世界の保護地域の現状
おととい開会したWCCも3日目を迎えました。朝から晩まで入れること続きで、まだ3日しか経っていないのに既に消化不良感があります。さて、にじゅうまるブログの非常にコアなファンの方ならば、このタイトルになんとなく見覚えがあるかもしれません。2014年にシドニーで開催された、世界公園会議(World Parks Congress)の際にも、同じようなタイトルのブログがありました。
■第6回世界公園会議 二日目 世界の保護地域制度の現状
http://goo.gl/shVUc3
今日は、2年前のブログでご紹介した「Protected Planet Report」というレポートのアップデートについてお送りします。愛知ターゲットでは、保護地域に関する目標(11番)が定められていますが、果たしてこの進捗はどうやって測っているのか?
その答えが、Protected Planet Reportです。Protected Planet Reportは、保護地域がどう愛知ターゲットの達成に貢献しているかを報告するものです。2年に1回更新され、昨日このレポートのお披露目イベントが開催されました。
レポートの内容以外の点で、前回の更新から変わったこととしては、2015年に「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、持続可能な開発目標(SDGs)が定められたことです。今回のレポートでは、SDGsにどう保護地域が貢献するのかも掲載されました。
今回の更新の要約は文末の通りとなります。
尚、今回の更新に合わせ、Protected Planet National Report Seriesとして、韓国が韓国版のレポートを発表しており、その発行も同時に紹介されました。これは世界初の取り組みとの事で、韓国のNational Park ServiceからもChairが参加され、挨拶をしていました。
Chairであるパク氏は、「2017年は国立公園制度が韓国に導入されて50周年、National Park Serviceの設立30周年に当たる。その記念としても、韓国にとって大切な取り組みでした。」と述べられていました。
【要約】
・2014年から2016年の間に、データベース上の85%の情報がアップデートされた
・陸域の保護地域は14.7%、海域の保護地域は10.1%となり、このままいけば愛知ターゲット11番の、保護地域のカバー率に関する部分は達成される予想だが、カバー率以外の要素が足りない(愛知ターゲット11番の目標は、陸域17%、海域10%)
・例えば、キーバイオダイバーシティ―エリアの20%しか守られていない状態であるし、生態学的代表性も低い。
・保護地域の管理効果に関しても、まだ取り組みが必要。2015年までに保護地域の管理効果測定を導入した国は17.5%に留まっている。
・「その他の効果的手法(OECM)」についても、現在タスクフォースが定義付けの取り組みを進めているところで、今後が期待される。
生物多様性条約事務局長のブラウリオ・ディアス氏は、E.O WilsonのHalf Earthを引用し「地球の半分は自然のために保全することを考えると、ブラジルは既に陸域の17%は保護地域であり、かつ先住民族による保護地域30%、民間保護地域20%を足し合わせれば、ブラジルの半分は保護地域にすることが出来る」と述べていました。
日本自然保護協会/IUCN日本委員
佐藤真耶