5月7日 ポスト2020コンタクトグループ(継続2)
2021年5月8日午前1時より始まったポスト2020枠組みのコンタクトグループは、これで3回目のセッションとなります。本日は、日本時間午後8時に、Non Paper(GBO5や、指標に関する専門家会合のあり方など)を議論するセッションが行われる予定です。前半は、昨夜の続きとなる「実施と主流化に関するツール(目標13〜20)」に関する意見出しを行なった後、指標に関する意見出しとなりました。指標については、個別の指標に関する意見は、オンラインでの意見書き込みスペースを、国およびオブザーバー向けに設定し、来週までに書き込むことが共同議長より要請されました。オンライン化の影響なのか、議題の大きさなのか、国際機関(IGO)やオブザーバーの発言機会は最後に20分程度認められた形でした。これらの意見は共同議長と事務局によってまとめられる予定です。
「実施と主流化に関するツール(目標13−20)」に関する意見も、前日と同様に、「各行動目標を構成する要素の明確さ」「過不足」「数値目標を設定するのにより適した要素の検証」「各行動目標に関する解説(CBD/SBSTTA/24/3/Add.2/Rev.1)の記述の過不足」「全体を見渡した時の欠けている視点」などでグルーピングできそうな意見が続きました。前日のテーマと比較し、実施メカニズムは、主流化、持続可能な消費と生産、補助金やインセンティブの改善、情報や科学知見の向上、参加、バイオテクノロジーなど、非常に幅広く、各国の意見も、重要性は共有しつつ、数的な目標設定の難しさを感じさせる意見が多かった印象です
指標に関する意見は、目標に関するコメントと連動するもの(例えば、保護地域の「管理の質向上」を目標要素として必要という意見があれば、指標として「IUCNグリーンリストの情報が活用できる」という意見が出される)が多い印象です。また、こちらも多くのさらなる宿題が必要と感じる意見が相次ぎました。
課題としては、実施をはかるヘッドライン指標数の絞り込みと目標がもつ多様な要素をカバーするというバランスをどう測るか、情報やモニタリングの有無(定期的な評価やチェック)の確認、他の条約やSDGs・国連統計局の情報やUN-SEEA基準など様々な既存取り組みの確認、グローバルレベルで測定される指標が国内やローカルレベルで活用できるか(データの累積や分割の可能性)、実施ツール関連指標のさらなる研究、実施のための途上国の能力養成や途上国への資金支援・技術移転の可能性、各国におけるモニタリングスキームの整備、指標を科学コミュニティーで検証するか政策レベルで検証するのかのバランスなど、多様な情報ソース(市民科学、先住民地域共同体などからのデータ)と継続性や地域ギャップの検証などがあります。
目標と指標が、資源動員や能力養成・技術移転などの全世界的な実施を支援する仕組みと一体で検討するべきという意見と同時に、指標が不十分であることを目標の意欲度や要素のカバーを抑える理由にすべきではないという意見もあり、引き続き、難しい検証が続く印象を持ちました。
道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)