生物の保全と文化の発展は共にある。二つの課題を共に考える国際会議「第1回アジア生物文化多様性国際会議」が石川県にて開催。
10月27日より3日間、石川県七尾市(南北に長い石川県のちょうど中間あたりにある市)にて第1回アジア生物文化多様性国際会議が開催されました。36カ国、500人以上が参加した本会議のメインテーマは「生物文化多様性」。「生物多様性」でさえ分かりにくいのにこのテーマは何?と思う方も多いかもしれません。
このテーマは「自然そのものを守る」というアプローチではなく、「自然と文化(人間の営み)を一体的に保全、評価、活用する」という考えが用いられてつくられた言葉です。
このテーマに関するプログラムは「生物多様性と文化多様性をつなぐ共同プログラム」として、2010年からユネスコ(文化の発展を司る国際機関)と生物の保全を司る生物多様性条約事務局が共に協力するという形で生物多様性条約第10回締約国会議を契機に進められてきました。
初めの会合は2014年にイタリアにてヨーロッパ会合として開催されました。この時は生物・文化多様性が私たちの生活に欠かせないものであることを強調した上で、様々な政策相互連携の重要性が込められた「フィレンツエ宣言」が採択されています。
そして今回行われた石川の会議はこのヨーロッパの成果を受け研究者に加えて政策担当者も参加した、地域レベルでより具体的な事例や政策を議論する場として開催されました。舞台は豊かな自然・文化が残り、世界農業遺産に認定された「能登の里山里海」や白山ユネスコエコパーク、あえのこと(ユネスコ無形文化遺産)がある石川県です。
文化そして自然、生態系、コミュニティーを地域資源と捉え、保護・保全にとどまらない地域資源の多様な利用を通じて「持続可能な地域づくり」につながる「生物文化多様性アジアモデル」を模索した今回の会議。議論の成果として「石川宣言」ができるまでの議論の一部を紹介したいと思います。
参考
第1回アジア生物文化多様性国際会議 :http://bcd2016.jp/conference/index.html
IUCN日本委員会
伊藤 邦泰