SBI3日目:効率よく進める工夫
SBIもあと2日で終わりを迎えようとしています。会場では、用意された議題が一通り終了し、コメントを反映させた文書(CRP文書)が着々と出来ています。これから、CRP文書をもとにして、1パラグラフずつ内容を確認・修正する作業が行われます。
今週のSBIは、先週のSBSTTAと比べると平穏なように感じます。議題は、条約の実施に関する実務的な内容(例:各国にSBIの担当者(フォーカルポイント)を設けるべきか否か、似たような条約に提出している報告書を効率的に提出できないか)を取り扱っているため、「生物多様性に関する問題」を扱っているというよりは「条約に関わる問題」を扱っているように見えます。(ただし、生物多様性の主流化に関しては、先週も今週も取り扱われています。)
各国の発言を聞いていると「重複を防ぐべき」「効率を上げるべき」「費用対効果を上げるべき」という言葉がたくさん聞こえます。SBIでは、CBDに関する内容のみではなく、CBDの議定書である名古屋議定書・カルタヘナ議定書に関することも扱う性質上、条約と2つの議定書間での業務の重複を防ぐ、という文脈でも出てきますし、生物多様性に関係している7つの条約間での業務の重複でも言及されています。
生物多様性条約のCOP7では、生物多様性に関係している7つの条約(生物多様性条約、ワシントン条約、ボン条約、ラムサール条約、世界遺産条約、食料・農業植物遺伝資源条約、国際植物防疫条約)の事務局同士が「生物多様性リエゾングループ」というネットワークを作り、国際的な相乗効果を高めることを決めました。さらにCOP12の決定では、事務局だけでなく、締約国も交えて、連携を進めることを決めました。今回、これの議決に基づき、締約国が条約にレポート(国別報告書)を出す際に、重複のある部分は省いて出せるようシステムを整えることなどの議論がされています。
今回会場では、他の条約や国際機関(気候変動枠組条約、OECD)の手続の中で、各国から情報を集める際の事例がプレゼンテーション形式で紹介されました。また、ピアレビュー(査読)の仕組み作りに関しても、既に知見の多い国が少ない国への支援が出来るような取り組みが紹介されました。(例:インドの生物多様性国家戦略を、ノルウェー・ベトナム・中国でレビューチームを作ってピアレビューする)
取り組みや改善案に関しては、仕組みの要不要を含め各国で意見が割れている部分もありますが、こうして少しずつ改善が図られていくことも、愛知ターゲット達成のためには欠かせない要素の一つだと改めて実感しています。
(公財)日本自然保護協会・IUCN日本委員会 佐藤真耶