生物多様性の主流化 「足りないものは何か」

生物多様性の主流化というのは、生物多様性条約だけでなく、このIUCNの会議でも話題のキーワードです。国際社会は、2010年にまとまった愛知ターゲットと、その愛知ターゲットを含む持続可能な開発のための2030アジェンダ、アジェンダのターゲットである持続可能な開発目標(SDGs)を実現しようと動いています。

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これは自然保護に携わる人々にとっては、非常に大きなチャンスを与えるとともに、一方で、実施し、着実な結果を生み出す義務があると言えるでしょう。農業・林業・漁業・観光業がCOP13の主流化したいテーマとなっているのですが、それ以外の部門も変わってもらいたいというのが共通の願いです。

 

しかし、「変化には抵抗が必ずある。政治的意思が必ず複雑な状況を変えていくためには必要だ」というのがこのセッションのテーマです。すなわち、イベントのタイトルにある「足りないものは何か?」の答えは「政治的意思」です。

 

COP13のテーマは mainstreaming biodiversity for wellbeingです。メキシコで事前に開かれたワークショップでは、

主流化が重要な要素として

1、政策の仕組み

2、法的拘束力のある仕組み

3、予算

4、実施のための仕組み

5、主要な利害関係者の参加

6、インパクトインディケーターの存在

であると結論を出し、それが上手くいく要素として、

政治的意思、法的枠組み、科学的技術的知識、セクターへの生物多様性の貢献の認識、生物多様性(や生態系サービス)の価値の理解、資金の持続可能性(悪影響のインセンティブの削除に向けた注意深い計画)、モニタリングインパクト、コミュニケーション、生産や消費のパターンの多様化、セクター間の調整が重要等があるという意見が出されたことが報告されました。

 

後半はワークショップという進行でした。

「政治的意思を作るものは何か 個人?グループ?」

「政治的意思は何処から生じるかーモチベーションは何か?」

「変化を許容したり支援する意思は何処から生まれるか?」

「変化を達成するためのリスクや機会は何か」

について6-8人程度で話し合いました。

 

政治的意思(political will)というのは、政治家の発言とか言うものではなく、政策を変えるのだという強い思いと思いから生まれる行動力と考えて良いと思います。

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トップダウンアプローチについて、日本では否定的な見方がややもするとありますが、決して軽んじてはならない要素だというのが主催者(IUCN)の思いなのだと感じました。

 

https://portals.iucn.org/congress/session/10268