われた議論を振り返る本会議(Plenary)が開かれ、午後は、CG2-生物多様性への危機への対処、夕方はCG3-人々にニーズに応えるの、意見出しが行われました。

IUCN代表団も各所で発言

IUCN代表団も各所で発言

本会議のポイント

・各国が提案したテキストが正しく入っているか、抜けがないかを確認
・ベースラインについて意見交換が出されました。今回、指標やモニタリングだけでなく、数的目標に入れるべき数字については、5月に開催されるSBSTTAで行うという共同議長のガイダンスが出ています。

また、ターゲットやゴール以外のポスト2020枠組みの項目についても意見出しが行われました。

 

午後CG2-生物多様性の危機に対処する(2回目)

行動目標5(野生生物の資源利用)

原案は、野生生物種の「収獲」「貿易」「利用」を「法的」で「持続可能」なレベルにするという要素が入っています。

意見のポイント
・多くの国が、目標の重要性に同意
・行動目標5と7を一緒にするという提案が複数の国から出された。一方、過剰捕獲については単独目標のままが良いという意見も見られた。
・そのほか、FAOやワシントン条約(CITES)との連動、スコープを広げる意見(海洋漁獲、混獲、IUU、トロール、Indirect Use―例えば観光も含むものにする)は様々な視点から出された。
・Legal levelの意味が伝わらないとして、違法Illegalな利用をなくすという表現。
・その他の意見として、新しい技術への意見。漁業補助金への指摘。環境犯罪(Envrionment Crime)。社会経済的影響への配慮。生態系ベースアプローチ。「遺伝資源の持続可能」への拡張。
・締約国からは、言葉の定義についての疑問や、モニタリングフレームワークや指標へのコメントもありました。先住民地域共同体やNGOからは、伝統的・慣習的利用への配慮や、利用を巡る意思決定には、参加型の管理計画という要素も必要との意見が出されました。

行動目標6(気候変動への対処)

原案は、「自然を基盤とした解決策(Nature Based Solution)」を通じて、気候変動の緩和や適応、自然災害リスク緩和に貢献する。パリ協定のゴールの30%に貢献(IPCCレポートで自然を守ることで、30%近いCO2排出を抑制したり、CO2を固定したりできるという報告に基づいた数字)などが入っている。

意見のポイント
・多くの国が必要な目標と判断。
・UNFCCの役割とCBDの役割の関係性やその整理について言及。NBSを使うかどうか。Safe Guardなどの要素。用語についての議論。18の修正案が出された。
・気候変動がもたらす生物多様性の危機に対処しようという視点と、生物多様性の保全等を通じて、生物多様性に影響を及ぼす気候変動の緩和や適応に貢献する(ことで、生物多様性の危機に対処する)かという視点の、両方の意見が出されていたように思います。前者は、実際の行動としては、生態系の保全や復元に、日本は、後者の要素は、自然の恵みを人々に届けるという2つ目の行動目標のカテゴリーに、移動させる提案を行いました。

CG3-人々の需要に応える(2回目)

ターゲット10 (生物多様性と健康、都市の緑地)

原案には、「グリーンスペースの健康や福祉への利益の強化」「グリーンスペースへのアクセスできる」「人々」「とりわけ都市住民」を「100%増やす(2倍にする)」という要素が入っています。

意見のポイント

・多くの国がターゲットを持つことに同意。

・グリーンスペースが、緑地空間だけを想起しやすいため表現を変えたいということから、「都市生物多様性」「生態学的統合性のある都市のオープンスペースurban open space with ecological integrity」「生物の多様なグリーン&ブルースペース」「グリーンネイチャー(湖や領地だけでない)スペース」「グリーンオープンスペース」等の複数の案がでました。

・そしてこの空間に対して、「維持・保全・復元」「拡大expand」」「平等なアクセス」「都市と郊外(Rural)間の連続性」「連結性Connectivity」「都市のエコツーリズム」「多様な利益」「都市の文化多様性」「グリーンスペースと生態系コリドー」などの追加要素が提案されました。

・また、グリーンスペースの訪問人数などの指標も提案されました。

ターゲット11 遺伝資源の扱い

原案には、「遺伝資源の利用」や「関連する伝統的知識の利用」から生じる利益が、衡平公正に配分され、「利益」が2030年までに増加する

これに対して、
ブラジルやアフリカからは、「電子化された遺伝資源配列情報(DSI)を含む」「あらゆる形態の」遺伝資源、「遺伝資源に加え、生物資源の利用」も加えるという意見や、「金銭的、非金銭的」利益という要素と、「Global Benefit Sharingファンド」の実施。などの提案が出されました。
「権利保持者と知識所持者の自由で十分な情報に基づく同意と相互に合意された条件に基づいた」共有という要素が提案されました。

EUや日本からは、遺伝資源から利益が得られる前には、遺伝資源へのアクセスの推進や、利用の推進が必要であること、配分された利益は、条約の3つの目的(保全と、持続可能な利用)に用いられるべきだという主張を行い、日本からは、具体的な文章の提案を行われました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)

*今回の情報収集は、環境再生保全機構地球環境基金の助成を受けて実施します。