UNDB day 最後のセッション、ハイレベルイベント
1日がけのUNDB-dayの最後のセッションは、ハイレベルイベントと位置付け、各セクターのリーダーの方から力強いメッセージを発信してもらいました。
スピーチのトップバッターは、次世代育成を重視するUNDB-Jの思いも反映し、「ユース」の代表として、Global Youth Biodiversity Networkのメリーナさんから発表がありました。CO10の前まではなんの組織もできてなかったユースがCOP10以降つながりを少しずつつくり、政策提言能力やロビーイングなども試しながら経験を蓄積してきたことを紹介。ユースは足りないことも多いが、強みにこそ目を向けて取り組んでいること、自分達の次の世代のためにも残り4年間で愛知ターゲットの理想に一歩でも近くことが重要だと発表しました。
NGOで環境教育に長く関わってきたインド環境教育センターのKedarさんからは、生物多様性を表現した列車をインド各地に走らせた取り組みや、ハンドプリント運動という環境教育の事業を紹介しつつ、それぞれの人たちが自分たちの国の生物多様性の豊かさを誇りおもって、行動することが大事であると発表しました。
3人目は、IUCNの地球政策事業局長のシリーさんから、IUCNの世界自然保護会議でも愛知ターゲットや主流化、持続可能な開発目標を自分たちの目標と受け止め活動を展開してきたことを紹介。愛知ターゲットは絶対達成しなければならない。“意志があれば、道が生まれる。私たちIUCNは、常にその道の上にいる(There is a will, There is a way. IUCN is always there”という力強いメッセージでした。
4人目は、経団連自然保護協議会の二宮会長です。二宮会長からは愛知ターゲットと持続可能な開発目標の達成は必ず必要であること、そのために経団連自然保護基金が重点的に支援しているアジア太平洋地域の人材育成が必須であると話されました。そして、ちょうど25周年をむかえる経団連自然保護協議会およびその経団連自然保護助成基金の特別事業として、通常の助成金事業とは別に、一プロジェクトに対して1億5千万円規模の大規模助成を行うことを発表(詳細はこちら、日本語、English)し、多くの方々からの応募を呼びかけました。
トリを飾るのは、主催者でもある環境省の関副大臣。主流化に向けた日本の取り組みを紹介、100万人のMY行動宣言、にじゅうまるプロジェクト2020宣言を掲げさらなる取り組みの加速を約束しました。そしてこのような力強い動きを継続していくとともに、同様の取り組みを世界各国に呼びかけていきたいと話されました。
力強いメッセージをうけ、イベントの閉会としてブラウリオ・ディアス事務局長が登壇。「たった一つの解決策はない。愛知ターゲットは幅広いアジェンダで、一部が達成できそうだと、今安心してはいけない。全部を包括的に取り組む必要がある、主流化が求めるように、なぜ社会が生物多様性のことを考えなければいけないかということを伝えていかなければいけない。愛知ターゲットを失敗したら、生物多様性のコミュニティーは信頼を失う、未来の世代の未来と信頼を失う」と述べ、会場にきた多くの人たちに「残り四年間を頑張っていきましょう。オバマ大統領のように”Yes we can”と声を大にして、この取り組みを進めていきましょう」と閉会の挨拶を述べられました。
(公財)日本自然保護協会経営企画部副部長
国際自然保護連合日本委員会副会長・事務局長
道家哲平