レマン湖畔散策
●レマン湖とラムサール条約
レマン湖はラムサール条約湿地として登録されています。大きく2か所に分かれており、一つはジュネーブからローヌ川にかけて、もう一つは湖の反対側です。
湖畔にはラムサール条約湿地について説明する看板がありました。しかし、フランス語なので何が書いてあるかはさっぱり分かりません。鳥だけは学名が書いてあるので調べれば分かるのが有難いですね。
レマン湖とラムサール条約の関係はもう一つあります。実はレマン湖のスイス側中央付近のグランにラムサール条約事務局があるのです。ジュネーブからは電車で20分くらいだそうです。
●水鳥たち
レマン湖畔をジュネーブ市街から北に向かって歩きながら水鳥たちを観てきました。最初に目についたのは、響く鳴き声が関心を引きやすいオオバンです。が、日本でも都市部でよく見かけるので、私は基本的にはスルーしました。興味深かったのは、なんといっても日本では滅多に見られないアカハシハジロ、そして日本には分布していないタイリクハクセキレイ(亜種は日本にもいます)です!ぱっと見は日本でもよく見られる種に似ているところがバードウォッチャーの心をくすぐります。
カワアイサや、求愛ダンスをしているカンムリカイツブリもじっくり観てしまいました。これらの鳥は日本にもいるのですが、私の行動範囲ではあまり見ることができないのです。じっと観ていたら、カンムリカイツブリが求愛ダンスを止めてしまったので、「邪魔して悪かったな」とちょっと反省しました。
小さくて可愛い鳥が好きなので、普段は大型の鳥はあまり見ないのですが、ハクチョウが巣で眠っている様子は造形的に興味深かったです。
カナダガンのペア、ノバリケン1羽も見かけましたが、これらは本来ここには分布していないので、持ち込まれたものではないかと思います。
●湖畔の公園にて
湖畔を北上すると、モン・ルポ公園、ペルル・デュ・ラック公園、バルトン公園、ウイリアム・ラッパール公園と公園が続きます。ここには先日ご紹介した鳥たちを観ることができます。綺麗なさえずりをあちこちで聴くのですが、木の梢にいることが多く、なかなか種を確認できません。その中で、比較的低い位置にいたのが日本では観られないズアオアトリでした。全体としては赤っぽい鳥です。日本では冬に見られる「赤い鳥」がバードウォッチャーに人気があり、私も好きなので、ズアオアトリを観ることができたのはかなり嬉しかったです。
ヨーロッパの鳥は、日本と共通の種や外見が良く似ている亜種も沢山います。同じ種でもちょっとした違いがあることもあります。機会があれば、ぜひ双眼鏡を手にじっくり観ていただければと思います。
宮本育昌
(国連生物多様性の10年市民ネットワーク)