5月6日 ポスト2020コンタクトグループ(継続)
2021年5月7日1時から4時30分(予定より30分延長されました)にかけて開催されたコンタクトグループでは、ゼロドラフト全20の行動目標について、科学的技術的観点からのコメントを行う趣旨で意見出しが行われました。意見だしは、20の目標をカテゴライズする「生物多様性への危機への対処(目標1〜7)」「持続可能な利用による人々のニーズを満たす(目標8〜12)」「実施と主流化に関するツール(目標13〜20)」毎におこなうプランでしたが、最初のブロックで2時間近い時間をかけて、全部への意見だしは完了しませんでした。また、NGOの発言数も限られ、次回に持ち越されました。
時差の関係からか、共同議長は、アジア太平洋地域(深夜に参加している地域)の発言順を先に持ってくるなどの配慮をされていました。途上国は通信が途中で途切れることがあり、オンラインの難しさもしばしば感じます。
出された意見は、今後、コンタクトグループ共同議長とCBD事務局によってまとめられること、コンタクトグループの情報や発言国を詳細に公開することは控える必要があることから、ポイントだけを紹介します。
コンタクトグループの意見は大きく分類すると、下記のような視点で行われました。
・各行動目標を構成する要素の明確さ:例えば、プラスチック廃棄の減少という目標設定は、全てのプラスチックとするか、管理不十分で流出するプラスチックとするべきや、グリーンスペースという概念に、生物多様性(園芸種ではなく、より固有種を尊重する視点など)の要素が入っているかという共通理解の確認。
・過不足:例えば、愛知目標11(保護地域)と比較して、連続性の要素が現状の後継目標(行動目標1−2)に欠けているのではないか。
・数値目標を設定するのにより適した要素の検証:例えば、外来種の侵入率より、定着数の抑制を目標値にする方が把握が可能。ABSは重要だが、共有されたbenefitを把握するのは、協定の内容が秘密になることもあるので、捕捉が難しいのではないか。
・各行動目標に関する解説(CBD/SBSTTA/24/3/Add.2/Rev.1)の記述の過不足:例えば、陸域、海域の30%を保護地域またはOECMとすることの科学的妥当性に関する論文など
・全体を見渡した時の欠けている視点:例えば、海洋に関する諸課題(海中騒音、海底掘削、海洋資源利用)などへのアプローチが不十分ではないか。遺伝的多様性の視点が全般的に欠けている。インフラストラクチャーや金融への言及が欠けているなど
道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)