地域づくりを支える生物文化多様性のモデルを推進する石川宣言が採択

二日目には国連大学サスティナビリティ高等研究所上級客員教授の武内氏による基調講演や谷本石川県知事による石川県の取組み・コマツの石川県での地域活性化の取組み紹介、生物多様性条約事務局長のディアス氏、ユネスコ事務局長補のシュレーゲル氏も交えたハイレベルトークセッションなどが行われました。

 

谷本石川県知事のプレゼンテーションでは、未だ里山エリアを6割という高い割合で有する石川県が有している国際認証を地域活性化の文脈から「文化」「生物・環境」「農産漁村」に分け紹介がされました。「文化」面では「あえのこと」「青柏祭り」がユネスコ無形文化遺産に、「金沢」がユネスコクラフト創造都市に認定されています。また「生物・環境」面では「白山」がユネスコエコパークに、「片野鴨池」がラムサール条約に登録されています。

アジア生物文化多様性国際会議

IUCN親善大使 イルカさんの講演もありました

 

これらの豊かな自然・文化を残すための活動として現在、石川文化振興条例の制定(2015)、石川基金(2015)も設立したそうです。また豊かな文化をつなぐ文化財保存修復工房もリニューアルオープンし、今後は自然について学ぶことができる「トキ里山館」もオープンするということでした。

 

最新情報が目白押しの石川県の後は、地方に多くの工場を持つコマツの事例発表でした。コマツでは工場のある地方の衰退を人材確保の危機と捉え地域おこしに取り組んでいます。現在は地域の林業と協力して工場内にバイオマスボイラーを導入し発電しています。これによって林業では計画的な間伐計画が立てられるようになり、コマツでは排熱も利用した効率的な省エネ、CO2排出抑制など工場運営を行っているそうです。

アジア生物文化多様性国際会議

石川県の各地で活動する方々のパネルディスカッションの様子

 

 

ハイレベルトークセッションでは、「生物多様性」「文化多様性」が人類共通の財産であり、それぞれの多様性はお互いに進化するものであるという認識が紹介されました。前日の分科会で話し合われたような世界遺産や農業遺産、エコパーク、ジオパークなどを通して実施された保全がどのように地域の経済に貢献できるのか、保全をコストより投資として考えるためにも、この点を考える必要があると課題が共有されました。また今後ローカルレベル、地域レベル、国際レベルで必要とされること、SDG’sと連携した横断的な課題解決の必要性も話し合われました。

 

アジア生物文化多様性国際会議

ハイレベルトークセッションの様子

 

最後は2日間の議論をもとに「石川宣言」が採択され、2日間の会議が幕を閉じました。この宣言には今後豊かな自然と文化の保全、持続可能な利活用の手法を考えて実践していくことや、アジアの持続可能な開発には生物文化多様性の考えを反映した人材育成の必要性が記載されました。また行政や住民、国際機関といった多様なセクターの対話の必要性や国連加盟国への「SATOYAMAイニシアティブ」への参画も求めています。なお今回の石川宣言は12月開催のCOP13でも発信される予定です。

 

IUCN日本委員会
伊藤 邦泰