ポスト2020枠組み ゼロドラフトのご紹介

*この文章は、https://www.cbd.int/article/2020-01-10-19-02-38をもとに、2020年1月15日作成しました。表現は解説のため仮訳や、省略している部分も多々あります。内容精査にあたっては、原文にあたってください。 文責:国際自然保護連合日本委員会 事務局長 道家哲平

 

2020年1月13日GMT0時にポスト2020枠組みのゼロドラフト(議長提案)が公開されました。ゼロドラフト提案までの経過説明+付属書としてゼロドラフト+COP15決議ドラフトが含まれています。2020年2月昆明で開催する、OEWG2で、詳細に検討される予定です。初見として、比較的、合意度が高い内容が反映(生物多様性コミットメントなどは含まれず)、また、SMARTなターゲット設定になっているが、もとになるデータがあるかどうかはこれから精査が必要と思われます。

ポスト2020枠組み案

・背景、目的、変化の理論
・A:2050年ビジョン、B:2030+2050ゴール(状態目標5つ+4つのサブ目標)、C:2030ミッション、D:2030行動目標(20)、E:実施支援メカニズム、F:条件整備、G:責任と透明性、H:アウトリーチ・普及・アップテーク
・付属書:ゴールのモニタリング枠組み、行動目標のモニタリング枠組み

という構造になっています。生物多様性戦略目標(愛知ターゲット)2011-2020は、モニタリング指標をCOP10時にまとめず、あいまいにしていましたので、付属書にあるモニタリング枠組みを同時設定しようという声が、OEWGで上がっていました。

2030+2050ゴール

(a) 2030年までに、淡水、海洋、陸域生態系の面積と完全性が、総じて減少が止まり、2050年までに20%復元され、生態系のレジリエンスが確保される

(b) 絶滅危惧種の割合が、X%に減少し、個体数が。2030年までに、平均X%まで増加、2050年までにX%まで増加

(c) 2030年までに、平均で、遺伝的多様性が維持され、強化され、2050年までに種の90%が維持され、強化される

(d)下記に貢献するよう、自然が人々に利益をもたらす

i)  2030年までに、少なくともX百万人、2050年までに、Y百万人の栄養状態を改善する
ii) 2030年までに、X百万人、2050年までにY百万人に、安全で飲料可能な水へのアクセスを改善する
iii)  2030年までに、X百万人、2050年までにY百万人に、自然自然災害へのレジリエンスを改善する
ix) 2030年および2050年の、パリ協定の目標達成への取り組みに少なくとも30%貢献する

(e) 公平公正に配分される、遺伝資源や関連する伝統的知識の利用から生じる利益が、2030年までにX%増加し、2050年までに Xに到達する

ミッション

To take urgent action across society to put biodiversity on a path to recovery for the benefit of planet and people.

地球と人々の利益のために、生物多様性を回復の道筋に置くため、社会を横断して、緊急の行動をとること

行動目標

行動目標―生物多様性の危機を減少

1.淡水、海洋、陸域生態系の保持と復元(ABT5+14)
2.生物多様性状重要地域の保全(ABT11)
3.外来種の侵入経路対策や撲滅(ABT9)
4.プラスチック含む汚染対策(ABT8)
5.持続可能な利用(捕獲、収穫、取引)(ABT6、8)
6.自然を基盤とした気候変動への対策(ABT14,15)

行動目標―人々のための生物多様性

7.野生生物の持続可能利用を通じた持続可能な暮らし(ABT14?)
8.農地や管理地域の生物多様性視点強化による生産性確保(ABT6,7?)
9.生物多様性保全による、浄水提供を受ける人々の数(ABT14)
10.ECO-DRRや都市におけるグリーンスペースがX%の人々に確保される(新規)
11。遺伝資源確保から得られる利益の強化(ABT16)

行動目標ー実施や主流化のためのツール

12.負の奨励措置の撤廃、正の奨励措置の強化(ABT3)
13.あらゆる計画における生物多様性の主流化(ABT2)
14.内外のサプライチェーン含む、企業による負の影響を半減させて、企業を持続可能な実践に向けて改良する(リフォームする)(ABT4?)
15.人・能力・資金を含む資源動員(ABT20)
16.あらゆる国が、生物多様性関連技術による負の影響を防ぐための手段を持つ(ABT19?)

17.人々は持続可能な消費と生産を支えるライフスタイルになる(ABT1+α)
18.伝統的知識含む、教育の推進や知識の創出、共有、活用(ABT19)
19.生物多様性の保全や持続可能な政策に関するあらゆる意思決定過程への先住民や女性、ユースの参画(ABT17+α)
20.多様な価値観の創出や既存の価値観からの解放(ABT1?、IPBESのレバレッジポイントを受けた目標)