【にじゅうまる関東ミーティング&戦略会議 開催レポート】~基調講演編①~

a3月27日に、にじゅうまる関東ミーティング&戦略会議を開催してから早2週間。

当日は、朝早くからの開催だったにも関わらず約50名の参加者にお集まり頂き、会議がスタートしました。一日を通して、活発な発表と議論が行われましたので、そのレポートを数回に分けてお送りします!

まずは午前に行われた、基調講演とパネルディスカッションから。

(内容が盛り沢山なため3つに分けてお送りしていきます)

 

 ~基調講演編①~

午前中は、2014年度に行われた生物多様性に関する国際会議の成果報告と、それを受けてどのような活動が求められるのかについて、基調講演とパネルディスカッションを行いました。

2014年度に開催された、生物多様性関連の主要な国際会議は、生物多様性条約の第12回締約国会議(CBD-COP12)と、IUCNの第6回世界公園会議(WPC6)の2つです。

 

①CBD-COP12については環境省とIUCN-Jから、会議の内容と日本における進展、今後必要とされる活動について、

②WPC6についてはIUCNとIUCN-Jより、会議の概要・注目したいトピックや、会議全体の成果文書(シドニーの約束)の紹介を通して、今後活動が期待される内容について紹介をいただきました。

③午前最後のパネルディスカッションでは、「CBD-COP12、WPC6を経て、これから(2015年)の活動で求められること」をテーマとし、講演者だけでなく参加者も交えながら議論が交わされました。

 

今日の1つ目は①のCBD-COP12についてのレポートです。

 

生物多様性条約 第12回締約国会議(CBD COP12)について

~“気づき”のフェーズから、各自が行動を“変える”フェーズに~

 

生物多様性条約に加盟している国は、2年に1度COP(締約国会議)の場に集まり、国の施策などの進捗度合いを確認したり、今後に向けて議論が必要な内容について話合い、結果を「決定(Decision)」にまとめます。昨年(2014年)の10月に12回目のCOP(通常COP12)が大韓民国のピョンチャン市で行われ、いくつかの重要な決定がなされました。この会議の内容と、それを受けて必要とされる活動について、3名のスピーカーをお呼びしてお話いただきました。

 

bまずは、中山直樹さん(環境省 生物多様性地球戦略企画室)より、「COP12の成果と今後に向けて」というタイトルで、国際的な動向を中心とした発表がありました。前半は、GBO4(地球規模生物多様性概況第4版)の解説と主なメッセージの紹介や、資源動員目標のこれまでの議論とCOP12での決定内容等について紹介がありました。GBO4のメッセージでは、“戦略計画・愛知目標は、施策に進展があった一方で、現状では目標達成は不十分で、目標の達成のためには緊急かつ追加的な方策が必要。”と紹介され、更なる活動の促進が必要であることが強調されました。後半には、COP12での主要な決議に関する解説がなされました。特に、生態系を活用した防災・減災の推進に関しては、WPC6や第3回国連防災世界会議での日本の取り組みが紹介され、この分野に関して日本が力を入れて取り組んでいる様子が伺えました。

※民間参画関連の決定、持続可能な開発にかかる決定、生態系を活用した防災・減災の推進について、ピョンチャンロードマップ等

 

c次に、岡野隆宏さん(UNDB-J 事務局(環境省 生物多様性施策推進室))より、「経済・社会における生物多様性の主流化に向けた政策の動向」として発表がありました。はじめに、愛知ターゲット1(普及啓発)愛知ターゲット2(各種計画・会計制度に生物多様性の価値を組み込む)への取り組み状況の進捗について紹介があり、ターゲット1に関しては、「生物多様性の重要性の価値認識はされてきているものの、(生物多様性にとって良い方向に)各自が行動を変えるには至っていない」、ターゲット2に関しては、「各種計画への生物多様性の組み込み、会計制度への生物多様性の価値の組み込み(=自然資本会計)の動きが少しずつ展開されている」とされました。主流化を計っていくには、生物多様性によい商品の認証制度や生態系支払(PES)を普及させ、社会経済の仕組みを作ることが重要であること、広報・普及啓発活動や経済価値換算の普及による“気づき”のフェーズから、各自が行動を“変える”フェーズに移ることが重要だと述べられました。

そして、UNDB-Jの活動紹介(MY行動宣言、認定連携事業等)、経済界・市民における生物多様性主流化の課題共有があり、生物多様性の主流化がなぜ難しいのか、午後に行う戦略会議で一緒に考えていきたいと呼びかけられました。その他、生物多様性及び生態系サービスの総合評価として、IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)やJBO(生物多様性総合評価)の概念枠組みを活用して、JABES(生物多様性及び生態系サービスの総合評価)を行うことを検討中であること等が紹介されました。

 

d最後に、道家哲平(IUCN-J)より「COP12の決定を踏まえたにじゅうまるプロジェクトの次のアクション」として、これまでのにじゅうまるプロジェクトのあゆみ、COP12の決議と今後の展望を発表しました。これまでのにじゅうまるプロジェクトのあゆみに関しては、現在の宣言団体、事業数に至るまでに行ってきた様々な内容(普及啓発ツールの開発、おりがみアクション、地域セミナーの開催、エコプロへの出展等)を紹介しました。その後、COP12の結果を受けて、更なる行動の加速に向けて、にじゅうまるプロジェクトとして取り組んでいきたい内容を発表しました。今まで通りの発想で活動を行っていた結果が、“愛知ターゲットの9割が未達成”であることから、2015年を「飛躍の年」であると位置づけ、“知ってもらう普及啓発”から“行動を変える戦略的コミュニケーション”を行う必要があると述べました。

また、GBO4による各愛知ターゲットの相関性分析によると、他の愛知ターゲットに対してより多く影響を与えるものは、ターゲット2(各種計画・会計制度に生物多様性の価値を組み込む)やターゲット3(悪影響のある補助金の撤廃)であるとし、愛知ターゲットの中でも優先的に取り組むと影響力が高いものがあると紹介しました。最後にCOPはあくまでも政府が主体となる場であるため、活動の担い手である市民・企業・研究機関・自治体等が主役となれる場作りを行いたいこと、そのために、2020年にIUCN世界自然保護会議(World Conservation Congress)を日本に誘致したいと決意表明しました。

 

以上となります。

どうです?盛りだくさんでしょう。明日は

【にじゅうまる関東ミーティング&戦略会議 開催レポート】

~基調講演編②~

IUCNの第6回世界公園会議(WPC6)に関する報告 をお送りします。