6月8日 SBSTTA24ー生物多様性と健康

SBSTTA24は、プレナリーが開催され、6月8日の20時(日本時間)に開催されました。明日が、SBSTTAの最終日なのですが、生物多様性と健康のテーマ(議題9)の意見出しが行われました。文章は決議本体に加え、生物多様性と健康に関する行動計画がつき、付属資料(IPBESのパンデミックワークショップのキーメッセージなど)で構成されます。本文や各国から様々な意見が出され、それらをどう扱うかについては、明日のプレナリーでまとめることがヘジキオSBSTTA議長から報告がありました。

各国からはこの議題が重要であるという認識が示され、新型コロナウイルスの人への感染とパンデミックが、自然の破壊や自然資源の非持続可能な利用から生じたものという理解が浸透していることが伺えました。

先進国は、比較的、文書の内容を歓迎し、修正や追加を発言していました。内容としては、ワンヘルス原則(またはアプローチ)の重要性、ポスト2020枠組みやそのモニタリングへの反映、普及啓発の強化、IPBES含む多様な国際機関や条約・プログラムとの連携、先住民地域共同体の参画、生物多様性の主流化の強化、コロナ禍からの経済復帰策における生物多様性視点の組み込みなどのポイントを列挙しました。

途上国(や一部の先進国)は、文章の公開が会議の開始1週間前と検証の時間が少ないことを指摘。また、詳細な精査が必要として、行動計画全体をブラケットにして、検討の時間を持ちたいという主張が出ました。修正の本文はメールで送るとされたので、わからない部分もありますが、新型コロナやその他の感染症への対策やワクチンの配分などから先進国と途上国との社会・経済格差がありその格差を全く埋められてこなかったこと、生物多様性と健康に関する技術移転や、能力養成、資源動員の課題が十分に反映されていないなどの指摘がありました。様々な医療技術の発展に、途上国が抱える自然資源や遺伝資源が支えたのに、ABSという生物多様性条約の3つ目の柱がほとんど言及されていないという意見もありました。

その後、農業(土壌の生物多様性)と生物多様性の議題(議題7)の継続を行いました。土壌の生物多様性についても行動計画が付属書がついていたのですが、時間もないために行動計画全文にブラケットをかけて、文書の精査を終えました。

その後、合成生物学(議題4)について、コンタクトグループやフレンズオブチェア会合の報告を受けました。その後、文書について、段落ごとに異論はないか検討し、意見が別れたら、ブラケットがついた状態で、合意(?)するという進行がとられました。

道家哲平(IUCN-J事務局長/日本自然保護協会)